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お茶会

リューイのことはルイスに任せることにした。

私としては、されたことはむかつくけどもういいかなって思う。

でも公爵家としては許していいことではないらしい。

それは私が王族でリューイが公爵家の人間だかららしい。

私からしたら、ただの子どもの反抗期なんだからそこまで目くじら立てる必要ないと思うんだけど、そういうわけにはいかないんだって。

貴族社会は難しいね。




リューイのことで時間がたったみたいで、執事が客の来訪を告げに来た。

さて、ここからもう一度猫かぶりしなきゃ。と胸中気合を入れた。


ルイスと共に談話室に向かうと、一組の男女がソファーに座っていた。


誰だ?


男女共に年の頃はルイスと同じくらいに見える。

男性の方は赤い短髪が特徴で野性的な雰囲気だ。そして女性の方はダークブラウンの髪をアップにしている美人さんだ。横に垂らしている毛が色っぽいが、その表情は不機嫌が前面に出ているせいで美人が台無しだ。


「アイリ、こちらは俺の友人でメルヴェスト公爵次男のレクサスだ。そして彼女は・・・」

「オレの婚約者のベアトリーチェだ。よろしくな姫さん。」

「ベアトリーチェ・ラティーモールです。」


おお、二人は婚約者同士。

陽気そうなレクサスと不機嫌なベアトリーチェ。なんて対照的な。


「お初にお目にかかります。アイリ・リラ・エルディールです。よろしく。」



各々の自己紹介が済み、お茶会がスタートしたわけだが・・・



「ラティーモールといいますと、辺境伯のお家でしょうか。」

「・・・えぇ、そうですわ。」

「さすが姫さん、よく知ってるな。」


それはもちろん。ルイスに貴族図鑑で必要最低限覚えろと言われた中にあったから記憶に残ってます。

それにしてもベアトリーチェ、ずっと不機嫌なんだけどなんで?ツンツンが通常なの?


それからもいくつか話をしたんだけど、ベアトリーチェは質問したら返答するだけで会話する気ゼロみたい。

なんかもやもやする。


「それにしても姫さんの話はルイスから聞いてたけど、実際会ってみると普通だな。」

「話・・・ですか?」


私のどんな話だ。


「あぁ。あの笑わぬルイスを変えた人物だから普通の令嬢とは違うの想像してたんだけどな。」


拍子抜けと言いたいのか?一体私にどんなイメージを持っていたんだ?

こちとら素を出さないように猫被ってるんだよ。普通の令嬢に見えるってんなら成功だわ。

てか、笑わぬルイス?それは誰のことだ?ルイスは初めて会った時からしょっちゅう笑ってる気するけど。

この人、私の何を人に話しているんだ。

非難の目を隣に座るルイスに向けると、


「レクサス、いい加減にして!」


突然、ベアトリーチェが大声を出して立ち上がった。


「わたしはルイス様に頼まれたっていうからあなたに着いてきたの。私は社交が嫌いだって知ってるくせに、こんなただお茶するだけなら私は帰るわ。」

「お、おいベリー!」


社交が嫌いだからお茶会に参加が不満だったのか。

それにしても私のどんな話を人にしているのかも気になるが、頼まれたってどういうことだと目で訴えると、「後で説明する」と返されてしまってはそれ以上追及することはできなかった。


でもきっと、ルイスのことだから私のために2人を呼んだのだろう。


部屋を出て行こうとするベアトリーチェをレクサスが引き止めていた。


「おい、ベリー、いきなり帰るとかさすがに失礼だろ。1日ぐらい我慢しろよ。」

「嫌よ!せっかく王都に出てきて社交なんて。そんな無駄なことするより本が読みたいのよ!」

「おま、昨日も散々読んでただろ!まじで1日ぐらい我慢しろよ。」

「王都に居られる時間は限られてるの!今流行りのロマンス小説を王都に居る間に読みたいし、話題の舞台だってもう一度見に行きたいの!」

「お前、あれ3回見て親父さんに呆れられてただろ。」

「お父様は関係ないわ!」


お?


「ベアトリーチェは本が好きなのですか?」


突然、話を振った私に入口で押し問答をしていた2人が振り返った。


「…えぇ、そうよ。」


美人が睨むと迫力あるなー。

触れて欲しくない話題だったのだろうか。更に不機嫌になるベアトリーチェの肩をたたきながらレクサスは陽気に、


「こいつ、娯楽小説が好きすぎて時間があればずっと読んでるんだぜ。」

「娯楽小説って何よ!ロマンス小説よ!乙女のバイブルをバカにしないで!」


おとめのバ・イ・ブ・ル!


その瞬間、被っていた猫はどっかに去っていった。


「ルイス!なんでそんなステキな物があるって教えてくれなかったの!」

「アイリ!?」

「そうよ!舞台があるんだもん原作があったって不思議じゃないわ。むしろ本というものが存在するのなら物語の本だって存在するわ。文字の勉強するのに子ども用の絵本見せられた時にどうして気付かなかったのかしら。好きなもので学んだ方が上達速度はぜんぜん違うというのに。レッスンばかりで自分の好きな物を忘れていたわ。」

「アイリも本が好きなのか?」


好きかと聞かれたら答えはイエスだ。

元々お母さんが好きで家に漫画や小説がたくさんあったから暇つぶしに読んでみたら面白くて私もハマったものだ。

こちらの世界にも乙女心をくすぐるものがあるなら是非読みたい。


「本は心を豊かにしてくれるわ。人が作り出した文化よ。」

登場人物

ベアトリーチェ・ラティーモール、辺境伯令嬢、レクサスの婚約者

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