第20話
「今晩あの研究所で彼女を使ったちょっと大掛かりな研究があるとの情報が入った。俺のチームはそこに殴り込み、あいつらを現行犯でお縄につける計画を立てた。坊主、ちょっとおじさんと危ない社会科見学にでも行くかい?」
男はそう言って僕に向かって笑った。僕は涙を拭き、大きく頷いた。裏から戻ってきたゆめさんは、その二人の男の輝かしい姿を見て大きな目をパチクリさせたが、またすぐにっこり笑った。
男の名前はてつし。昔はあの研究所で働いていたが、奴らの悪事を目の当たりにしそこから席を外したという。奴らの陰謀を阻止する為、探偵グループを立ち上げ今はそこでリーダーを務めている。
てつしはコーヒーを飲み干し、代金をその場に置いた。コーヒー美味かったぜ、という言葉も添えて。
「ゆめさん、僕行ってくる。」
またいつでもおいで、ゆめさんのその優しい声にまた涙が出そうだったが、僕は我慢して頷いた。
カランコロン。扉を開け二人の男は外に出た。扉の先には一人の女性と数体のロボットが立っていた。
「また会いましたね、偽りえさん。」
僕の背筋は凍りついた。変換室で会ったあの女の姿がそこにはあった。女は意地の悪い笑みを浮かべている。
「お前はあの腐った研究所の女じゃあねぇか。コーヒーでも飲みに来たか?」
てつしはこの女を知っているようだ。
「あら、そんなあなたはインチキグループのリーダーさんじゃないですか。今日の任務は子守ですか?」
そんなとこだな、とてつしは鼻で笑った。
「それではその任務、私達が引き継いであげましょ。」
女が指で合図をすると、ロボット達が一斉に僕らに襲いかかって来た。てつしは僕を長い腕で抱えると、店の前に置いていた大きなのオートバイに似た乗り物に乗った。車輪は無くどういう仕組みでかは理解出来ないが、乗り物は飛行機のように飛んだ。僕はてつしの背中に振り落とされないようにしがみ付いた。
後ろからロボットも空を飛び僕達の後をつけてくる。
「てつしさん!後ろ!」
そう言うと、てつしはハンドルの横にあった銃で後ろを見ずに射撃した。バン!バン!僕の鼓膜は破れる寸前だった。思わず気を失いかけた。
てつしが撃った弾はどちらも命中し、二体のロボットは額から火花を散らして地上に落ちて行った。僕は口を大きく開けて驚いた。
まだロボットは追ってくる。




