森の中での遭遇 騎士団長視点
騎士団長目線での遭遇です。
さあ、セイラに与えられた試練とは⁉︎
「どこまでいくんですか?」
「適当な動物が見つかるまでだ」
この少女は、頭がおかしいのではないか。
森に魔物が現れたという報告を受け、俺の率いる王国騎士団が呼ばれた。
王国騎士団といっても3種類ある。
『王に四六時中つく・門前での見張り・国に影響のある問題を対処する』だ。
俺が率いているのは3つ目。つまりは雑用係だ。主に、魔物の討伐や反逆者の排除が仕事だ。
しかし、今回の依頼は驚くほど簡単だった。図体は大きかったが、拍子抜けするほど弱い。
報告する書類も溜まっているのに、よくもこんな仕事を押しつけてくれたな。
そう思った矢先、本物の厄介事がやってきた。
果物を探しに部下たちから少し離れたところで、人の気配を感じた。
動物でもいるのかと思ったら、出てきたのは少女だった。
なぜこんなところに少女が?
汚れているが、身なりは上等だ。
質問をしてくるので適当に返事していたら、とんでもないことを言い出した。
「騎士団に入れてください」と。
意味がわからない。
騎士なんて所詮、人殺しの職業だ。それをこんな小娘がなるだって?
どうせ、家出でもしてきたのだろう。
そんな程度に思っていた。
一瞬、剣を向けそうになった。
殺気を感じたからだ。
少女が空に向けて合図を出すと、風の精霊が通った。
ザッッ
踵につくくらいだった髪が、スッパリと落ちているではないか。
その瞳は、少女の覚悟を映していた。
どうやら、ただの家出ではないらしい。
魔法で弓を使えると言っていたが、確かめねばなるまい。
この年頃では、殺生なんてできはしないだろうが。
「あの鳥を仕留めてみろ」
「はい」
ギリギリ目視できる距離の鳥を射るよう指示する。
すると、少女は顔色ひとつ変えずに、弓を出現させて鳥に矢を放った。
確認しに行くと、見事に命中している。
こいつは、慣れている。
難題を押し付けたつもりだったが、甘かったか。
最近の貴族は女でも狩猟を嗜むのか?
ガサガサッ
不意に複数人の足音が聞こえる。
「静かにしろ」
しゃがんで周りを見渡すと、盗賊らしき格好の男が5人見えた。
……試してみるか。
「あれを始末できれば認めてやる。できるか?」
一瞬考えたそぶりを見せたが、すぐに無表情に戻る。
「望むところです」
少女は男たちを窺いながら少しずつ横へ移動する。
弓を引き、狙いを定め、放った。
ヒュッ
「うがッ」
風を切り裂く音から数秒後、男の悲鳴が聞こえた。
しかも、ふたり同時に貫いている。
「まずはふたり」
そう言って素早く、逃げた3人を追いかける。
どうやったらドレスでこんなに速く走れるんだ?
走りながら弓を射た。
「あと3人」
ヒュッ
「あと1人」
「終わりました」
早い。
しかも、体が重なった瞬間を狙って射ていた。ためらいすらなかった。
「人を射たことがあるのか?」
「いいえ、初めてです」
初めてでこれか。
これは、使えるかもしれない。
「部下と合流する。来い」
「はい!」
武器を人間に向けるのにためらいがないって怖いね。でも、光の矢ってちょっとかっこいいな。
実は私今日まで休み。中学生の受験シーズンなもんで。明日からも頑張って書くぞー‼︎
あ、宿題が残ってる……