森の中での遭遇
さっき食べたアーモンドチョコにアーモンドがふたつ入っていた! ミラクル!
じゃなくて。
最後まで信じていた親にまで裏切られたセイラ。その絶望を乗り越えられるのか⁉︎
目が覚めると森の中だった。
私は、捨てられたのだ。
このままここにいれば、獣にでも喰われて命を落とすだろう。
それでもいいか。どうせ誰も私が生きることを望んでいないのだから。
「ぐう~っ」
こんな時でもお腹は空くのか……。
『こっちに美味しいものある』
『おいで、こっちこっち』
いつの間にやら、私の周りに精霊たちが集まっている。ざっと見ても50はいるだろう。よく見れば、国でよく遊んだ精霊たちも多い。
体を取り囲むように密接し、森の奥へと誘導する。
『王様きらい』
『僕たちも一緒にいくよ』
『だから安心して、セイラ』
皆、心配してついてきてくれたのか。
「っ、ありがとう、みんな」
わあわあと押されてたどり着いたのは、リンゴが多く実っている木の前だった。
精霊の何人かが木の上に行き、リンゴを取ってきてくれた。
赤く熟してとても美味しそうだ。
『食べて元気だして』
『いっぱいとってあげるから』
2日ぶりのちゃんとした食べ物だった。地下牢ではカビたパンしか出なかったから。
ゴクリと喉がなる。
渇いて渇いて仕方ない。
カシュッ
一口かじる。みずみずしくて甘い。
それからは、とにかく夢中で食べた。
涙が止まらなかった。
精霊たちはどんどんリンゴを持ってきてくれる。
『元気出た?』
「ええ、もう大丈夫」
空腹が満たされるというのは、こんなに幸せなことなのか。
少し前まで生を諦めていたのが嘘みたいだ。
私は、生きているんだ。
そう思い知らされた。
いいじゃないか、生きているだけで。
意味なんて必要ないのだ。
とにかく私は生きていたい!
あんな国に負けたくない!
しかし、どうしようか。
これからの行く先もあてもない。
森には危険がいっぱいだ。
精霊たちとだけで生きて森を抜けられるだろうか。
第一に、野宿の仕方だって知らないのだ。
さて、どうしたものか……。
ガサッ
「⁉︎」
さっそく獣か。
正体を確かめるために茂みに身を沈める。
落ち着け、光魔法で矢を打てば一発だ。
仕留めれば夕食にも困らない。
そこに現れたのは、一人の男だった。
食べ物の力は偉大だ! という話。
生きていることを痛感したセイラは、ひとつ成長することができました。精霊たちに感謝だね!
次回、謎の男の正体が明らかになります‼︎