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脱出ゲームin宇宙  作者: 34
第二章 迷宮理論からの脱出
23/25

第九話 時飛ばし

「まずはわざわざお越しいただきありがとうございます」


ベル博士とグラスは大石と深川に丁寧に礼をした。


「いささか難しい話も多かったと思いますが・・・」

「おう!全然分かんなかった!」


大石が即答する。


「どうします?もう一度説明しましょうか?」

「いや、勘弁してください・・・」


大石の降参の言葉に4人が声を揃えて笑う。


「では、これからの話なんですが・・・発表の中でも言いましたが今のところワープはとても危険です まだ現象自体が解決したわけではありませんから」

「つまり・・・今ワープすればまたあの空間に入ってしまうということですよね?」

「いかにも なので今度はそれを直す方法を探さなければなりません」

「なにか、案はあるんですか?」

「全く無いわけではありませんが・・・技術的な問題がありますので そこでなんですが──」


「──協力を、お願いしたいんです」


「へ?きょーりょく?」

「しかし・・・科学の知識なんて到底及びませんよ?」


首をかしげる二人に、ベル博士がゆっくりと説明する。


「今回の研究は重力を1より、そして0より小さく、つまりマイナスにするということをしようとしているわけです それにはまだ見ぬ素材が必要になったりもしますし、まず人手がいります 私どもがこれまで会った方々のなかでお二人が一番信用でき、また適任だと思いました ・・・いかがでしょうか?もちろん給料はお支払しますので・・・」


これを聞いて二人は顔を見合わせた。その顔には喜び、驚き等が浮かんでいた。

先に口を開いたのは深川だった。


「・・・好きに決めろよ 艦長」

「はっ、おれそんな役割だったか 名義上な」

「ま、おれはせいぜい艦長についていくよ」

「いーんだな?お前」

「ああいいよ」


「喜んで!手伝います!」



「・・・かっけー!やべー!」

「お前ほんとそれだけで生きてるよな・・・」

「うるせー!だってこれ・・・うええーい!」


大石が、壊れたようなこの反応を見せたのはベル博士達の研究所の中でのことだった。


「いやいや、汚いところで・・・」

「で?なにすりゃいいの?」

「ああそうでした まあまずは左側を見ていただきたいんですが・・・」


そう言って指差した先にはドアがいくつも並んでいた。


「これは・・・?」

「皆様の仮眠室です 一人一部屋、中は自由に使っていただいて構いませんので」

「うおー!ぽい!」

「なんと・・・ありがとうございます」

「まずはそちらに荷物を置いてきて頂きたいと思います そのあと、いよいよ研究を開始しましょう」

「いえーい!研究!」


大石のこのテンションは研究が終わる7年後まで続いていた。

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