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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

その冒険者、凶暴につき

作者: 大介丸

 

 10mほどの城壁で囲まれた街にある荘厳な門の前には、数組の商隊や冒険者パーティが検問待ちで

 並んでいた。

  門の横には警備兵の詰所が設置されている。


 その大勢の中にこの場所ではあきらかに『違和感』のある服装の男性がいた。

  草臥れた背広の服だ。

 その男性以外にそんな服装をした人々はいない。

  周囲にいる人間も、いつの間に変った服を纏った男性が立っていたのか分からない様子だ。

  男性はゆっくりと当たりを見渡し、舌打ちをする。

  闇を孕んだ様に昏い漆黒の双眸は、壮絶な憎悪と怒気を放出していた。

 それは、この世の全てが憎むべき敵だと信じているような、ひたむきな怒りに見える。

  「・・・」

  男性は苛々したように自分の番が来るまで待った。



「身分証を見せてくれ」

  門番の前に立つと、そう声をかけられた。

  その門番は、男性の服装を見て怪訝な表情を浮かべた。

 あまりにも見た事のない服装のためだ。

 少なくとも、冒険者や商人ではなさそうだと門番は思った。


「これが証明書だ。馬鹿野郎」

  掠れた声で、男性が呟く。

 その表情は、鬼の様な形相だ。

  瞳にあるのは、ただ一つ殺意だ。

  破壊することが目的と言わんばかりに、強烈なアッパーを門番の顎に叩きこむ。

  不意の一撃をくらい、門番は悲鳴をあげる間もなく尻を落としながら、上体を急激に倒した。

  男性は、気絶した門番から腰に吊るしていた長剣を掴む。


「―—―お前らに『何千何万何億回』と、数えるのも馬鹿馬鹿しいほど、俺は襤褸切れの様に殺され

 続けたんだ。

 そう易々と 簡単に息絶えるんじゃないぜ?」

 男性は底冷えする様な声で、第三者が聞いても理解できない事を呟く。


 警備兵の詰所から、九人ほどの屈強な警備兵が異変を察して飛びだしてきた。

 男性はその集団を視界におさめると、死にもの狂いで突撃する。

 それは、疾風迅雷と評するに相応しい速さだ。

  疾風となって警備兵達の眼前に肉薄すると、やや、前かがみの状態から茫然としている警備兵達の

 眼前で跳ね上がる。

  短い閃きは喉元に吸い込まれ、屈強な警備兵達は血煙を纏いつつ錐もみにながら倒れた。

  瞬きの間に警備兵達を絶命させた男性は、幾つかの死体に憎しみの限り蹴りを放ち、唾を吐きかけて

 街の中へと入っていく。

 商隊や冒険者パーティは、その凄まじい光景を目の当たりにして、悲鳴をあげながら余計な騒ぎに巻き込まれるのはごめんだと言わないばかりに、慌ててその場から立ち去っていく。





 男性は鬼の様な形相を浮かべながら、ある石造りの建物前で立ち止まった。

  門から歩いて十分ぐらいの距離だ。

 そこに入ろうとした時、中から皮鎧を纏った屈強な男性が出てきた。

 一見して、冒険者の様だ。

「ん?」

 その冒険者は、鬼の様な形相を浮かべて立っている男性に少し驚いた様に立ち止まる。

「邪魔だ。どけ」

 そう短く告げると、男性は何の躊躇いもなく強烈な蹴りを放った。

 冒険者は、万歳するような格好で建物の奥まで吹き飛ばされた。

 茫然とその光景を眼にした、通行人達は悲鳴をあげながら、とばっちりを食わぬため、あっという間に

 逃走する。

 しかし、建物内にいた屈強な冒険者達は、突然の襲撃に悲鳴と怒号を発しながらも状況を確認しようと

 する。

 なお、蹴り飛ばされた屈強な冒険者は、口から血を溢れさせて息絶えている。



 男性は足を止めぬまま屋内に飛び込む。

 建物内には、ざっと50人ほどの屈強な冒険者が武器を手にして男性の方に視線を向ける。

 双眸を爛々と銀光を発し、全身に闘気を纏った男性の姿を見た屈強な冒険者達は、ガチガチ

 と歯を噛み合わせた。

 恐怖と絶望が建物内を支配し、建物内にいた人々の本能的な防御行動を凍結させる。



 だが、その集団の中でも、悲鳴の様に叫び手にした長剣で斬りかかる冒険者の存在もあった。

 しかし、視野に捉えたのは跳ね上がる血潮のみ。

 ざっと、4人ほど男性に挑んだが、男性の姿がどこにあるのかもわからなぬまま、肉塊となって

 絶命する。

 吹っ飛んだ屍は窓を突き破り、あるいは天井に舞い上がった。

  天井に凄まじい勢いで激突した人間は、手足が千切れ飛び、頭が半分ほど陥没して受付嬢らしき

女性の眼の前に落下した。

 その女性は、白目を向いて気を失った。



「だ・・誰だっ 貴様! 」

  顔面蒼白の中年の男性らしき人物が、喚く様に告げてくる。

 その人物の姿を確認すると、男性は凄絶な笑みを浮かべた。

「あんたら、異世界の冒険者ギルドそのものに恨み辛みのある『異世界人』だよ、馬鹿野郎!!

 よくも、『何千何万何億回』と、数えるのも馬鹿馬鹿しいほど良い様に利用して

 ぼろ糞にしてくれたな?。

 それとも、あんたらは演劇よろしく台本でもあるのか?  おかけで、俺にはもう絶望と憎悪だけしか

 残っちゃいねぇ、『ギルドマスター』」

 底冷えするような声で、男性が告げる。

  「一体何の事だ!? 」

  『ギルドマスター』と言われた男性が、まったく心当たりがないためかそう応える。

  「まぁ、確かに今の状況のあんたにはまったくわかんないだろうが・・・恨むんだったら、

『何千何万何億回』と利用してくれたあんら自身を恨むんだな」

 そう告げると、男性は床を蹴り、『ギルドマスター』と言われた中年男性に肉薄した。

 その腹部を、男性の手がえぐった。



  肉を突き破って腹腔に侵入した掌は、その衝撃だけで背骨を砕き、背中に大穴を空けた。

  爆発音さえ響きそうな勢いで、『ギルドマスター』の腸がその背後に飛び散った。

  体内に埋め込んだままの掌は、そこに残った臓腑を握り緊める。

『ギルドマスター』の大きく開いた口から血を吐きつつ、声もなく激痛に貌を歪めた。

 男性はさらに手を捻ると一気に抜き出す。

 閉じられた掌は、生々しいピンクの内臓をずるりと引き出した。

 大きく開いた傷口は、どはどはと血を噴出させる。

『ギルドマスター』の上半身がぐらりと揺らいだ。

「安心して死んで良いぜ、 今日から俺がここの『ギルドマスター』になってやる。

 そして今度は、俺が骨の髄まで冒険者ギルドをしゃぶり尽くしてやるよ」

 男性は、鬼の様な形相を浮かべながら告げた。

『ギルドマスター』と言われた男性は、そのまま床に倒れた。



「という事で、今日今から、俺が『ギルドマスター』だ。 

 命が欲しかったら、強盗でも誘拐でも何でも良いからちゃっちゃとやって俺に金貨と白銀貨を

 1人1万枚を上納しろ。

 それと、こう見ても記憶力はいい方なんだ。ここにいる全員の貌は覚えた。

 逃げようと思うなよ? 逃げたら、 草の根を分けても探し出してその命で償ってもらう。

 それだけじゃないぞ。お前ら家族や親戚一族郎党・・・嬲り殺しだ」

 男性は、歯をガチガチ鳴らして震え上がっている冒険者達を睨みつけながら告げた。




暑い中。草刈りを手伝いながら、こんな感じなのを思いつきました。

そうでもしないと、草刈りなんてできないっす・・・。

なので、あまり深い事は聞かないでください(W 答えられる事ができないっす。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 暑い中、草刈りお疲れ様です。 私も休日出勤していたり残業していたり、やっと駅についたら人身事故で電車止まっていたりすると……こうなりそう。 北野武さんの「その男凶暴につき」からのタイトルで…
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