表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

鬼哭啾啾

お待たせしました。

ちょっと短いです。

 ジェニファー一行→拠点を確保し、食料を探している。

→トニー達→シナリオ進行中

 ゴードン&ビリー→いずこかに潜伏中

三人は拠点に使っている家にあった食材を拝借して食事を取っていた。


「……おいしい」


「おっさんの自炊飯、意外に美味いね」


「お前もオッサンだろう、食わせんぞ」


「わりいわりい、意外だなって思ってよ」


「ったく……んで? このままここに居たらそのうち干上がるのは確定だが?」


「ああ、とうひょのもくふぇひほうひおえはひはくをへあふ」


「飲んでから喋れ、行儀が悪いぞ」


「んぐ……当初の目的通り俺は自宅を目指すわ」


「奥さんと子供か」


「ああ」


「危険だし、トニー達はどっかに避難していていいんだぜ?」


「そうだな……」

どうしようかと悩んでいるトニーの服の裾がクイと引っ張られる。


「うん? どうしたんだい、ミーナちゃん」


「……ジョンおじさん、家族の人危険なの?」


「ああ、危険というか安否がわからないから確認しに行くんだよ」


「……トニーおじさん……手伝ってあげて?」

上目遣いで懇願するミーナ。

18歳という事だが、イースレイが大人び過ぎていたのか些かミーナは子供じみて見える。

はかいりょくはばつぐんだ。


「ぐ……わかった」


「ロリコン?」


「18はセーフじゃ……」


「ギリアウトじゃね?」


「ぐ……」

やられた手前、反論ができないトニー。


「……サンキュな。トニー、ミーナちゃん」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「はあ、はあ、ジョン!」


「任せろ! 死ねゾンビ野郎!」

ジョンの拳銃がトニーのそばにいたゾンビの頭に命中する。


「あの……私を下ろしてください……このままじゃおじさん達が危険です」

トニーはミーナをおぶって走っている為に上手くゾンビを捌くことが出来ない、故にジョン任せだ。


「悪いねミーナちゃん、私たちもある人の君の事を頼まれてるから早々に投げ出せないんだよ」

ミーナの中に眠るもう一人の人物、イースレイが自分たちを信頼して任せてくれたのだ、さすがに即座に裏切るわけにはいかない。


「トニーを説得したのもミーナちゃんだし、子供は黙って甘えてればいいのさ! 死ねぇ!」


「……はい……」

三人は現在ジョンの家を目指して表通りを駆け抜けている。

初めはまばらだったゾンビも銃声を聞きつけて徐々に集まり、今では危険な数まで膨れ上がりつつある。


「キリがねえ、トニーどうする?」


「お前の家まであとどれくらいだ?」


「あそこの角を曲がって三件となりだ」


「良し、強行しようか」


「どうやって?」


「コイツを使え」

トニーは持っていたショットガンをジョンに投げ渡す。


「おいおい、こんな装備じゃ正面突破は無理だぜ?」


「ソイツはこうするんだ!」

トニーはそばにあったバイクを全力で蹴り飛ばす。


「撃て」


「なーる。吹っ飛べぇぇぇ!」

あまり遠くに行かなかったので少し下がり、正面のゾンビをひきつけてジョンはガソリンタンクを撃ち抜く。

バイクは爆発炎上し、周囲のゾンビを巻き込んで吹き飛んだ。


「わーお、火がついてるのに歩いて来てるぜ? あれ? 厄介になった?」


「道は開いた、駆け抜けるぞ!」


「OK」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「門を閉めるぞ!」


「早くやってくれ! 入ってくんなコノ!」

ジョンがショットガンで入ってこようとしたゾンビをはじき出し、その隙にトニーが門を閉める。


「抑えになりそうなもの持ってきました」

タイミングよく庭から重たそうにミーナがベンチを持ってきた。


「ありがとう、ミーナちゃん」


「ふぃー……やっと人心地ついたぜ」

門に押し付けたベンチを背にジョンはもたれかかった。

諦めきれずにガシャガシャと門をたたき続けるゾンビが鬱陶しい。


「はい、工具箱です」

ジョンがあらかじめ教えておいた物置からミーナが工具箱を持ってきた。

なんとか役に立とうと必死なのが健気だ。


「ありがとう。落ち着いてないでお前も板括りつけるの手伝え、ってかお前の家だろう」


「あー……俺のベンチが」


「ぼやいていないで早くしろ、お前がゾンビを抑えてくれないと針金が通せない」


「へーいへい」






「これでよし。しかし、いい家に住んでるな」


「へっへー、まだ買ったばかりだぜ? シェリー、エレン! 俺だ、ジョンだ!」


「……誰も出てきませんね」


「避難しているのかもな」


「おい! シェリー、エレン! ……鍵は閉まってるな」


「持ってないのか?」


「待て、今開ける」

カシャンと鍵が開く音が聞こえ、そっと扉を開ける。

チェーンはかかっていない。


「シェリー、エレン。居たら返事しろ!」

三人は少し不安に思いながらも慎重に中を調査する。

玄関、リビング、キッチン、バス、トイレ、順に見て回ったがどこにも見当たらなかった。


「あとは二階か」


「避難してるんだよな? そうなんだよな?」

不安なのだろう、声が震えている。


「ジョンおじさん……」


「ああ、きっとうまく逃げ出したんだろう」

気休めだとわかっていてもトニーはそう答える事しかできなかった。


ゆっくりと階段を上がり二階にたどり着く、二階は三部屋プラストイレ。

一部屋は書斎、後は夫婦の部屋と子供部屋の二つ。

まず書斎を開けてみる。


「居ない……な」


「シェリー……エレン……」

次は夫婦の部屋。


「居ないですね……」


「……」

最後に子供部屋。


「シェリー!」

子供部屋の中央付近に一人の女性が蹲っていた。


「待て!!」

トニーの静止も聞かずにジョンは部屋に踏み込む。


「シェリー、エレンは居ないのか?」


「……おじさん……」

蹲る女性は何かを食べているようだ。

一心不乱に、旦那の声にも気づいていないかのように。


「なあ、シェリー……何を食べているんだい?」


「おいジョン、不用意に近づくな!」

もう一歩踏み出したジョンにやっと気づいたのか、女性は食事をやめて顔を上げる。

手に持っていたものがゴトリと落ち、ジョンの足元に転がってきた。


「っ!? ミーナ、見るんじゃない!!」

その正体をいち早く察知したトニーは慌ててミーナの目を覆う。


「お、こ、あ……え……れん?」

シェリーの手から転げ落ちた無残にも半分を失った生首。

子供(エレン)の生首。

口元を真っ赤に染めたゾンビ(シェリー)がジョンを視界に捕らえてニヤリと笑ったかのように見えた。


「シェリィィィィィィィィィィィィ!!」

ジョンはジーンズに差していた銃を引き抜き、狂ったようにゾンビ(シェリー)に向けて引き金を引く。

何度も、何度も、まるでそれしか出来ないかのように引き金を引き続ける。


「ああああああああああ!!」

カシン、カシン、と弾切れを示す音が聞こえた。

足元にはすでに動くことのない完全な死体が横たわっている。


「ジョン、ジョン!! ……もう終わってる」


「あ……ああ……シェリー……エレン……くそおおおおおおお!!」


「ジョン……」


「なんで、なんでだよ! 俺が何かしたのかよ!! くそ、くそ!」

ジョンは四つん這いになり、地面を力の限り叩いている。

その拳は血がにじんでいた。


「エレンはまだジュニアスクールだぞ! シェリーもまだ20代だぞ! それが……それがあああ……」

フラフラと立ち上がり、ジョンはどこかへ歩いて行こうとする。


「おい、ジョン。どこへ行く気だ!」


「……ゾンビどもを駆逐するんだよ……ついでにこの事態を引き起こした元凶も! まとめて! 全部! ぶっ殺すんだよ!!」


「まて、落ち着け!」


「これが落ち着いて居られるか? 俺の宝物を全部奪っていったんだぞ!?」


「おじさん、落ち着いて下さい!」

いつの間にかミーナは部屋の中に居た。

トニーは「しまった」と思ったが、ミーナは気にした様子すらない。


「ミーナちゃん、それは無理だよ……落ち着けるわけがない」


「そんなおじさん見たらシェリーさんもエレンくんも悲しみます!」


「じゃあ俺の悲しみはどこに持っていけばいい!? なあ、教えてくれよ! なあ……なあ……」


「おじさん」

ミーナは再び崩れ落ちたジョンの頭を抱えて優しく撫ぜ始めた。


「一度冷静になろう? それから仇うちの事考えよう? ね?」

優しく、優しく、小さな子をあやすようにジョンを慰めるミーナ。

やがて……


「あ……ああ……ああああああ! うわあああああ! シェリー、エレン、ああああああ!」

ミーナの胸に顔を押し付け、大粒の涙を溢しながら男は慟哭する。

18の少女に胸の内を全て吐き出すように泣き叫ぶ。

ミーナは服が汚れるのも一切気に留めず、ただただ悲しみにくれた男を気のすむまで抱きしめていた。


お付き合いありがとうございました。

やりたかったシーンが出来た、満足!

次はゴードンにしようかトニーを続けようか……。

ブックマーク、評価、感想、お読みいただいている皆様方

いつもありがとうございます!!

最低でも週に一回は更新していきたいなあ……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ