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正体不明の英雄

予定で伝えてありました更新日を過ぎちゃいました。

大変申し訳ありません。

→ジェニファー一行⇒シナリオ進行中

 トニー達⇒ジョンの家を後にして拠点を移動しながらどこかへ向かっている。

 ゴードン&ビリー⇒今は少し大人しい。美術館から移動はしていない様子。

レナードとジェニファーは工場施設に訪れていた。

ゾンビに怯えるばかりのクリスだと思っていたが、彼はハッキングの天才だった。

レナードたちがシェルターの中で生存者を助けたいと言っていたのを聞き、何か出来ないかを考えていたおりに、待機所の奥に設置されていたPCを見つけてコレだ! っと奮い立ったのだ。


クリスは街の監視カメラを支配下におき、その映像をもとに生存者を探す。


『背後の扉のロックを外しました。そこから出て右に行ってください。重機のある駐車場を通り、左奥の扉の向こうに人が閉じ込められてます』


「おっけー」


「了解だ」


『カメラにはゾンビの姿はありませんが最大限警戒してください』


「わかってるわ」

この工場施設もその一つ。

かれこれ三か所ほど回ったがどれも手遅れだったので今回こそはと張り切っている。


「おい、生きてるか!? 助けに来たぞ!!」

ドンドンと扉を叩く、クリスに頼めば開けてもらえるがそんな無粋な真似はしない。


「き、救助ですか? おい、皆! 助かったぞ!」

扉の奥から数名の歓声が聞こえる。

やがて、開け放たれた扉の奥から男性四人が顔を出す。

室内はかなり強烈な臭いを放っていた。

トイレも無いのだからしかたないだろう。


「四人か、これで全部だな?」


「はい、私と従業員三名で全部です……他は……」


「分かった、辛いことは思い出さなくていい。歩けるか?」


「ええ、走るのはちょっと辛いですが大丈夫です」


「オーケーだ。俺が先頭、ジェニファーは殿を。クリス、安全なルートは?」


『通ってきた裏口はまばらですがゾンビが増えてます。お二人だけなら大丈夫ですが、救助者を連れているなら正面が最適かと』


「聞いたなジェニファー、シャッター横にある扉を抜けて脱出するぞ」


「任せてよ」

スルスルと重機の横を抜けて正面口に近づいていく一行。

その時、事は起こった。


「っ!? なんだ?」


「シャッターが!」

ガンガンとシャッターを何者かが殴りつけている。

その衝撃にシャッターは歪み、徐々に形を変えて行く。


「なにかヤバい! 車体の影に隠れろ!」

全員を誘導し終えた瞬間、シャッターを突き破り、鋭利な刃物のようなものが顔を覗かせる。

開いた隙間に巨大な手が差し込まれ、バリバリと引き裂くようにシャッターが破られた。


「なにあれ……」


「サンドラが言っていたブギーマンだな……」


「拙いわ、ゾンビも音につられて群がって来てる」


「クリス、裏口は?」


『裏口も大量に群がって来てます!』


「八方ふさがりか……」

どうするかを考え始めたレナードに救助者の男たちが口々に喚き始める。


「おい、どうするんだ!」


「俺たち死ぬのか?」


「アンタらが来なければ!」

それを叱責したのは工場長。


「黙らんか! この人たちが来なければどうせ最悪餓死していただろう! 感謝こそすれ、避難する謂れなどないわ!」

その一言に全員が口を噤む。

見事にこの場を収めた手腕は流石に長と言うべきか、しかし、この場においては悪手だったともいえる。


「む? 聞かれたか! こっちに向かってくる」

思いの外声が大きかったためにブギーマンの耳に入ったのだろう。

彼奴は迷うことなくレナードたちが隠れているこの場所を目指して歩いてくる。


「下がれ、離れるんだ! 早く!!」

振りかぶったハルバードが勢いよく横薙ぎに振り抜かれ、隠れていた重機が隣の重機との隙間を潰すように

スライドする。


「(なんて力してんのよ!)」

その行動を見るに、大まかな補足しかしていなかったと判断したジェニファーは口の中で毒づいた。


「ひ、い、嫌だ! 死にたくない!!」


「逃げろ、逃げるんだ!」


「無理だ! 殺される!」


「おい、お前たち!!」

工場長が止めるのも聞かずに三人の従業員は裏口に向けて走り出してしまった。

火事場のなんとやら、走るのはギリギリだと言っていたはずなのに物凄い勢いで扉の前にたどり着く。


「待て! その扉の向こうは……」


「ここから出れれば……は!? なんでこんなに……ぎゃああああ!!」


「離せ! やめろ! やめ、ああああああ!!」


「くそ、なんでこんな……あ、ああああああ!」

雪崩のように工場内に押し寄せてきたゾンビ。

男たちはその波に飲まれて見えなくなった。


「おお……神よ……」


「ジェニファー、工場長だけは何としてでも助けるぞ」


「その前に私たちが死なないといいけどね」


「それは当たり前だ、俺はブギーマンを抑えつつ正面のゾンビの数を減らす。お前は裏口から来た奴らを抑えてくれ」


「キツイとこに割り振らなかったのは嬉しいけど、レナード……絶対死なないでね」


「善処する、作戦開始だ」


「作戦って言えるのかしら?」

工場長を安全な場所に待機と指示し、ジェニファーの皮肉を受け流しながらレナードはブギーマンの前に躍り出る。

そのまま牽制に二発。


「キングコ〇グよりかは硬くなさそうだが……効いてる気がしないな」

機動力が削げればと思い、放った二発の銃弾は確かに命中した。

よく見ればわずかに血が流れているのも確認できる。

しかし、その歩みが止まる気配はない。


走ってこないのはありがたいが、ゆっくりと間合いを詰めてからハルバードを振りかぶるその動きは威圧感で圧し潰されてしまいそうになる。


「動作がゆっくりなのは対処しやすいが……こうも手ごたえが感じられないのも厄介だ、な! っと」

振り下ろしをドッジロールで避けてから即座に頭部へとエイムして発砲。

瞬間、開いていた手を動かして顔をガードした。


「御多分に漏れず弱点は頭か」


『レナードさん! 右斜め後方!!』

イヤホンからクリスの声が響く。


「見えてるぜ! そら」

視界にブギーマンを収めつつ、右後方に向き直ったレナードは即座に近づいていたゾンビの頭を吹き飛ばす。


「こりゃキツイな」

持っていたライフルをサブマシンガンに持ち替えて、ブギーマンを視界から外さないように立ち回りつつゾンビの群れに掃射する。


「キリが見えねえ」

戦闘音を聞き、近くにいたゾンビがさらに群がり始めたのだろう。

壊れたシャッターから続々と流れ込んでくる。


「ぬお! マズイ!!」

捌き切れずに掴まれそうになったレナードは即座に蹴り飛ばして対処する。

そのわずかな時間でブギーマンが視界から外れてしまう。

慌てて視界に収めるも、ハルバードを振り下ろす直前まできていた。


「レナード!!」

ジェニファーが放った銃弾がブギーマンの側頭部に当たり、ほんの僅かに動きが鈍った隙をついてレナードは死地から生還を果たす。


「サンキュー! 流石に危なかった」


「しっかりしてよね!」


「しかし、こりゃ本当に腹を括らなきゃならんかもな」


「……レナードと一緒なら平気よ私は」


「なんか言ったか?」


「いーえ、何も」

頷きあって再び自分たちの仕事に戻る二人。

このままではジリ貧になることは確実。

ならばせめてこの化け物に手傷の一つでも負わせて逝こうかと思ったその時、工場施設の中に別の音が響いた。


それはガラスの割れる音。

見回すと工場の二階部分の窓が一部割れている。

一体何が起きたのだろうか。


しかし、それよりもこの状況をどうにかする方が先決と気を取り直した二人の耳に、さらに別の音が聞こえる。


「工場長!」


「化け物め、部下の仇だ!」

姿が見えないと思っていた工場長は重機の鍵を取りに行っていたらしい。


ブギーマンに向かって体当たりを敢行する。


『おおおおおおん!』

ブギーマンが鳴いた。

ハルバードを地面に置き、両手でもって重機を抑え付ける。


「ナイスだ工場長!」

動きの止まった重機に群がるゾンビを駆逐しながらブギーマンの頭に数発発砲する。

何発かの後に、晒された弱点である頭部を撃つレナードを危険視したのか、彼奴は驚くべき行動をとる。


「おわ、おわわわ!?」

少しづつ重機が持ち上がる。

投げるつもりだ!


「マズイ、工場長! そこから脱出しろ!!」


「ひ、ひいいい!!」


「ぐお!? すこしダイエットした方がいいぞ、工場長」

飛び降りた工場長を受け止めきれずに転がったレナードは一言そう愚痴る。


「わ、私はふくよかなのです! あと、ドナル・ルドマンという名前です!」

今さら感と、この状況でか!? という気がしないでもない。


『おおおおおおん!』

完全に担ぎ上げる事は出来なかったようだが、重機を持ったまま腰を捻るブギーマン。

遠心力を使って此方に投げつける腹積もりなのだろう。

あの質量のものを投げつけられれば躱すことは困難。

せめて工場長だけでもとレナードが思った刹那、唐突にブギーマンが倒れて昏倒する。


唐突にと言うのは語弊があった。

ブギーマンの頭部目掛けて工場の電灯が落下してきたのだ。

それの直撃をくらい、奴は動かなくなったのだ。


「……なんだかわからんがとにかくチャンスだ、ジェニファー!!」


「ええ! 退路を開くわ! 奴に止めは!?」


「させる状態に見えるか? さしたいのはヤマヤマだがな」


「同意ね、さあ逃げましょう!」














「(あの電灯……偶然じゃないな……二階のガラスが割れたのは電灯を狙って誰かが狙撃したのか?)」

脱出に成功し、一息ついたレナードはあの時の事を思い出していた。

あの状況下でタイミングよくブギーマンの頭上の電灯のみが落下してくるなんて幸運は天文学的な確率が必要だというのは容易に理解できる。

だとするならばアレは人為的に引き起こされた事象。

ならば一体誰が助けてくれたのか。

いや、ひょっとすれば彼奴を無効化するのに囮に使われた可能性もある。

どちらにせよアレが無ければレナードたちは助からなかったのもまた事実。


「(まあ、今は感謝しておくか……Mr.Unknown(正体不明の英雄)さんよ)」

囮ではなく、救助であった場合これほど心強い存在はない。

なにせピンポイントで電灯のつなぎの部分を狙撃したのだから。

レナードは敵でないといいという願いを込めて、その姿の見えない人物を英雄と称した。


ジェニファー達はほのぼの系と言ったな?

すまん、ありゃ嘘だ。

予定に間に合わなくて重ね重ね申し訳ありません。

ここまで読んでいただいて感謝!!

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