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うずめちゃんの神様days!  作者: 青星明良
第1巻 ウェディングドレスですよ、女神様!
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プロローグ 天と地が出会った日

こんにちは、草もちです。


いちおう児童向けとして書いたけれど、あまり自重せずにギャグを投入しているので、楽しんでいただければ幸いです。


では、みなさん、ご覧ください! 今回の投稿のプロローグは、神話の時代から始まり、次回から本編である現代になります!

 昔々、かな~り気が遠くなるほど大昔のことです。


 高天原たかまがはらと呼ばれる天上の世界にいた神様たちは、太陽神アマテラス様にお仕えして、のほほんと平和に暮らしておりました。このアマテラス様というおかたは、


「弟のスサノオが乱暴で意地悪ばっかりするぅ! 何かもう嫌になっちゃった!」


 と、いじけて、天岩戸あまのいわとという洞窟の中に隠れ、しばらくの間、引きこもり生活をしていたことがある困った女神様なのですが、ある日、なぜか急にヤル気を出して、


「地上で生活している人間たちのことが心配だから、みなさんで様子を見て来てください」


 そんな命令を神様たちにしたのです。


 突然、面倒くさい命令を出されたものだから、神様たちは当然ブーブー言いました。


「地上には地上の神たちがいるんですよ。地上の神たちが、わたしたち天上の神と仲良くしてくれるか分からないのに、地上に降臨するのは気が重いです。ケンカになったら嫌だし」


 天上の神様のことを天津神あまつかみ、地上の神様のことを国津神くにつかみというのですが、天津神たちは長い間、高天原でまったりしていたせいで、すっかりなまけぐせがつき、たるんでいました。お腹のほうもだいぶたるんで最近メタボぎみの神様もいたのです。


「何よぉ、みんな……。わたしの言うこと、聞いてくれないんですかぁ~?」


 すぐにいじけるアマテラス様が、ぐすっと涙ぐみました。


(あっ、やべえ。また引きこもられる)


 太陽神のアマテラス様が天岩戸の中に隠れると、天も地も真っ暗になり、この世は永遠に夜の世界になってしまうのです。神も人も大迷惑! というわけです。


 前みたいな「アマテラス様天岩戸引きこもり事件」が起きてみんながパニックになるよりは、地上に降臨こうりんするほうがよっぽど楽だと天津神たちは考えました。


「分かりました。行って来ます」


 と答え、高天原をしぶしぶ出発して、地上に降り立とうとするのでした。しかし……。




「おや? 何だ、あいつは?」


 天から地へと降りる、天のはしごの途中で、一人の国津神が仁王立ちして天津神たちを待ち構えていたのです。しかも、


 ピカーーーッ!


 と、彼の体からはとても強い光が発せられ、その光は、上は高天原、下は人間界まで照らし、ただものではないオーラがバンバンしていました。


 謎の国津神の登場に恐れをなした天津神たちは、「おまえは、だれだ!」と、たずねる勇気もなく、すたこらさっさとアマテラス様のもとへ逃げ帰ったのです。




「え? そんなに強そうな神様がいたんですか?」


「は、はい、アマテラス様。そりゃぁもう、山のように大きな男なんです。顔が真っ赤で、鼻はびょーんと長く突き出ていて、目はギラギラと輝き、あいつは怪物ですよ」


 戻って来た天津神たちがそう報告すると、それを聞いていた一人の美しい女神様が、


「ぶわっはっはっはっはっ!」


 と、腹を抱えて足をジタバタさせながら大爆笑しました。


「何がそんなにおかしいのです? アメノウズメ」


 不審に思ったアマテラス様がそう聞くと、アメノウズメと呼ばれた女神様は、


「おかしくって仕方ないですよ。この人たち、その国津神がおっかなくて、まともに相手の顔すら見ることができなかったから、そんなでたらめなことを言っているんです」


 と、ニヤニヤしながら答えました。


「わたしが今からそいつのところへ行って、おまえはだれだって聞いて来てあげますよ」


 ウズメ様がそう言うと、仲間の天津神たちは心配して顔を見合わせました。


 いつもニコニコ笑ってばかりいる、この女神様の特技は、踊ることです。


 特にケンカが得意というわけでもないのに、恐ろしい国津神のところに行って来ると言うのですから、みんなが心配するのは当たり前です。しかし、のんきなアマテラス様は、


「じゃあ、ウズメに任せます。みなさん、そんなに心配する必要はありませんよ。度胸のあるウズメなら、きっとやれるでしょう。今日のおやつをかけてもいいです」


 そんな軽いノリでウズメ様を地上へと遣わしたのでした。




「あなたね、みんながビビッていた国津神っていうのは」


 ウズメ様は天より降り立つと、早速、ウワサの国津神に声をかけました。


 ですが、国津神は無口なのか、何もしゃべらず、ウズメ様をじぃ~っと見ています。


「にらめっこなら負けないわよ! ……にーらめっこしーましょ、笑ったら負けよ、あっぷっぷ~!」


 ウズメ様はそう言い、ほっぺたをぷく~っとふくらませて国津神をにらみ、


「うぷっ……。うひゃひゃひゃひゃ~っ!」


 笑ったら負けだと自分で言ったのに、わずか一秒で大爆笑しました。


「何がそんなにおかしい」


 顔を見るなり爆笑されて、ちょっと傷ついた国津神がそうたずねました。


 仲間の神様たちから「顔がこえーよ、おまえ」とよく言われていて、自分の顔のことをけっこう気にしていたのです。


「めんご、めんご。だってさぁ、わたしの仲間の天津神たちが、怪物みたいな顔をした神がいるとか言うから見に来たのに……ぜんぜんそんなことなくて、拍子ぬけしちゃったのよ」


「……オレの顔、恐くないのか? みんな、オレのことを恐いと言うぞ」


「それは、あなたのことをちゃんと見ていないだけ。気づいてないの? あなた、とても優しい目をしているわ。……ねえ、あなたはだれなの? 名前、教えてよ」


 国津神は、笑顔が愛らしい女神様をまぶしげに見つめました。


 初めて自分のことをそんなふうにほめてもらい、とてもうれしかったのです。


「オレの名は……導きの神、サルタヒコだ。アマテラス様の命令で地上に降臨する天の神々たちを出迎えて地上への道案内をしようと思い、ここで待っていたのだ」


 つまり、サルタヒコと名乗った国津神には最初から敵意などなかったわけです。


(なぁんだ。やっぱり、最初に行った天津神たちの早とちりだったんだ)


 ひと安心したウズメ様は、サルタヒコ様にスッと手を差し伸べ、ほほ笑みました。


「これから仲良くしましょ、サルタヒコ。わたしの名前はアメノウズメ。笑って踊って、人々の涙を笑いの花々に変える女神よ」



 天上の女神と地上の導きの神が、天と地の間で運命の出会いを果たしたその日。


 青空は、二人の出会いを祝福するように、どこまでも美しく晴れ渡っているのでした……。


<うずめの一口メモ>

次回から本編に入って、主人公である私、笑美うずめが登場するよ~。

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