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『霧島華音・結』 ~『不思議』の『何でも屋』~  作者: hermina
第2章 『船幽霊(もうれんやっさ)』 ~海魔の章~
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『船幽霊(もうれんやっさ)』 ~海魔の章~

(あ、華音様。おしさしぶり〜)

(いやー何年ぶりだろうねぇ♪)


うちは、海から顔を出すと、巫女服(と言うらしい)姿の幼い女の子・・・華音様に挨拶をする。


「うむ、久しいな。」


「えっと、この可愛い子はいったい?」


(可愛いだなんて、正直な子だねぇ〜お姉ぇさん嬉しいよ?)


其処には見かけた事のない少女が居た。

花子さん・・・以外にも、華音様の関係者っておったんねぇ?

それにしても、普通の人間・・・に見えるなぁ?


「香奈、こう見えても海魔『クラーケン』だぞ?」


(華音様、こう見えてもってのはお互い様ですよ?)

(それに、華音様程ロリじゃありませんよ?)


「誰がロリか!」

「・・・今日2回目だ。」


「あは、あははははは」


あれ?ロリって可愛い女の子の事を差す褒め言葉・・・だと思ったんやけど?

うちの言動は周囲に乾いた笑いをもたらす事となった。


「さて、本題に移ろう。」


多分、華音様の言わんとする事は、アレの事だろうね?


(あ〜大体分かります。)

(海の中のアレの事ですね?)

(うちらも、アレには困ってたんですよぉ〜)


「ふむ、して、何がある?」


(多分ですが、『霊石』の一種・・・だと思いますよ?)

(それも、カナリやばめのヤツですよ?)

(うちらじゃ、うっかり触れないシロモノですよぉ〜)

(できれば、封印もしくは破壊して欲しいなぁと思いますよ?)


そう、うちらじゃ手が出ん。

霊的な物を引き寄せる『霊石』の様な物。

それが、うちの見解やね?

精霊・・・海魔であるうちが手を出せば、引き込まれてしまう可能性が高い。


「『船幽霊もうれんやっさ』を引き寄せた原因もそれだろう。」

「『符』を使う。」


「はい、『白符』と筆です。」


そばに控えていた、花子さんが華音様に『符』(だと思う。)と筆を手渡す。

華音様は、其れにさらさらと文字を走らせる。


「文字には力がある。」

「って誰かが言っていたが、それは本当だ。」


言いながら華音様は、ひとつの『符』を完成させた。

『大爆発祈願』と書かれた『符』。

未だに意味が分からないのだが、アレで大爆発が起こるんよね・・・


「これにチカラを込めれば大爆発する『符』の完成だ。」

「っと忘れていた。」


華音様は、『大爆発』の『符』にさらさらと文字を書き足す。


『防水祈願』


まあ、そんな『符』よりも、華音様が一番不思議・・・なんやけどね。


その他にも数枚・・・華音様は『符』を完成させた。


「連絡用に・・・コイツを連れて行く。」


華音様は、ひょいっと黒い猫を持ち上げる。

華音様の使い魔なのだろうかね?


「あ、この子、いつもいる黒猫ですよね?」


「この子も、『霧島華音』の子なんですよ〜」


「じゃあ、行ってくる。」

「クラーケン、案内を頼む。」


(ほーい、華音様。)


うちは、華音様・・・と黒い猫の周囲に泡のようなモノを作る。

人(と、猫。)・・・が、水中で活動できるよう、酸素を取り入れ二酸化炭素を・・・

・・・まあ、面倒くさい説明は抜きとして、そんな感じのモノ。


華音様と黒い猫(黒い猫は華音様に抱きかかえられて)は海の中に入る。

泡は問題無いようね?

うちは、華音様の手を握ると、『霊石』(だと思われる)モノの下へと泳ぐ。


(そういや、華音様。)

(あの・・・香奈ちゃん?って言う子・・・華音様の関係者です?)


「いや、香奈は・・・普通の人間だ。」

「何て言うか・・・友達・・・だ。」


恥ずかしいのか、だんだんと声が小さくなる。


(まあ、それはそれは♪)


華音様は、特殊な環境に居られる方や・・・友達がいると聞いた事が無い。

これは、華音様にとって良い影響をもたらす・・ハズやねぇ?


「な、何だ!?、私にだって友達の10人や20人いるぞ!?」

「・・・オンラインゲームに。」


(クスクスクス・・・)

(はい、はい、分かりました。クスクスクス・・・)


「クラーケン!馬鹿にしてるだろう?絶対に馬鹿にしているっ!!」


子供みたいに、むきになる華音様。

こうしてると、見た目の年齢通りなんやけどね?

っと・・・そんな話をしていると、前方に大量の『船幽霊もうれんやっさ』が見えてくる。


(華音様!)


「うむ。」


その『船幽霊もうれんやっさ』の大群の真ん中に・・・『霊石』(と思われるモノ)が見えた。


「此れが・・・何故、此れが此処にある!?」


(華音様?)


「此れは、此処にはあってはならないモノだ。」

「此れは・・・」


くさび


「此れがあるという事は・・・」

「兎に角、破壊しておくしかない。」


華音様の顔には焦りとも、驚きとも取れる表情が浮かぶ。


「花子っ」

「今から・・・」


華音様は地上に連絡を取っているようだ。

多分、これから破壊するにあたって、その影響について連絡しているのだろうね?


「クラーケン。」


(はい、華音様)


うちは、華音様から距離を取る。

華音様は、一枚の『符』を取り出すと、『くさび』に向かって飛ばす。

泡の中から放たれた『符』は、さらに小さな泡をまとい、大気中と変わらぬ様に真っ直ぐ『くさび』に触れる。

くさび』に触れた『符』は、うちが作った泡のような・・・と言うより、透明な薄い殻を作り出す。

周囲に居た『船幽霊もうれんやっさ』も、中にしっかりと閉じ込める。

華音様は、さらに『符』をもう一枚飛ばす。

薄い殻を無いモノの様にすり抜けて、『くさび』に触れる。

『符』よりチカラが解放される。


『大爆発祈願』


ずしんっ


っと、周囲が震えた。


薄い殻の中は、『くさび』の破片的な物や、周囲の砂を巻き上げて煙・・・の様な物に包まれる。


ぱりんっ


と軽い音をたて、殻が破れる。

くさび』は跡形も無かった。


「・・・戻ろうか。」


(はい。)


十数分後、うちらは元の漁港へと戻ってきた。

華音様が、地上うえに上がったのを確認し泡を解除する。


(ありがとうねぇ、華音様)

(じゃあ、うちは帰るね?)


それだけ言うと、うちは海へ潜った。

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