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好きだよ、  作者: yui
8/11

*すれ違い*

亜紀side*





わたし、


坂本が好き


なのかもしれない





そう思った瞬間、


自分でもびっくりして


どきどきした





好きってこういうことなの?






でも……








2年近くずっと一緒にいたのに、

最近離れてるから、


勘違いしてるのだけかもしれない








それにわたし、


健人くんに告白された時も

どきどきしたじゃん









今までそういう恋愛事に

縁がなかったから



きっとわたしの心臓、

びっくりしてるんだね








まずは坂本と


仲直りしなきゃ




明日、会ってちゃんと話そう







まだどきどきがやまないまま、



わたしは坂本にメールを送った





***






メールを送ってからもう3時間以上経つのに



返信が来ない




時計をみると、

もうすぐ日付が変わってしまいそうだった


寝ちゃったの?


それとも…





そんなに怒ってるの…?




寝ていて気づいてないのだと信じて、



もう1通送る




『明日、2時に、学校の屋上で待ってる。』




なにかあと1言くらい付けたかったけど、

迷って迷って

結局こんな短いメールになっちゃった



たかが坂本へのメールなのに

わたしやっぱり変






明日は創立記念日前日だから部活はどこも12時まで

だから2時


場所は…



わたしと坂本が初めて話した所


中学の屋上



ってわけにはいかないから高校の屋上






坂本、


わたしはそれくらい本気で



元に戻りたい






気づいて…






***




翌日





部活が終わって今1時。



今日のことは愛奈にも話してない



というより、緊張しすぎて話せなかった




なんて言おうか



考えながら待つ



すごく心臓がどきどきいってる



2時



来ない





3時



来ない





4時








来ない…






雨が降ってきた



ちょっとひさしのあるところに隠れるけど、


ひさしは小さくて、



雨は少しはいってくる





寒いし冷たいけど




待ちたい






坂本に




会いたい





お願い…



来て………!





***




雄也side*






12時半


部活も終わって仲間6人くらいと一緒に校門を出る



2時に屋上…


行けるわけない…




颯太「坂本〜カラオケいかね?」


「おー」



カラオケ行って忘れよう





6時


「あー歌った歌った」

「雨降ってんじゃんかよー」

「俺傘ねーよ」

「俺もー」

「駅まで走っか!」

「おーい坂本早くしろよー」



カラオケは結局思うほどすっきりしなくて


昨日の桜井の横顔が頭から離れなかった



カラオケ店内は地下だったため圏外だったようで、

颯太たちに返事を返しながら

一応メールを問い合わせてみる



「ピロリン ピロリン」


16時23分



桜井からだった





開くと



「坂本、わたし、

坂本と元に戻りたいの

お願い

来て下さい

待ってます」






雨…

屋上…



あいつまさかまだ……





気づくと俺は


颯太たちの呼び止める声を背に


学校に向けて走り出していた




***





雨のせいもありあたりはもう大部暗くなっていて、寒い




俺は階段を1段飛ばしでかけあがる





バン


ドアを開けて屋上に飛び出すと


向こう側のひさしの下でうずくまっていた影が

そっと立ち上がった



桜井だ





俺はいっそう激しくなった雨の中、

桜井に向かって走った






駆け寄ると桜井は髪も服も濡れていて


こんな状況なのに


どきっとしてしまう




「お、お前、雨降ってんだから中入れよ!風邪ひくぞ!てか…なんでこんな時間まで待ってんだよ…!」



「だって…」


うつむきながら震える声で言う


「だって…

中に入っちゃったら坂本と会えない気がして…」



「え…」



桜井が俺を見つめる



「屋上で…今日…仲直りしたかったの…!」




目に涙を浮かべてそう言う桜井がかわいすぎて


好きすぎてどうしようもなくなって


橘のこともなにもかも頭から吹っ飛んで



気づいたら

桜井を抱きしめて








キスしていた














「ん…」




桜井の声で我にかえる




ぱっと離れると


桜井はすごく驚いた顔をしていて



唇に手をあてて



暗くてもわかるくらいあかくなって


俺を見ていた





その赤い顔が


昨日みたことを思い起こさせ俺は




「ごめん…」



と息を吐くように言って




なにもなかったように



「帰るぞ」

と言って桜井を校舎の中に連れていく




「俺、先帰るから、お前、保健室で服借りて帰りな。多分まだ先生残ってるから」



平静を装ってそう言い、

1人で階段を降りる


これ以上一緒にいたら

辛くてどうにかなりそうだった




「なにそれ…」


桜井の小さな声が聞こえる



「ちょっと坂本待ってよ!」


腕を捕まれる




「さわんな…!」


反射的に振りほどいてしまった



「なんで…」




「ごめん桜井。俺もう、お前と元には戻れない」




好きすぎるんだ




「………どうして?」



ふー


息を吐く




涙をこらえて

精一杯にいう







「うざくなった」





息を呑む桜井の気配を感じる




沈黙


雨の音が響く






「じ、じゃあ…



なんでキ、キスなんか…」


「あー気分?笑

別にお前だからってわけじゃねーよ

男なんてそんなもんだろ」



ごめん桜井



でも、今の俺にはこんなことしか言えない




「簡単にキスなんかされないように気を付けろよ、"健人くん"が泣くぞー!」








「なにそれ…


最低…







大っ嫌い!!」




桜井はそう叫ぶと俺の横を走り抜けていった




最後に近くでみた桜井の横顔は




泣き顔だった





俺の目からも


こらえていた涙が




一気に流れ落ちた


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