*ケンカ(雄也side)*
3日たち、
今日は土曜日。
あれから桜井は一言も口を聞いてくれない
てか俺も桜井と目を合わせないようにしてるし
謝りたい
またいつもみたいに、
笑顔の桜井に隣にいてほしいのに
意地をはってしまう
だって謝ったら、
健人のこといいやつって認めなきゃなんねーし
でも辛い
桜井がこんなにしぶといなんて思わなかった
てか3日も口きかなくても余裕なんだな桜井は
それがなによりショックだった
あれから、橘はうちの教室によく来る
部活の仲間に用があって
とか言って、
最後は絶対桜井に声かけて帰ってく
学校中の女子はその話題でもちきり
いくら鈍感だと言っても、友達から言われて桜井も気づいてるんだろうな
橘が桜井を好きだって
でも今の俺にはどうすることもできない
桜井を手放したくない、隣にいてほしいっていうだけなのに
先週までとは違って、
今俺は桜井にそんなこと言える立場にない
みんなが桜井の隣に橘の姿を1番に思い浮かべるだろう
いま、桜井の中で俺は何番目なんだろう
***
HRが終わり、放課後
さっさと部活行くか
部室に向かっていると担任に捕まった
「おい、坂本!お前部活行く前に俺に出すものあるだろ?」
「え?…あーっ!この前のプリント!!教室にあるんですぐ持ってきやす!!」
「職員室にもってこーい!」
うわーめんどくせー
部活遅れるじゃんか
急いで廊下を走って
教室に入ろうとすると、
誰かとぶつかりそうになった
「あ…」
桜井だった
こんなに近くに桜井がいるのがすごく久しぶりに思えて、
目があった桜井がかわいくて、
意識しすぎて、
すぐに視線をそらして
「わりぃ」
とだけ言ってすぐ教室に入った
下唇をかむ
なにやってんだ俺