*ケンカ(亜紀side)*
坂本とけんかして3日たった
あれから坂本とは口をきいてない
でも、わたしからは謝れない
だって、あのときは絶対坂本がひどかったし……
それに、坂本目も合わせてくれないし
でも
たった3日なのにすごく長く感じてしまう。
「ねえねえ亜紀!地理の後藤ってさ、かつららしいよ!笑」
愛奈が笑いながら話す
ほんとこの人はなんでも知ってるなー苦笑
「え!やっぱり?笑なんで知ってるの?」
「1年の授業で、ずれたらしい!爆」
「まじか!爆それめっちゃウケる!!」
坂本はこのこと知ってるのかな?
あとで教えてあげ…っていまケンカ中なんだった
いままで面白いことがあると、いつもお互い話して爆笑してたから、面白いことがあるとつい、坂本を思い出して、
ちょっと悲しくなる
「おーい亜紀?」
「え?あ、ごめんぼーっとしてた(笑)」
「だからー、健人くんのことどーすんの?」
「あ、うん」
「うんって(笑)」
ドッチボール以来、健人くんはわたしによく声をかけてくれる。
健人くんは学校の有名人だから、学校中で噂になってて、友達に、
どーなってんの?
とか、
早く付き合っちゃいなよー♪
とか、
あんなイケメン、もう2度と現れないかもよ!?
とか(笑)、
色々言われるんだけど、
わたしは坂本とのけんかで頭いっぱいなの!
「うーんだって、好きかどうかわかんなくて。第一、告られたわけでもないし(笑)」
「もーう。でもね、」
愛奈が急に真剣な顔でわたしをみつめる
「わたし、健人くんがイケメンだから付き合った方がいいって言ってるんじゃないの。ただ、亜紀は奥手すぎるから、1回誰かと付き合ってみた方がいいんじゃないかなって。そしたら、その人を大好きになるかもしれないし、もしかしたら、本当に好きな人が分かるかもしれないでしょ」
「本当に好きな人がわかる…?」
「一緒にいたいなって思う人。その人のことつい考えちゃう、みたいなさ。わたしだって、最初からいまの彼のことすんごい好きだったわけじゃなくて、付き合って、一緒にいて、色々知っていくなかで、気づいたら"ああ、この人と一緒にいたいなあ、わたし幸せだな"って思うようになったんだよ。」
「…」
「まあでも、亜紀のそういう恋愛に対して真面目すぎちゃうところがすきなんだけどねー笑
だからじっくり考えるのもありだと思うけどね」
「なにそれー!どっちなの(笑)」
「まあまあ。それにさ、亜紀はまず誰かさんと仲直りしなきゃでしょ?」
「…」
「あーなんかあたし語っちゃったー!恥ずーー///」
愛奈は顔をちょっと赤くして、手でぱたぱたあおいでる
かわいいな(笑)
愛奈はきっと
気持ちより噂が先立っちゃったわたしのこと心配してくれてる
坂本とけんかしていることもきづいてて、でもなにも聞かないしあんまり言わない
「ありがとね、愛奈」
「ん?」
「のろけ話♪笑」
「なんだとー!」
隣にいてくれて、ありがとね
***
HRが終わり、放課後
「亜紀!ちょっと顧問に呼ばれてるから先行くね!」
と言って愛奈が教室を走り出ていく
「ほーい(^^)/」
さてと、わたしも行くか
教室をでようとすると、
急に入ってきた誰かとぶつかりそうになった
「あ…」
坂本だった
「わりぃ」
坂本は目も合わせないでそれだけ言うとすぐ教室に入ってしまった
下唇をかむ
なによ
わたし、そんなひどいことした?
でもその一方で、
久しぶりに聞いた坂本の声になんだか涙がでそうになる
なにこれ…
わたしもなんか変…
うつむきながら部室に向かった
すると、
「桜井!」
振り返ると、
健人くんだった
「あ、健人くん…」
「どうしたの?」
「え?」
「え、いやーなんか元気ないなって」
「全然!そんなことないよ。ただちょっと週末で疲れてるの(笑)」
「なんだ(笑)それでさ…」
急に真面目な顔になる健人くん
「ん?」
「今日これから部活?」
「あ、うん」
「俺も今から部活で…その…一緒に帰らない?」
「え!?あ、うんいいよ」
すると健人くんは笑顔になって、
「よかった!あの、じゃあ校門で待ってる」
「うんわかった」
わたしもつられて笑顔になる
「それじゃ…またあとで」
「うん」
健人くんは走っていってしまった
なんか健人くんって優しくて、
こっちまで緊張しちゃう…