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好きだよ、  作者: yui
3/11

*ライバル*

雄也side




「坂本って好きなタイプとかあるの?」


「え?!」


は?え?


やばい


こんな近い距離でそんなこと言われたら…


好きって言っちゃいそう…


「そ、それは…えーと…」


「いや、あのね、さっき友達に聞かれてさー、わたしそういうの考えたことなくてわかんなくって。坂本はどうなのかなって」



な、なんだ

そういうことか

焦ったー

でもやばい

まだどきどきする




「笑顔…かな」

「笑顔?」

「笑顔がかわいくて、見てたいなーって思う人」


桜井を見つめて言う


ぱっちりしたきれいな目



「それってタイプなの?笑」


桜井が笑う


そう、その笑顔


俺の好きなもの




ってやべー

いつもどおりいつもどおり


「まあお子ちゃまさんにはわからないかな」

「なにそれー


あ、降りなきゃ

じゃーね!」


桜井はにっこり笑って手を振って走り降りる


後ろ姿をつい目で追いかける

見えなくなるまで



はあ

俺、べた惚れじゃん




***



翌日



雨orz





1限目は体育


教室で男子が着替えて、

女子は体育館脇の更衣室で着替えることになっている


つーわけで、いま教室は男子しかいない



「おい、坂本聞いた?田中先輩、とうとう清水さんと付き合い始めたらしいぜ!!」

側にいた颯太がやけに興奮して言う

「ふーん」

「ふーんってリアクション薄!清水先輩だぞ!あの超美人な」

するとそのまた隣にいた森本が口をはさむ

「もったいねーよな」


「え、なにが?」

「だって清水さんって元々健人のこと好きだったんだろ?」

「健人?」

「坂本知らない?3組の橘健人。俺去年同じクラスでさ、清水先輩の告白断ったらしいんだよ」


橘?聞いたことない

「へー俺同じクラスなったことない」



「俺もないけど、イケメンって女子がさわいでんの聞いたことある!」

とまた颯太


「お前はそういう情報集めんの得意だよなー笑」


「俺ぐらいになるとな、自然と耳に入ってくんだよっ☆」

「はいはい」



がらっ



教室のドアが開いて先生が入ってきた



「今日は雨でグラウンドが使えないので、グラウンドで体育の予定だった3組と合同で体育館だから頼むなー」



「3組!?グッドタイミング!健人のクラスじゃん」

と森本。

「お!坂本早く行こうぜ。」

「あぁ」




***



体育館


いつもより人数が多くて

蒸し暑い


先生が舞台の上から叫ぶ



「今日は人数が倍になったので、男女混合でドッジボールをしまーす」



いぇーい!とみんなが喜ぶ

ドッチボールとか懐かしいなー



「クラス対抗もいいがせっかくだから、混合にするか」


がやがやとみんなが騒ぐ



「よし!決めた!出席番号を4で割った余りが、0、1、2、3の4グループに別れてくれ。まず0対1、2対3でやって、そのあと決勝戦を行う」



一気に体育館が大騒ぎになる



颯太「俺0だ」

森本「俺もー」

「俺1だ(笑)」

颯太「まじかよー

てか森本ー 橘健人ってどこにいんの?」

「あ、あれだよ健人。2のグループの」

「どれ?」

「ほらいま桜井と喋ってるやつ」

「え?!」


その言葉に驚いて、

森本の指さした方を見ると、

長身のイケメンといつもの笑顔で話す桜井がいた


「ヒュー♪イッケメーン!」颯太が口笛を吹く

「だよなー」

「男の俺でもほれぼれ」

「きもいわ(笑)」

森本が颯太の頭を叩く



でもそんな彼らのやりとりに突っ込めるほど俺には余裕がなかった



なんでだ?

桜井って俺と2年間クラス同じってことは橘ってやつのこと知らないはずじゃ・・・



てか…


あいつにかわいい笑顔向けんなよ


あいつがお前を好きになったらどうすんだよ・・




***





「じゃあ次は余り2対3!はやく外野とか決めろー」



0対1の試合は即行で

俺のチームが勝った


「やっぱ坂本強いわーあっさり負けてしもうた」と颯太

「てかおれらのチーム人材弱かったよな。坂本のとこ運動部多すぎ」



そんな森本たちの隣で

いそいで桜井を探す


桜井と橘は近くにいなくて、桜井は他の女子と喋ってた


さっきのはたまたまかー


ちょっと気分が晴れて、

森本たちの会話に加わる





ピー


試合が始まった


「くそー

橘ってやつは運動もできるのか!」と颯太


「だってあいつバスケ部だし」と森本


「へぇバスケ部なんだー」

「そだよ。けっこううまいらしーぜー」



会話に加わりながらも

ついつい桜井を目で追いかける



桜井は…

逃げてばっか(笑)

でも楽しそう

いつもの笑顔だった






すると、


相手チームのたしか柔道部の体でかくて強そうなやつが

桜井のいる辺りに向かって超豪速球を投げた



「危ない!」





俺がばっと立ち上がっるのと、

橘がすごいスピードで走って桜井の目の前でボールをとったのはほとんど同時だった



「あんた女の子にそんな球なげるなんてさいてー!」

「悪い悪い。まじで手が滑ったんだって!」

「まあドッジボールはそういうゲームだけどな」

「たしかにー」

「ちょっと!」


2の女子と3の男子を中心に女子と男子がもめている




そうやってみんなががやがやしてる間、俺はみてしまった








驚いてしりもちをついてしまった桜井に、橘が何か言いながら手を差し出して、

桜井がその手をちょっと恥ずかしそうにしてとり、立ち上がって頷いたのを




側に座ってる女子たちの会話が聴きたくないのに、はっきりと聴こえる



「きゃー!今の健人くん超かっこよくなかった?!」

「ねー!だって全く亜紀と反対側にいたのにめっちゃ速かったよね!!」

「もしかしてさー、健人くんって亜紀のこと好きなんじゃない?」

「絶対そうだよね!」

「えーいいなー亜紀!」

「てか清水先輩振ったのも亜紀が好きだったからだったりして!?」

「え〜超一途!いい!」

「カップル成立秒読み!?」

「お似合い〜><!」




なんだよ

変な想像すんなよ

勝手に盛り上がるなよ



ただたんに橘は勝ちたかったんじゃねーの?


桜井だってそんな簡単に好きになったりしねーよ





色々心の中で唱えてはみるけど、


正直、




やばいかもしれない




***




結局桜井たちのチームは負けてしまい、


俺のチームも決勝で負けてしまった




はあなにやってんだ俺は



すると

「さーかもとっ♪」

と言って桜井が肩を叩いてきた


「なに?」

「決勝どーしたの?いつものすごい速いボールなかったじゃん」

いたずらっぽい笑顔

でも、

さっきの照れた横顔がかぶる


でも、

いつもどおりいつもどおり

と平静さを保つ



「あ?疲れてたんだよ。歳だな歳」

「まだ華のSEVENTEENでしょ?笑」

「お前とちがって大人なの、俺は」

「はあ?わたしも17だし」

「え、7?」

「もーさいてー笑」


ああやっぱり、さっきのは勘違いかな


いつもの桜井にほっとする



すると、


「桜井!さっきは大丈夫だった?」



健人が俺と反対側の桜井の隣にきた


「あ、健人くん!うん大丈夫、ありがとう^^」


笑顔で応える桜井



「// ならよかった…えっと…それじゃっ!」


「うん、じゃーね」


昨日電車で俺に見せたのとおんなじ笑顔で桜井は橘に手を振った



橘のやつ、今絶対、「かわいー」って思ったよな


桜井、他のやつには見せんなよ


誰にでも笑顔な桜井が好きなのに、そう思ってしまう

てかなんで橘のこと下の名前で呼んでんだよ



「さかもとー?」

「え、ああなに?」

「ぼーっとしてたから(笑)」

「ああ、わりいわりい」

おもしろそうにクスクス笑う桜井



俺は4年以上一緒なのに

坂本


苗字



だめだ、我慢できない


橘になんか渡したくない


限界。



「てかさー橘って好きじゃないわー」

「え?なんで?いい人だったよ。助けてくれたし」

「お前助けてくれたって思ってんの?あんなのかっこつけてるだけだろ。自己満。」

「なにそれ…坂本言い過ぎだよ」

困った顔をする桜井


こんなこと言いたいんじゃない

でも止まらない


「だいたいお前も、ちょっと助けられて手さしのべられたくらいで照れるとか単純すぎ」

「え…照れてなんか…」

「ふーん。てっきり俺はお前があのかっこつけに騙されたのかと思ったよ」





………





「今日の坂本変。そんなこと言うの最低だよ。」




いつもの笑顔でも、

拗ねた顔でも、

いたずらっぽい顔でもない、




みたことのない、



桜井の怒った顔だった






桜井は俺を置いて早足で去っていった







ああ

なにやってるんだ俺は



ただ桜井が好きなだけなんだ




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