Sorrow and Start
朝。みなそれぞれが思い思いの時間に起き、そしてみなが顔を合わせる時間。なのにいつもとは違う。
「一人足りない」こう希はつぶやいた。その通り足りなかった。倖の姿が見えないのだ。
「寝坊でもしてるんじゃないかなぁ」といい、成也は倖の部屋に行った。
何事もなかったように食事をしていると、成也は顔色を変えて走って戻ってきた。
「たたたたた大変だよ!倖が部屋にいないんだ!」
みんなで部屋に行ってみたが、本当にいなかった。争った形跡もなく、夜遅くに一人で出かけるような
奴でもない。つまり消えたのだ。 すると琥珀から携帯へメッセージが届いた。
【おはよう諸君。どうかね?新しいイベントは。楽しんでいますかー?今日の課題は倖君を見つけることでーす。ではがんばってくださいねー】
なんということだ。 さっそく倖探しが始まった。
昼、夕方、現在と集合して現状報告とかしてみたものの、だれも探すこともできずに一日が終わろうとしていた。これが初めての課題失敗だった。
携帯が鳴る。琥珀からのメッセージだった。
【結局見つからなかったんだね~。残念。課題失敗だね。明日も課題用意してあるから、がんばってクリアーしてねー。あ!あと失敗してるんだからそれなりのリスクはあるからねー。】
それぞれが不安を抱きながら眠りにつき、朝を迎えた。
しかし、昨日とはもっと別の事態に陥っていた。
今度は3人、倖合わせて4人が消えたのだ。
「よし、いなくなったのは 倖、高春、ゆうみ、かよの4人だな。」と雄大が言い、のこった人たちで捜索を続けた。
しかし一向に見つけることができない。
そしてとうとう夜になり、この日の課題がクリアーできなかったのだ。
例のごとく、琥珀から同じようなことを言われ、疲れていたのか寝たくなかったのに寝てしまっていた。
そしてとうとう、徹也と鷲もいなくなってしまった。
もう半ばあきらめていた。これ以上探しても見つからないのではないか、どうしようもできないのではないか。
そう考えているうちに、森の奥に来ていた。今まで来たことがない、とてもとても奥地だ。
そこに一つ洞窟があった。入る気持ちなどなかったはずなのに、なぜか体が勝手に動いていた。
そこで見たものは、僕には衝撃が大きすぎた。
【異次元βテストワールド 報告書】
報告・この世界は国の行政が設立させたものである。設立目的は以下の通りである。
・実験体の脳内に強制的にアクセスし、植物状態の人間の生命活動の監視。
・人工移植を行い、人へのリスクを調べる
製作者によると、人工移植または植物状態から死亡した場合、ワールドではゲームオーバーとなりワールドからは消え、現実世界では普通の死亡としてあげられる。
現在、15人中、6人臓器移植、心肺停止などで他界。残りのプレイヤーはいまだ状況未定。
ワールドのプレイヤーが動きを見せなかった場合、こちら側から、イベントと呼ばれる強制措置を取らすことも可能。 報告終わり。
見てしまった。
かえってこのことをみんなに話した。すべてを。そしてもう僕たちが死ぬ運命しか無いということも。
何もかもが絶望に包まれた。 ある一人の少女を除いて。




