Stereotype World
目が覚めた。起き上がろうとするとまだ少し頭が痛い。
「大丈夫か?怪我はしていないのか?」と
優しく声を掛けてくれたのは、「高松雄大」とバスの中で名乗っていた同い年の人だった。
「他の奴らはどこに行ったんだ、ここには二人しかいないのか?」と聞くと、
「あぁここには俺たち二人だけだ。だが恐らく皆はこの近くにいる。少し探してみよう。立てるか?」
「あぁ大丈夫だ、そうだ俺の名前は江藤駁って言うんだ、よろしくな。」すると
「高松雄大だ 宜しくな。」と言ってくれた。
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「さぁてどうするものかなぁ。」
こう高松は呟いた。それもしょうがないと思う。なぜなら、
「どうしてみんなこうなっちまうんだよ・・・おい。」
こう言いながら高松は上を向いた。そう、巨木の枝に俺たち以外の皆が引っかかっていたのだ。
「二時間も探してこんなことなんて・・・」そう俺も口に出してしまうほど単純な結果だった。
「これで全員だな。皆無事でよかったよかった。」と、笑顔で言っているが、ほかの奴らはぐったりとしていた。
「今日は仕方がないから野宿だな」と高松が言った途端には皆もう眠ってしまっていた。
次の日
俺が一番に起きてしまった。皆寝ているので一人で散歩をすることにする。
周りは森だらけで何もない。だが都会育ちの俺にとっては格別な空間だった。
そのとき、足元に何かを見つけた。
自然でできたものじゃない。明らかに人の手によって作られたものだ。
もちかえって皆に見せたところ、
「なんか開きそうだな。」と、一人が言った途端に
「そうだなぁ、こうなんじゃね?」
などとあれこれ意見が飛び回った。
そして数分後、事態は思わぬ方向に回転する。
「あ、開いた。」
と一人が言った。
「何ィィィィィィィィィィ!」と皆が叫んだ。
見てみると中にはボタンがあった。一つだけであった。
押すか?やめとくか?と言っていたが結局皆が押すという結果で一致し、それを恐る恐る押してみた。
「ポチ」
「―――――――――――」
何も言わない。ただひたすら沈黙の妖精が宙を舞った。
「何も聞こえねぇじゃん。」「無駄だったな」という声が聞こえる中、
「待って、」と高々と一人が叫んだ。
皆で耳を凝らして聞いた。
「ようこそ、Another Worldへ。私はここの支配人をしております、琥珀と
申します。さてさて皆様お揃いですね。では説明を始めます。」
「あなたたちは、国の新たな人類改正計画の実験者になってもらいます。実験と言っても、毎日出る課題をクリアしていってもらうだけとなっています。ですが、もしも課題をクリアできなくなった場合、この世界から消えてもらいます。 消えてどこに行くのかって?そりゃもちろん 死 ですので、この世からも、現実からも消えてしまうんですね。はい、もうわかりましたね。ここでは命を懸けたゲームをするということですね。」
皆の顔は気力がなく、どこか抜けていた。泣いている奴もいた。
「あ、ちなみに、ここではメイン課題とサブ課題をこなしてもらいます。メインは毎日でサブは、まぁ言ってみると消えるまでの永久の課題ですね。いまお教えしましょうか?」
「知りたいに決まっているだろ! 早く教えろ」と高松が強く言った。
「じゃぁお教えします。それは、ここで現実世界で出来てしまった各々の汚名を消すことですよ。」
凍りついた。見ていなくても分かる。皆が一瞬にして深い暗闇に落ちて行ったようだった。
「ある者は過去の失態。またある者は固定観念を取り除く。こういうのを自己解決するんですよ。」
「簡単でしょ?あ、あとここではずっと見張りがいますので、不審な行為などをしたら即消しますからね。あくまでもここは人生をやり直す場所なんですから。」
「あと、この先を歩いて行ったところに小さな村があります。そこを活動拠点にしてください。」
「ではがんばってくださいねー。」
ここで終わった。
周りを見ると泣き崩れている奴、ひたすら地面を殴るやつ、いろいろいた。当然俺にも、その気持ちがいやというほどわかる。
言われてしまったもんな。「固定観念の解消」って。
「とにかく、ずっとここにいることはできない。とりあえず、村に行こうか。」
こうしてそれぞれが、自分の弱かったところに立ち向かうという、望んでもいなかった生活が始まった。




