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序章
二三XX年。
第四次世界大戦が終わってから百年。
地球滅亡の予言が当たらなかった年から三百年。
世界は驚くほどの変化を遂げた。
その間に私の祖父は先祖から受け継いだモノを誰にも見つからないように大きくした。
それはある意味、「第三次世界大戦」のおかげだった。
そして、祖父の子供たちは彼からいろんなモノを受け継いだ。
家、土地、金、会社、才能、謎の力……
見えるモノも見えないモノもすべて一緒くたに祖父は子供たちに与えた。
しかし、それは均等に配分されたのではなかった。
一番多くを受け継いだのは彼の8人目の子供で長女であった。
彼女は兄弟の中でも抜きんでていた。
家や土地を与えられた彼女に兄弟たちは嫉妬しなかった。
むしろ彼女が全てを受け継いでもおかしくないと思っていたのだ。
しかし、祖父は会社だけは彼女に与えなかった。
彼女が「力」を持ちすぎることを恐れたからである。
会社だけは息子たちが順に受け継いだのだった。