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ショートショート

ショートショート・テスト「以下の英文を訳せ」

掲載日:2026/10/27

花籠大学付属高校では、英語以外に第二外国語としてフランス語も教えている。


中年英語教師、関口功(せきぐちいさお)は、テストに「以下の英文を訳せ」と出題した。


放課後、彼は職員室でテストの採点をしていた。


彼はふと目を見張った。


そこにはフランス語が書いてあったからだ。


彼は「訳せ」と書いたことに気づいた。


彼はその答案をもって、フランス語の若手教師、滝沢明(たきざわあきら)のところにいった。


滝沢はそれを見ながら、生徒の書いたフランス語を読んだ。


「間違いもあるが、まあ80点ですね」と滝沢は言った。


関口はやむなく80点をつけ、それ以降は「和訳しろ」と明記することにした。


後期試験では、滝沢は「以下のフランス語を英語にせよ」と全生徒に出題した。


滝沢は英語も読めたので、自分で採点した。


その結果、ほとんどの生徒が50点に届かなかった。


この学校では、3つ50点未満(赤点)を取ると落第となる。


正式に落第させるかどうかは、判定会議という職員会議で決める。


校長は特にフランス語に赤点が多いのを問題にした。


「滝沢くん。なぜこんなに赤点が多いのか?」


「それは……フランス語を英訳しろと問題を出したからです」


「君はフランス語だけではなく、英語の教員免許も持っているな?」


「はい」


「それはそれでいいが、『英訳しろ』は、ちょっと厳しくないか」


「確かにそうですね」


滝沢は素直に認めた。


校長は重ねて言った。


「では、フランス語の成績は2割増にする。それで修正したまえ」


「わかりました。申し訳ありません」


滝沢は素直に謝った。


それで落第該当者は大幅に減った。


滝沢は翌年からは「以下のフランス語を日本語か英語に訳せ。英訳したものは点を2割増にする」という出題法に改めた。


この結果、花籠大学付属には英語とフランス語に堪能なものが増えたという。







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