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妹は、可愛い。

顔だけならば、確かに聖女のようにふさわしいように見える。

美しい顔立ちに、華奢な体つき。守ってあげたくなると叫んでいた兵士もいたくらいだ。

それに比べて、私の顔は平凡だ。

見るに堪えられない醜悪さではないけれど、まぁ、地味な方で、どちらかというと、整っているとは、いいがたいだろう。不細工ではないが、美人でもない。

それに体も筋トレやランニング、水泳で鍛え上げた体は、お世辞にも華奢とは、程遠い。鍛えていない男性よりもよほど、がっしりとした体つきをしている。

というのも聖女というのは、肉体労働であるからだ。

国中を走り回り、近隣の村に行くための体力。魔法を使うための集中力。それらは、鍛え上げた体が、必要不可欠である。

兵士と同じなのだ。国を守り、いざという時には、戦う。そのための存在。

だから、私は鍛錬を怠らない。

妹は、筋肉をつけたくないと言って、運動とは、かけ離れている生活をしている。

私には、吹けば飛ぶような体つきの妹を見て、逆に心配になってしまうが、一部の男性にとってはそれがいいんだそうだ。


妹と比べると、本当に姉妹か?って言われるほど、似てない私たち。

聖女としての力を与えられたのに、正反対の道を行っている私たち。

私は、ある意味感謝している。もしも、私に聖女としての役割を与えられていなかったら、きっと妹に嫉妬をしていただろう。なにもかも与えられている妹。

聖女としての力だって、妹のほうが大きい。

きちんと訓練すれば、私よりずっと素晴らしい聖女になれる資質を持ち合わせている。

それなのにいつまでたっても両親や王子たちと遊んで、ふわふわ笑っている。



太陽が昇るより先に私の朝は、始まる。起きたら、顔を洗い、簡単に身支度を整えたら、さっそく外に出る。私の聖女としての仕事は、結界のほころびがないかのチェックから始まる。もちろん、結界が壊れれば分かるようにはなっている。しかし、結界は最後の砦だ。壊れたら、最後。また再び張り直すのに長い時間と気力、魔力が必要になってくる。それまで、瘴気や魔物の警戒までしなくてはいけない。そんな危険にさらされないように、この朝の結界チェックは、聖女の仕事の中でもかなり重要なものかもしれない。まぁ、どの仕事も重要なものではあるけれど、集中力が必要なので、これは必ず朝にやらなくてはいけない。なにも問題がなければ、そのまま結界を強化。

この時に外の瘴気の濃さによって、結界の強度を決めなくてはいけない。

瘴気が、濃ければ、それだけ魔物の力や凶暴性が上がる。

結界が薄いと、攻撃されて、ほころびがでて、破られる可能性が出てくる。


常時、張っておかなくてはいけない結界。国中を囲い込むほどの大きさになるまでには、長い訓練が必要だった。

何度も、集中が途切れたり、魔力がなくなって結界が消えてしまう日を繰り返し、ようやく私は、寝食をしていても、結界を張り続けることが出来る魔力と構築に成功したのだ。

それでも、いつなにが起きるか分からない。だから、毎朝、私は起きたらすぐに結界の様子を確認する。


それから、朝ごはんをかきこみ、近隣の村の結界をチェック。ここも瘴気の濃さで、結界の強度を上げたり、保ったりしている。

私は、中々魔力が強いほうに入るらしい。

他の国では、役割分担されて、村に向かう役の聖女がいるらしい。

まぁ、この国は、私一人に全てが任されているけれど。


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