魔族学校⑥
「ここまで来れば大丈夫か...平気かスカーレット?」
「ぁ...うん...ありがとぅ...」
服を小さく叩きスカーレットは小さく呟く。
「お前なぁ...あんな奴らに噛み付いたら、あぁなるのくらいわかるだろ!あぁ言う時は軽く受け流してだな...」
「...魔王アルトゥム様の言葉を誤った理解で利用されるのが嫌だった...」
「欲に呑まれた弱き者に正義などない!弱き者にあるのは死のみである!魔族よ猛者であれ!...ってやつか?」
スカーレットは小さく頷く、まぁ確かに俺もそれには腹が立つがそこまで怒鳴る程か?
「私たちの種族は魔王アルトゥム様に救われたから...その...そんな人の言葉を間違った使い方...されるのは...」
スカーレットは尻すぼみに声が小さくなりながらそう言う。
「まぁ、事情があるのは分かったが...また何かあったら話ぐらいは聞いてやるから...なぁ、ポトフ...ポトフ?」
さっきまで隣りにいたはずのポトフが居ないと周りを見渡すと予鈴のチャイムがなる。
「あいつ!先に行きやがったな!じゃあ、またなスカーレット!」
「あ...ま...待って...」
「ん?何?」
走り出そうとした俺をスカーレットが引き止める。
「なんで...助けてくれたの...?」
「何でって...うーん...まぁ、一緒に飯食ったりしたし...まぁ一応、友達みたいなもんだし...」
何より、昔の自分が体験したり見たのを大の大人(無職32歳)が見過ごす訳にもいかんでしょ。
「友達...」
「とりあえず、もう行く!じゃ!」
次の実技の担当はかなり怖い先生だ、遅刻する訳には行かない俺は全力疾走でその場を去る。
「...友達...」
そして俺は無事に遅刻し、めちゃくちゃ怒られた。