魔族学校⑤
「さて、歴史についてはそろそろキリが良いので今日の座学はここまでにしましょう...」
ウサギ先生は教壇に降り、そう告げ授業は終わった。
―魔族学校内―
「戦争終結にはあんな理由があったんだな...」
「俺には...難しい話しがわかんねぇけどよぉ...魔王アルトゥムってのはすげぇ奴なんだなぁ」
俺はポトフと一緒に次の実技の為、移動していた。
「魔王アルトゥムも凄いが人間の王の判断も凄いと思うけど...ん?」
その移動中、中庭にスカーレットと数名の女の子魔族がいた。
「スカーレットじゃねぇか、あいつあんなに友達居たんだな?」
「いや...あれは...」
俺は知ってる...現世で嫌というほど見たし、されたことがある。
あれは友達と和気あいあいなやつじゃない―
「ねぇねぇ、さっきのさぁ...なんて言うの?キャラ作りってやつ?めっちゃ面白かったんだけど、またやってよ今!」
「ぇ...いや...その..えっと....」
「さっきとキャラ違うじゃんウケる!ww」
周りの魔族女子がスカーレットを笑う。
「やっぱ、頭悪いとそういう事しか出来ないの可哀想〜」
「ぇ...」
「貴女の成績、下から数えた方が早いくらい実力ないでしょ?」
「ヤバいよね〜なんで学校にいれるの〜?」
「私だったら恥ずかしくて死んじゃうわーww」
魔族女子達が笑う中、スカーレットは俯き表情が見えない中、リーダ格の魔族女子が口を開く。
「さっきの歴史の授業で大魔王アルトゥム様が言ってたありがたい言葉あったでしょ?」
「弱き者に正義などない!弱き者にあるのは死のみ―ってやつ?」
「なんかそんなのあったねーww」
「そう...だから、貴女みたいな落ちこぼれ弱者は...この学校にいる資格が無いと思うのよ私は。だからさ...荷物まとめて帰ってよ♪」
リーダー格の魔族女子がスカーレットに詰め寄ると同時にスカーレットが小さく呟く。
「......ない...」
「は?」
「魔王アルトゥム様はそんなこと言ってない!」
黙っていたスカーレットが大声を張り上げる。
「あのバカ、なんでこういう時に限って喰らいつくんだよ!ポトフ、俺の頼みを聞いてくれるか!」
「ぉ?おう!」
――――――
「は?なに?落ちこぼれ弱者の癖にムカつくわね..お仕置が必要ね」
魔族女子がスカーレットに指差すと指先に魔力が集まる。
「ッ......!?」
「フレイムアrお”ぉ!?」
「うごぇ!?」
魔族女子が魔法を放つ刹那――
横合いからルクスが飛来、魔族女子を吹き飛ばす。
「ッ...おい!ポトフ投げろとは言ったがぶつけろなんか言ってないだろ!」
「無茶ぁ、言うなよ...」
後からポトフがドシドシと小走りに飛んできたルクスに駆け寄ってくる。
「お前らなんだ!?こんな事してタダで済むと思ってるのか!」
魔族女子の取り巻きが喚き散らすがここはビシッと言わせて貰おうか。
「スミマセン、キャッチボールしてたらちょっと飛んできちゃって...」
「ボールじゃなくて、キャッチボールしてる本人がッ!?」
「ほら、ポトフも謝って...」
「え?ぁ...すまねぇ...?」
「ん?そこに居るのはスカーレットじゃないか!次移動だろ?一緒に行こうぜ!」
「ぇ...ぁ...」
「じゃあ!そゆことで!」
俺たちは延びてる魔族女子を横目にその場から走り去った。