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第一話 異世界エンジョイ勢に俺はなる!

広大な草原の小高い丘の上にある、豪邸とは言い難いがそこそこ良い家に新たな生命が産まれた。


「おめでとうございます奥様、元気な男の子ですよ!」


「あぁ...私の可愛い赤ん坊...貴方の名前はルクスよ...私の可愛いルクス...」


息も絶え絶えの女性に大事に抱き抱えられ、おぎゃってる赤ん坊がこの話の主人公 ルクス...もとい孤独死した32歳 童貞 左江内(さえない) 優希(ゆうき)である。


前世では中、高ぼっち 大学受験に2回失敗し、社会人は安月給ながら安定した生活を送っていたが会社が夜逃げし無職に転落、泣け無しの貯金を食い潰しながら、取り憑かれたようにPCゲーム三昧の挙句 孤独死...

そして、今は美人のママの元でおぎゃってるってワケだ。


誰かの気まぐれかラノベでよく見た異世界転生者になる時が来るとは思いもしなかったが、俺の2度目の人生はどうやら EASYモードで好調なスタートを切り出したようだ。


前世がクソゲーとまでは行かなかったが、何一つ面白みのない人生だった分、異世界で俺はエンジョイ勢になって見せる!






「とか考えてる時期が俺にもありました...」


「いつまでそうしてるの?立ちなさいルクス!」


俺が前世のオカン以外の女性のおっぱいを楽しんでた時期から5年ー


5歳になった俺は今、第2のオカンから剣の稽古をつけてもらっているが見ての通りボコボコに叩きのめされている。


「構えなさいルクス、もう一度同じ箇所に攻撃するからキチンと受け流すのよ」


「は、はい...母上」


どうやら、俺の第2のオカンは魔族で5本指に入っていた騎士らしい。


俺の産まれる数年前の戦争で第2の親父が死んでから騎士団をやめて この、のどかな場所で隠居している。

ちなみに第2の親父は有能な軍師だったらしい 大勢の仲間を逃がす際に己を犠牲に多くの命を救ったのだとか


「ッ...ァ...!?」


刹那、第2のオカンの木刀がルクスの脇腹に直撃する。前世であれば肋が粉々になってるぐらいの威力だろうが俺は人間では無く今は魔族の子供で頑丈だがー


”流石魔族、これくらい何ともないぜ!”とはいかず痛いものは痛い...


「ふむ...午前中はここまでにしましょうかルクス」


若干、落胆気味に笑顔をつくり第2のオカンが俺に話しかけてくるが、毎回その笑顔を向けられるのはなかなか辛いものがある。


それもそうだろう、魔族で5本指に入る騎士の息子が剣の才能も並、魔力も並ではため息をつかれても仕方ないのだ。


「フローレンス、お昼にしましょうか」


「はい、ユースティア奥様!」


ユースティア、俺の第2のオカンの名前だ そしてフローレンスはユースティアの元部下でユースティアが軍を辞めた時に着いてきたらしい。


「うーん、その奥様ってやつやめない?何だかむず痒いと言うか...」


「では、大隊長殿で!」


「あの...呼び捨てで良いのよ?いまはもう一般市民だし...」


「そんな!恐れ多いです!ユースティア大隊長殿!」


とまぁ、フローレンスは見ての通り天然というかおバカもといよく言えば真面目ちゃんだ、もちろんだが俺より遥かに強いぞ。


まぁ、そんなこんな感じで美味しいお昼を食べ午後からまた剣の稽古の毎日を繰り返してる訳だが、全く上達する気配がない!微塵も!


「フローレンス、僕は剣の才能が無いのかなぁ?」


隣で肉を頬張るフローレンスにボヤくように尋ねてみると、キョトンとした顔で少し考えー


「無いですね、全く、微塵も!」


満点の笑顔でよく実の親の前で、なんでそんなハッキリ言えるんだコイツは...


「でも、まぁ...他の才能があればそれで良いのでは無いですか?」


「他の才能...」


「他者より飛び抜けた才能であれば役に立たない物など、無いのですよ!」


とフローレンスは自慢げに語るが、ここで前世の俺の才能を思い返したがゲームを長時間する以外思い浮かばないのでこの世界では全く役に立たないだろう。


そんな感じで遠くを見つめてると、母のユースティアが口を開く


「ルクス、貴方はまだ幼い...故にまだ可能性が星の数程あります。残念ながらルクスに私程の剣の才能は無いでしょう。ですが必ず貴方にしかない才能が見つかるはずですルクス...」


「母上...じゃあ今後の剣の稽古はー」


「それは毎日やりますよ、貴方が10歳になって魔族の学校へ行くまでミッチリと魔法も基礎を徹底的に叩き込みます覚悟しなさい いいですね?」


「あ...ハイ...」


ールクス自室ー


うむ、流れで行けるかと思ったがダメだったようだ

しかし 自分の才能は見つかるのだろうか?異世界転生ものなら、最初からチート能力とか山盛りスキル持ちとかが定番だが...


「俺にそんなチートスキルも山盛りスキルもなさそうだし...美人でめっちゃ強い母親とその部下のお姉さんと暮らしてる...ってのが大当たり過ぎて才能は凡夫になってしまったとか?」


まぁ、それは置いといて ユースティアが言っていた魔族の学校とやらが後5年後の10歳から始まるらしいが...正直、学校生活はろくな思い出がない。


「ん?待てよ...逆にろくでもなかった学校生活をやり直せるチャンスなのでは!?2度目の学校生活なら、友達いっぱい作って青春謳歌出来るハズだ!」


そうだ、どうせ異世界転生したんなら楽しまないと損じゃないか!


「よし、俺はこの世界の学校生活で異世界エンジョイ勢として陽キャラに産まれ変わってやる!」


こうして俺はちっぽけな目標”異世界エンジョイ勢”目指し5年間の母親の地獄の稽古を乗り切るのだった。


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