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8 あ、そういえば俺ってコミュ障だった

死毒蜂(キラービー)

群れでの行動を好む毒蜂(ポイズンビー)の上位個体。

凶悪な針と鋼鉄よりも硬い外骨格、そして毒針から放たれる2種類の猛毒によって冒険者から恐れられている。


【レベル】55 【スキル】強酸毒 Lv.5

            神経毒 Lv.5

             風魔法 Lv.1


数時間ほど走ったところで、ついに御目当ての魔物に遭遇した。

この個体は魔の森の俺が出会った魔物の中でレベルが最も高く、ブラッドウルフのレベルを2つも上回る55レベルだ。強い酸性の毒と、動きを鈍らせる毒の2種類の毒でなかなかに性格の悪い戦法を使うな。


ただ、幸い魔法系のスキルはレベルが高くないため、遠距離攻撃を使ってくることはほぼないだろう。

そうして俺は最後の敵であるキラービーと対峙した。

おおよそ全長2メートルはありそうな蜂とは思えないほどの大きさに極太の針、メタリックな光沢があるその身体は毒々しい黄色と黒色をしている。



「ブブブブブブブブブブブ!!」



き、キモい!!!

激しい羽音と共に此方に針を向け突進してきたキラービーをギリギリの所で避け、俺は魔法の準備をしつつナイフを取り出した。


「おら!!」


俺はカウンターとなる形で渾身の力を込めナイフで切り付けたが、その身体には傷ひとつ付かない。


「っ、硬すぎだろ!!」


油断していたところにすごいスピードで何かの液体が飛んできて、俺は咄嗟に地面を転がった。


ちらりと液体がかかった木の方を見てみると、音を立てながら溶け煙を上げている。

こ、これ当たったら死ぬだろ……

そんな当たり前のことを思いながらも俺は魔法の準備を終えた。


身体強化(フィジカルブースト)


そして俺は再度魔法を使う。


魔呪付与(エンチャント)!、炎属性付与!』


途端にナイフの刃が炎に包まれ、微かな光を帯びた。

これは無属性魔法と炎属性魔法の複合で、文字通りナイフに炎を纏わせている。


「はああああ!!!」


俺はキラービーと一瞬にして距離を詰めると、ナイフを振り下ろした。


ガキンッ!!!


キラービーは驚くべき反射速度を見せ、針でナイフを受け止めたがそれも炎によって容易く溶かされていく。


俺は針が溶け落ちると同時に両手でナイフを構え、その頭に渾身の力で振り下ろす。


「うりゃっ!!!」


最後の一撃が決め手となり、キラービーは絶命した。


「はあ、はあ…やったぞ……!」


俺は興奮冷めやらないまま、ふとステータスを確認した。


【名前】コウ 【性別】男 

【称号】転生者 不運な死を遂げた者


【年齢】超越 【魔力】192387/192387

【体力】125411/125411


【レベル】64


【加護】幸福神の加護 Lv.10


【スキル】???

     ???

     ???

     無属性魔法 Lv.10

     水魔法   Lv.10

     光魔法   Lv.9

     炎魔法   Lv.5

     体術    Lv.8

     鑑定    Lv.-



れ、レベル上がりすぎだろ!!

2体倒しただけでレベルが10以上も上がっている。

まあ、いっか。


俺は、ステータスを閉じるとキラービーの死骸をだいぶ容量ギリギリなマジックバックに詰め、やっとのこと街に向かって進み始めるのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


高レベルモンスターの討伐から3日後、ついに俺は森を出た。

いやあ、長かった……おかげでレベルが上がったが、魔物を狩り続ける毎日はなかなかにキツかった。


謎の感傷に耽りつつ俺はあたりを見渡す。

ふむ、どうやらここは平原のようだ。


そう思っていると何やら声が聞こえてきた。


「……最近メルセレフ王国とドズマン皇国が不穏らしいな」


「ああ、ドズマン皇国が国境付近に兵を集めてるって噂だろ?」


「メルセレフの王もだいぶ警戒してるって話だ」


「また戦争か〜」


「俺たち冒険者にとっても入国制限やらでめんどくさいから、早いこと終わって欲しいものだ」


「まったくだよ……」


ひ、人だ!!


はじめての異世界人との遭遇に俺の胸は高鳴っていた。

いや、あっちからしたら俺の方が異世界人か?


俺は、そんなことを思いつつこっそりと2人に近づいていった。


1人は真面目そうな顔に茶髪で30歳くらいの男

もう1人は気だるそうに歩く灰色の髪のチャラ男


気配を殺してにじり寄り、肩を叩こうとするとチャラ男の方が気配に気づき勢いよく振り返った。


「誰だっっ!!」


俺はついビクッとしてしまい、硬直する。


「……ただの子供じゃないか、そんなに脅かしてやるな。」


と、真面目な方が言う。

するとチャラ男の方もハッとして言った。


「あ、すまない驚かせてしまったな…」


随分と背が高かったため、いつもより驚いてしまったがこれは俺が低くなったのだろうか?

そう思うともう慣れてしまったが前世に比べて随分視点が低いような……


「あっ…っす……」


あれ?

やばい!!!咄嗟に声が出ない!


あ、そういえば俺、コミュ障だった……


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