5 魔力と魔法
ポタ……ポタ…………
俺は頬にあたる水の感触で目を覚ました。
気づけば日は傾き綺麗な夕焼けが木々の隙間から顔を出している。
……どうやら随分長いこと気を失っていたようだ。
空を見上げると、うっすらと小雨が降り始めている。
「……帰るか」
俺はそう呟くと起き上がり、家に向かって走り始めた。
その後、魔法大全を片手に色々な魔法を試していると一人暮らしの俺には大変嬉しい魔法が見つかった。
【洗浄】
水属性の魔力で泡と水を生み出し、
任意のものを洗浄する。
これは、この世界に生まれてから1度も体を洗っていない俺にはありがたいぞ。
だが…………
「水魔法は、使えない……!」
そう、俺のスキルには水属性魔法は無いのだ。
神様は修行すれば使えるようになると言っていたが、やり方がわからん。
どうしたものか……
そう思いながら数時間、魔法大全をパラパラとめくっていると。ついにお目当ての内容が見つかった。
【属性魔法の習得】
属性魔法は、各属性の魔力を長時間浴び続けることで習得できる。
……とのことだ。
まあこれだけでは俺は属性魔力を浴びる術がないので詰んでいることになるが、もうひとつ、重要なことが書いてあった。
【魔物の魔法】
基本的に魔物の魔法は人とは違い、体内の魔石によって魔力を変換し、魔法を行使している。
そのため魔物は基本、他属性の魔法を習得することが出来ない。
そう、これだ。
勘のいい人なら気づいたかもしれないが、俺の考えはこうである。
1、シーニーボアから得た魔石に、魔力を流し込む。
2、魔石によって魔力が変換され、水属性の魔力が流れ出てくる。
3、出てきた魔力を浴び、水属性魔法を習得する!
……以上だ。
ぶっちゃけどれくらい浴びればいいのかなど不確定なところも多いが、そこは俺の恵まれた魔力で何とかなるだろう。
俺は、魔石を取りだし、自分の顔にかざして魔力を流し込み始めた。
「はああああ……!」
おお、凄い。本当に魔石からひんやりとした水の魔力が出てきたぞ!
このまま続ければいける!
「はあああああああ……!」
魔石は面白いくらいに魔力を吸ってくれるので、一気に全部の魔力を流し込んだ!
「あっ、やばいまた意識が…………」
そういえば魔法大全には魔力を使いすぎて気絶するのは魔力欠乏と言うって書いてあったな……
そう思うと同時に俺は人生2度目の魔力欠乏により気を失った。
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「この世界に来てから気絶してばっかだな……」
俺は目を覚ましてすぐそんなことを呟いた。
まあ、前の世界の時とは違って今回ばかりは自分の不注意だから、気をつけないとな。
そう思いながら俺はステータスを開いた。
【名前】コウ 【性別】男
【称号】転生者 不運な死を遂げた者
【年齢】超越 【魔力】100100/100100
【体力】50000/50000
【レベル】1
【加護】幸福神の加護 Lv.10
【スキル】???
???
???
無属性魔法 Lv.1
水魔法 Lv.1
光魔法 Lv.1
体術 Lv.1
鑑定 Lv.-
よし!無事水魔法を習得できているぞ!
それに加えて……
「魔力が増えてる?」
転生したばかりの頃は10万だったのに対し、今は10万100に増えている。
どうやら魔力は、使えば使うほど増えるようだ。
そう考えた後、早速水魔法を使ってみることにした。
『水魔法 洗浄』
俺の体を魔法で作り出したふわふわの泡が包み込んだ。
「おお!気持ちいい……」
しばらくすると水で洗い流され、泡と水は跡形もなく消える。
これはすごく便利だ……
窓の外を見てみると、もう日は落ちきっていた。
魔法に熱中していたら、意外と時間が経っていたようだ。
俺はそのままベットに入り、気を失うように眠りに落ちた。
現在のコウのステータスです。
【名前】コウ 【性別】男
【称号】転生者 不運な死を遂げた者
【年齢】超越 【魔力】100100/100100
【体力】50000/50000
【レベル】1
【加護】幸福神の加護 Lv.10
【スキル】???
???
???
無属性魔法 Lv.1
水魔法 Lv.1
光魔法 Lv.1
体術 Lv.1
鑑定 Lv.-