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18 獣人の少女たち

ゆっくり飛んだのでそこそこ時間がかかりつつも、俺は家に帰ってきた。


そのまま二人をベットに寝かせ、鑑定する。


【名前】なし 【性別】女


【種族名】犬獣人


【年齢】8 【魔力】2034/2034


【体力】3015/8532


【レベル】5


【スキル】家事 Lv.1

     剣術 Lv.1




【名前】なし 【性別】女


【種族名】猫獣人


【年齢】8 【魔力】9011/9011


【体力】623/1053


【レベル】3


【スキル】無属性魔法Lv.1

     暗視Lv.1


獣人キター!


初の獣人との出会いに一人喜んでいたところで犬獣人の方が目を覚ました。

短めに切られた亜麻色の髪と緑色の目、活発そうなその顔はまだボーっとしているようだ。

そして何より、髪と同じ色のもふもふな毛で覆われ垂れた犬の耳。


焦点の合わない目でこちらを数秒見たのち、ハッとした顔をして周りを見た。


「あ、あのこは!あのこはどこにいるの!?」


「あの子?一緒にいた猫の子なら君の後ろにいるぞ。」


俺の言葉に犬獣人の女の子は後ろに振り向き、猫獣人の方をみるとホッと息をついた。

すると、突然、クゥーと可愛い音がなる。


「お腹が空いたか?」


「……ごめんなさいなの」


そう言うと、怯えるように震え始めた。


「……怒らないよ」


俺はそう言ってその子の頭に手を乗せ、優しく撫でた。


「あっ……」


すると一瞬驚いたように目を見開き、その大きな緑色の目から涙を流し始めた。


「うぇえええん!!」


恐らく、この子たちは奴隷だ。

奴隷商によって魔の森を運ばれていたが、魔物に襲われて倒れていたのだろう。この様子だと、奴隷商にも酷い扱いを受けていたようだ。


俺が撫でながらそんなことを考えていると、猫の方も目を覚ました。


「……ここ、どこ?」


肩まで伸びた青みがかった黒色の髪に漆黒の目、そしてこれもまたもふもふな猫耳、虚な表情は奴隷での過酷な環境が窺える。


「君たちが森で倒れているところを見つけてね、怪我もしていたし危ないから俺の家に連れてきたんだよ。」


側から見れば不審者のような構図だが、俺の見た目も12歳ほどなのでセーフということにしておこう。


「とりあえず君たちはゆっくり休みな」


俺が優しく言うと猫獣人は頷き再度目を閉じた。気づけば犬獣人の方も寝息を立て始めている。

外を見ればもう日が落ちきっているので俺も装備を外して目を閉じ、夢の世界へと旅立った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌朝、体の上に感じる温かい感触で目を覚ました。

見てみると、可愛いケモ耳少女たちが乗っかってきていた。

はて、いつのまにか娘でもできていたのかな?


そんな馬鹿なことを考えながらもとりあえず二人を優しく下ろすと、一度伸びをし朝ごはんの準備を始めた。

いつもは肉を焼くだけで済ましているが、今日は心身共に深い傷を負っているであろう少女が二人いるのだ、下手なものは作れまい。

そう思いつつマジックバッグから卵と前回街へ行った時に買ったパン、野菜を取り出し魔法を発動した。


『土魔法 錬金創生(クリエイト)


すると手のひらから金属が生み出され、鍋の形に変化する。

もう一度魔法を使い、フライパンも作った。


家に備え付けられたコンロのような魔道具に魔力を注ぎ火をつけ、水魔法で生み出した水が入った鍋を火にかける。


沸騰してきたら切った野菜を入れ蓋を閉めてフライパンの方も火にかけた。オークの肉のベーコンをジュウジュウと焼きつつ半分を鍋に入れフライパンには卵を割り入れる。


鍋に街で買った調味料を入れ味付けをすると、あっという間にベーコンエッグ、スープの完成だ。


3人分の皿に盛り付け、パンも準備するといいタイミングで犬の少女も起きてきた。


「おはよう」


俺が言うとビクッとするがおずおずと挨拶を返す。


「おはようございます…なの」


「お腹が空いてただろ、昨日食べさせてやれなかったからたくさん食べるといい。」


俺は安心させるように笑って言った。


「あの子はまだ起きてこなさそうだし、先に食べようか」


一緒に食卓の椅子に座り、手を合わせてから食べ始める。


「いただきます」


「…いただきます」


それから少女は相当お腹が空いていたのかガツガツと食べ始めた。

そういや、誰かとご飯を食べるのは前にアルクの家にイリスとお邪魔した時以来だな…今度また顔を見せにいかないとな。


少女をじっと見ているとばっちりと目が合い、少女は慌て出し言った。


「ごちそうさま、なの…」


「ん、もうお腹いっぱいか?まだまだおかわりはあるから好きなだけ食べていいんだぞ?」


俺の言葉におずおずと、恥ずかしそうに言った。


「じゃあ、もうちょっと食べたいの」


「わかった」


そう言うと、少女は会って初めて、うっすらと笑った。


やっぱり、たまには人と食べるのも悪くはないかな……


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