2-36 フォルメリア王 日帰り誘拐 前編
本日もよろしくお願いします。
同じ事件の別視点ばっかりで申し訳ないです。
余の名前はライオネル3世。
フォルメリア王国の国王である。
後に、全ての始まりは神歴785年の祝福の月だと知ることになるが、少なくとも余の知る限りでは、フォルメリア王国にとっての歴史の転換期が始まったのは神歴786年の3月中旬だった。
『アアウィオル王国を神の敵とし、これを討つ』
王都にある教会の司祭が緊急の謁見を申し出たと思ったら、なんとそんなことを宣言したのだ。
アアウィオルはフォルメリアの北西で国境が隣接している国だ。
隣国なので多少のいざこざはあるものの、総評すると別に仲が悪い国というわけではない。むしろ、交易が盛んに行なわれているので、平民からすれば仲が良いだろう。
そんなアアウィオルが神敵にされちゃったんだが。
なんでも『アルテナ聖国が新たに授かった神の宝を盗み出した』というのだ。
しかも、夏頃にゾルバ帝国が正義の戦いを始めるので、フォルメリアは軍を纏めて退路を絶て、と。
そして、我が国と同時に近隣の全ての国が同じ報告を受けている様子だ。
アルテナ聖国に喧嘩を売ると神敵になると王侯貴族ならば誰もが教えられることだが、実際にそれが起こって、改めて世界の敵になるということの恐ろしさを知った。
実際に何が起こったかはわからないが、エメロード殿もヘマをしたものだなぁ。
余は12年前に、当時まだ王女だった頃に余と謁見したエメロード殿のことを思い出した。
聡明そうな若者だったし、戴冠してからも民のために頑張っていたようだが……王の器ではなかったのだろうな。
「アアウィオルの情報を集めろ」
今回の事件にあたり、余はすぐにそう命を下した。
周辺各国には諜報員を送り込んでいるので、『集めろ』というよりも『回収しろ』と言った方が正しいかもしれない。
これほどの事件なので諜報員もすでに情報を持ち帰る段に入っていることだろう。
そう思っていた時期もあった。
全然情報が入ってこない。
最後に入ってきた情報は、アアウィオル東部、つまり我がフォルメリアからすれば北北西方面で凄まじいスタンピードが起こり、それを鎮圧した英雄が誕生したという話だ。
交易商人すら帰ってこない。
諜報員は捕まったと考えて間違いなかろうが、商人も拘束されているのだろうか?
しかし、神敵認定されている国と交渉をするわけにもいかないし、余は隣国のガーラルに質問状を送った。ガーラルもアアウィオルと交易しているのだが、返ってきた答えは『同じ状況』というものだった。
これに参った我々は、王都にある神聖教会に尋ねることにした。
神聖教会には謎の情報網があるので、アアウィオル国内の情報も手に入るだろうと考えたのだ。
しかし、聖戦を始めるというのに、神聖教会はなにも情報を寄越さなかった。正確に言えば、『創造神様の御心にツバを吐き捨てた』『神託の聖女の孫を謂れなき暴行の末に追放した』等の返答はあったが、そういうのが欲しいんじゃないんだよ。
ていうか、神託の聖女の孫って『討伐できないオーク』と揶揄される外道って話だし、ついにその時が来たのかとしか思えんわ。
「神の宝というものの情報を我々に与えたくないのではありませんか?」
小会議で、そんな意見が出た。
それは有り得そうな話である。
例えば、神の宝が剣や杖程度の大きさなら、戦争のどさくさで第三者が確保できてしまえるかもしれない。
それを証拠に、聖戦はゾルバ帝国とアルテナ聖国が主導で行ない、我々周辺国は退路を絶つために国境待機を命じられていた。
つまり、この戦争はなんらかの魂胆があり、我々は蚊帳の外だった。
それから日々は流れ、7月中旬。
今頃、我が軍はアアウィオル国境付近に展開していることだろう。
余?
余が戦場に出ることはない。
総司令官が指揮を取っている。
余は執務室でため息を吐いていた。
正直、今回の戦いはあまりにも旨味がない。
アアウィオルはこれで終わりだろうが、代わりにゾルバ帝国が台頭してしまう。
国境がどうなるかわからないが、場合によっては我が国とゾルバ帝国が隣接することになる。あそこの国の軟弱な貴族は魔境との付き合い方なんてわからないだろうし、我が国は多大な迷惑を被ることになりそうである。
それどころか、さらに戦争を始める可能性も高い。
アアウィオルはかなり強い国なので、それを落とした成功体験は国民を酔わせることだろう。その邪悪な剣が向かう先は果たしてどこなのか。
そんなことをグルグル考えていると、唐突に近衛兵が戸惑いと共に怒声を上げた。
「え、な、何者だ!」
その声に、余は椅子から尻を浮かせて驚いた。
慌てて執務机から顔を上げてみれば、いつの間にか、そこには3人の人物が立っていた。
1人はかなり高位と思しき貴族の男。
1人はやはりかなり高位と思しき騎士。
もう1人は燕尾服を着た執事だった。
貴族と思しき男は剣を突きつけられているのにも構わず、恭しく頭を垂れた。
「フォルメリア王陛下、お久しぶりにございます。アアウィオル王国公爵カイル・クロウリーにございます」
その名乗りを聞いて、余は以前一度、彼と謁見をした記憶が蘇った。
当時はまだ王子で『クロウリー』の性は名乗っていなかったが、ずいぶんと立派な見た目に変わっている。
「まずは急な訪問をご容赦ください」
「あ、いや、え……」
明らかに異常な来訪に一の句すらもまともに答えられずにいると、クロウリー卿は続けた。
「突然ではありますが、本日は戦争の見物の招待に参りました」
「せ、戦争の見物?」
全然話が見えない。
そんなことを話している間にも、近衛兵やら隠密衆やらがぞろぞろやってきて、クロウリー卿と連れの人物たちに剣を突きつける。
完全に話ができるような状況じゃないのだが、クロウリー卿たちは全く意に介した素振りも見せず話を続けている。
さすがの余も剣を下ろせとは言えないので、そのまま会話は続いた。
「はい。これより2時間……いえ、4刻ほど後にゾルバ帝国との戦争が始まります。フォルメリア王陛下には、是非ともこの戦いを見ていただきたく存じます」
「戦、争……興味がある話だが、戦場はアアウィオルの西の果てではないか」
「その程度の距離はもはやアアウィオルにとってないも同じなのです」
「……神の宝か」
アアウィオルを滅ぼすための虚偽の口実の可能性も考えていたが、どうやら実在する様子だ。
余の口から零れた言葉に、クロウリー卿は苦笑いした。
その態度に、「無礼者!」と怒声が上がるが、びっくりしたのは余の方だった。いきなりおっきな声出すんじゃない。
「近隣諸国の王ならびに、都合がつく軍の大幹部にこの誘いをしております。ちなみにですが、この招待を断ることはできません。強制参加にございます」
クロウリー卿がそう言った瞬間、周りの景色が一変した。
「っ!?」
それはどこかの草原だった。
周りには執務室にいた近衛兵たちもおり、彼らは驚愕したのも束の間、余の周囲で防御の陣形を取った。
そんな兵たちの隙間から見える光景には、見覚えのない騎士の軍勢があった。状況から考えて、アアウィオルの騎士団だろう。
これには近衛たちの顔は真っ青で、それはそのまま余の顔色と同じだろう。
そんな余に新たに近づいてくる集団があった。
その先頭にいるのは、煌めくような翡翠色の髪をした絶世の美女。
戦場の女神という言葉が一瞬チラつくが、12年前に謁見した面影を思い出し、すぐに彼女がエメロード殿だと気づいた。
となれば、その隣にいるのは王配ラインハルト殿だろう。
「え、エメロード殿か」
「お久しぶりです。フォルメリア王」
「……これはいったいどういうことだ。あまりに無礼ではないか?」
こんな状況だしかなり怖いが、余は頑張って文句を言った。
「その件については申し訳なく思う。しかし、妾はフォルメリアと戦争をしたくないのだ。そのためにも此度はご足労いただいた」
「余とてアアウィオルとは争いたくはない。しかし、貴国は神の宝とやらを盗み出したと聞く。となれば、創造神様の僕として、世界はお主を討たねばならんだろう」
「はっはっはっ。フォルメリア王はそんな話を信じるほど耄碌する歳ではあるまい。まあ、今は信じる必要はない。ただ、アアウィオルと戦争をするとどうなるかだけ、本日は見ていっていただきたい」
エメロード殿はそれだけ言うと、女性貴族とメイドに余の案内を任せて立ち去った。
するとすぐに、余の下へ見覚えのある顔がいくつか転がるようにやってきた。
「へ、陛下!」
「ホールデン侯爵!? お主、こんなところで何をしておるのだ!?」
「それはこちらの言葉にございます! なぜ陛下がここに!? もしや、陛下もアアウィオルの者に!?」
「う、うむ」
ホールデン侯爵は、領地がアアウィオルと隣接しているということもあって、アアウィオル侵攻の総司令官に抜擢された人物である。
彼の他にも、軍を任せている大幹部が数人おり、全員が泡を食っている。
ふと周りを見ると、この場に来ているのはフォルメリアの王侯貴族だけではなかった。
アアウィオルに隣接している国だと他にガーラルが、その他にも隣接していない国の者らがいる。
それぞれ王や女王、軍務を司る重鎮のようだが、他国の王侯貴族なので正確にはわからない。……王が他国の王侯貴族の顔を全部知っていると思ったら大間違いだぞ。名前は大体わかるがな。
なんにせよ、その全員の顔色は真っ青だ。
なにしろ、エメロード殿が本気ならいつでも我々を暗殺できてしまうのである。
そんなことを考えていると、ホールデンたちのせいで挨拶が遅れた案内の貴族女性が口を開いた。
「フォルメリア王陛下。お初にお目にかかります。わたくしは案内役を仰せつかったステリーナ・ザライと申します。以後お見知りおきを」
そう名乗った女性がこれまた美しい。
エメロード殿の神々しさといい、いったいアアウィオルで何が起こっているのか。
そんな美女を前にして、絶体絶命のこの状況に絶望していた貴族や近衛兵たちが、頑張って虚勢を張り始めたのがわかった。
「ザライというと、アアウィオル北方のザライ侯爵家の者か」
「ご記憶に預かりまして光栄にございます。それでは、さっそくでございますが、魔道具をひとつ紹介させていただきます」
ステリーナがそう言うと、後ろに控えていたメイドの一人が両手で抱える程度の魔道具を地面に置いた。
「これは遠方の光景を映し出す魔道具です。では、起動させます」
未知の魔道具の使用なので近衛兵たちが余を守ろうとする。
ちょ、見えないよ!
……ふむ。
お、おー!
「これは余の執務室か?」
「左様にございます」
その魔道具の中には余の執務室があった。
映し出すと言っていたし、実際には中にあるわけではないのだろう。鏡の凄いやつみたいなものか。
「しかし、状況がわからん。なぜ剣が向けられている?」
魔道具の中では、近衛兵たちが剣を向けてこちらを睨んでいた。
「あちらに騎士を一人残してきました。この魔道具は必ず対となる魔道具を使用しなければならないのです。対となる魔道具を向こうにいる騎士が使っているので、近衛の方々が剣を向けているように見えるわけです」
「……なるほど。つまり、こちらの状況をあちらへも見せることもできるのだな?」
「ご明察の通りにございます」
余の推測通り、あちらの執務室の状況が変わった。
厳しい顔をしていた近衛団長のアドレーが目を見開いて驚愕しているのだ。
つまり、あちらでも余の顔が見えているのだろう。
『へ、陛下!?』
しかも声まで届けられるとは。
こんな状況だが、実に興味深い魔道具だ。
「アドレー。狼狽えるな。こちらは無事だ」
『いったい何が起こっているのですか!?』
「そちらにアアウィオルの騎士がいると聞く。その者に尋ねよ。以降、その者に非礼は働くな」
『はっ!』
「ステリーナ殿、この魔道具はずっと動かしていられるのかな?」
「いえ、半日ほどでございます。しかし、魔石を交換することでまた動かすことが可能です」
「では、余がここにいる間、この魔道具を使って向こうを安心させてやりたい。構わんかね?」
「状況によります。これから戦場に向かいますが、その程度の場所ならば問題ありません。しかし、その後に王陛下がアアウィオルに滞在をご希望いただくのであれば、ご使用できない場合もございます」
「あい、わかった。では、そのような取り決めで魔道具を使用させていただこう」
「承知いたしました」
戦場は隠す必要もなく、アアウィオルに滞在を希望するならば使えない、か。
というか、こんな魔道具があるなら執務室で観戦させてくれと言いたい。まあ、魔道具で見せられても全面的に信じることはできないだろうから、こうして拉致されたのだろうが。
「それでは王陛下。あちらに馬車をご用意いたしております」
「うむ。しかし、出発の前に少しばかり席を外してくれるかな」
「承知いたしました」
ステリーナがその場から少し離れたので、余はフォルメリア一行に向けて言った。
「おそらく、この度の戦争はアアウィオルが勝つ。状況が状況ゆえにお主らの怒りは尤もだが、その怒りは飲みこめ。アアウィオルの者に非礼を働くな。これを厳命する」
余の命令に、その場の全員がゴクリと喉を鳴らした。
「余の予測が間違えていたのならこの場の全員が死ぬか生け捕りになるだけだ。奇しくも我々はアアウィオルと一蓮托生の身になってしまった。ならば、アアウィオルが勝った後の世界を見据えなければならん。わかったな」
基本的に他国の者は他国の王の顔など知らない。農民兵ともなれば、国名すら知らない者も多いだろう。
アアウィオルが負けて、我々を相手取るのがゾルバ帝国の騎士ならば生け捕りにされるかもしれないが、雑兵だったら死ぬ可能性が高いのだ。
「では諸君、アアウィオルが我々に何を見せたいのか確かめに行こうではないか」
若干、余はやけっぱち気味だった。
あれあれあれぇ!?
戦場に到着して、余は絶望した。
アアウィオルの戦力は2105人だと説明を受けた。しかも、ほとんどの騎士が馬に乗っていないという意味不明な軍。
ならば相手も2千人とか5千人程度だと思うじゃん? なんと5万人! しかも、なんか飛竜までいるんだが!?
なにこの戦力差。
エメロード殿は戦う気があるのか?
「わ、妾たちを生贄にしてゾルバ帝国と和解するつもりではないのかえ!?」
ジュスタルクという国の女王がガクブルしながら言った。
ジュスタルクはアアウィオルと隣接していないので、はっきり言って今回の件にあまり関係ない国である。なので、この女王からすればとばっちりであった。
そんな女王の推測にはある程度の説得力はあった。
しかし、国家間の戦いなら有り得なくはないが、神敵認定はそんなことで許されないだろう。
そんな我々だが、見物席である屋根付きの高見台で椅子に座っていた。やたら座り心地がいい椅子で、メイドたちがお茶を淹れてくれる。
拉致した割には接待し、しかして戦争に負ければ一緒に死ねと言わんばかりの謎の状況。
「す、ステリーナ殿、これは……戦う気があるのか?」
ホールデンが尋ねた。
近くで立つステリーナはそれに対してこう答えた。
「むしろ我が軍は多いくらいですね。あの程度の軍ならば、本来なら100人もいれば十分だという話です」
「貴殿は戦争を舐めているのか!?」
凄い。余とホールデンの心情が完全に一致した。
とはいえ、声を荒げてはならんよ。
とりあえずアイスティなる美味な茶を優雅に飲み、余は尋ねた。
「余程の自信と見えるな。それも神の宝の力か?」
「王陛下、そんな物は存在しません。ただ、他国の方からすれば、そう見えるかもしれませんね」
そんな話をしている内に、いよいよ戦争が始まる気配。
ゾルバ帝国の口上人が何か言っているが、全然聞こえん。
あいつ、拡声の魔法も使わんのか。
次いで、アアウィオルの口上人が前に出る。
なんとエメロード殿だ。
女王自ら口上を言いに行くとか初めて聞いたわ。
エメロード殿の口上は、人の良心に訴えるものに思えた。
これで武器を手放してくれるのなら楽なのだが、残念ながらそうはならん。それが戦争というものなのだよ、エメロード殿。
…………
……
そうなったんだが!?
エメロード殿が口上を終えると、天に超巨大な魔法陣が出現し、ゾルバ帝国軍のあちこちで光になって消えていく者が続出した。
すわ、先制攻撃か!?
と驚愕していると、消えた彼らはゾルバ帝国軍の左翼側に広がる平原に姿を現していく。
その数はどんどん増えていき、おそらく3万ほどになろうか。
「な、な、な!?」
ホールデンや軍幹部たちがその光景に思わず立ち上がる。
余もアイスティを飲んでる場合じゃない!
「説明を頼む!」
余がステリーナ殿に言う。
「わたくしも詳しくは教えられていませんが、いくつかの条件に当てはまる者を移動させる魔法です。わたくしがわかる範囲になりますが、少なくとも、アアウィオルに害を為す意思を持つ者と持たない者は分けられているようです」
「そ、それでは戦争が成り立たんではないか!?」
軍人であるホールデンが叫ぶ。
お前それ、ウチも平民を戦場に特攻させてますと言っているようなものだからやめろよ。
そして、それは始まった。
ゾルバ帝国軍はいきなり3万近い兵を失い、残り2万。
これは不味いと思ったのか、飛竜たちが一斉に飛び立つ。
ステリーナ殿の話では竜騎士という新しい兵種らしく、余の目にはとんでもない脅威に映った。
しかし、真の脅威はそちらではなかった。
アアウィオルの弓騎士が陣営から矢を放つ。
魔力を纏った弓騎士の周りでは、下草が円形に倒れ、矢を放つと同時に前方の下草が一斉に波打った。ああいうのは高位の魔法使いが魔法を使う時だけに起こる現象なんだが!?
何らかの魔法技術を宿した矢は、光の尾を引き、2kmは離れているであろう位置を飛ぶ飛竜を一撃で墜としていく。
「ひ、飛竜が一撃で……」
ホールデンが茫然としてそんなことを呟いていると、アアウィオル軍で鬨の声が上がった。
「突撃ぃいいいい!」
「「「うぉおおおおおおおお!」」」
最初からほぼ全軍突撃。
残っているのはエメロード殿の護衛と、何らかの任務がある様子の100人程度だ。戦略もなにもなく滅茶苦茶だ。
しかし、それは突撃した騎士たちの能力を信頼してのことだった。
ある者は炎の翼を纏い戦場を駆け、ある者は伝説の飛行魔法を使って空を支配する。その全員の移動速度は人間のそれを超越していた。馬なんていらんかったのだ!
地上を走る彼らは瞬く間にゾルバ帝国軍の敵陣に突っ込むと、敵兵が冗談のように吹っ飛ばされた。
「そうはならんだろ!?」
少し離れた所で、ガーラル王国の王が悲鳴に似た声を上げた。
ヤツとも意見が完全に一致した。
敵陣に突っ込んだ彼らが武器を振るえば、何人もの兵が一瞬にして死んでいく。
空からは魔法や矢の雨が降り注ぎ、パンチ一発で人を爆発させる者すらいる。
もはや戦争になっていなかった。あまりにも強い。
あっ、いま死んだのは高位貴族だな。
あっちでは神殿騎士が討たれた。
「いったい彼らのレベルはいくつなのだ!?」
「それはわたくしの一存ではお答えできません」
ホールデンの質問にステリーナはそう答えた。
余はかつてレベル80の剣士を見たことがあるが、彼でもこれほどの強さはなかった。
それなのに、なにをどうしたらこれほどの騎士が2000人以上育つのだ?
「いや、これもう神の宝あるよね!?」
「ございません」
ホールデンが余の代弁をするかのように叫ぶも、ステリーナの答えは変わらない。
読んでくださりありがとうございます。




