お盆の不思議な出来事
深夜近く、私は自室で溜まった洗濯物を畳みながらふと、辺りを見まわした。
その日は体調の悪さからやっと脱却できたのもあり、少々気が抜けていたのだろう。
私は半ば呆けた表情をしながら黙々と作業を続けていた。
そよそよと扇風機が肌に当たる感触と、冷房から作り出される心地いい温度に静かで凪いだ気持ちになっていたのかも知れない。
そんな中、ふと手元に何気なく目を落とすとそこには不思議な光景があった。
電源がつくように何かをしたわけでもないのにスマホの灯が灯る。
そこには通知は一つも来ておらず、私はおかしいなと少し首を傾げた。
そして数拍の間を置かずにそれは訪れる。
まるで親戚の子供の頭を撫でるかような柔い感触が私の右のつむじ辺りをなぜていった。
・・へっ?
驚きすぎて言葉も出ないとはまさしくこのことだろう。
普段なら気にもしないことなのだが、あいにく今はお盆、
どんな不思議なことが起きてもおかしくない。
いや、ただの扇風機が起こした偶然の錯覚なのかも知れない。
しばらく固まっていたが再起動した私の心中に広がるものは、まるで蕾が綻ぶような暖かな温もりだった。
辛いことばかりあったけれど、私はまるで誰かに頭を撫でてもらったみたいなこの感触が嫌いにはなれずむしろ、どんどんと幸せな気持ちが溢れていった。
ちょろいと思われても否定はできない。
けれど、あの一連の不思議な出来事は間違いなく心があったかくなるようなそんな出来事だったのだ。
結局あれはなんだったんだろう?