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月夜譚 【No.101~No.200】

魔法の壺 【月夜譚No.156】

作者: 夏月七葉

 ずっと花瓶として使ってきたものが、実は魔法の壺だったなんて。

 確かに、この花瓶に活けた花は長持ちするな、とは思っていた。だが、見た目もシンプルな白い陶磁器だし、誰が魔法の壺だと思うだろうか。というか、そんなものが実在するとすら思わない。

 正直、最初は信じなかった。それが魔法の壺だと指摘したのは、訪問販売に訪れた中年の女性で、商品を売りつける為にそんな突拍子もないことを言っているのだろうと思った。

 しかし、彼女の言う通りに活けてあった花を取り出し、新鮮な水で満たし、一晩月明かりが差し込む窓辺に置いておいたら、なんと翌朝には中が凍っていたのだ。窓は二階にあるし、戸締りだってしっかりした。誰かが忍び込んで壺を取り替えた、なんてことはあり得ない。それに、昨夜は記録的な熱帯夜だった。

 これはもう、信じるしかないではないか。

 しかしながら、そうと知ってしまった今、この壺の処遇に悩むところである。手元にあっても使いこなせないし、売ろうにもどう説明したら良いものか。廃棄したら呪われそうであるし……。

 暫く考えた後、結局は再び花を活けて元の場所に置いておくことにした。花が長持ちするだけの機能しか使えないが、自分にはそれしか思いつかなかったのだ。

 魔法の壺は、花を活けてある方が綺麗に見えるのだ。

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