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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
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拠点 5

「さて……」


 作業台の上には破損したショットガンと、細かく分解されたライフル。俺はそれぞれ手を触れてから『武器修復(ウェポンリペア)』を使用した。

 すると、目の前には新品同様のショットガンとライフル。分解されていようが、ある程度の部品が揃っていれば修復は可能のようだ。


「よし!」


 新たな武器を入手した事で、俺は思わず声を上げて喜ぶ。そして、それを見ていた早瀬さんが銃を眺めながら呟く。


「ライフルはウィンチェスターM70。これはよく狙撃で使われていた有名な銃だね。ショットガンは……ベレッタなのは分かるけど詳しくは分からないな」


 確かにライフルはどこかで見たような形状をしている。名前も聞いたことは有るが、それ以上の事は分からない。だが有名所なら性能はそれなりなのだろう。

 ショットガンは銃口が上下二連になっている。早瀬さんに聞いてみたが、今はこの形が一般的なんだそうだ。両方とも今までの拳銃に比べたら強力な武器で、更に用途が違うことで選択肢は広まった。


 ライフルによる遠距離攻撃、ショットガンの散弾による広範囲への攻撃。これで、領域の攻略もやりやすくなるだろう。

 俺は今すぐに能力を付与して試したい所だったが、その思いを何とか堪えた。





 こうして新たな武器を手に入れ、俺達は銃砲店を後にした。そして、一時的な拠点としているビルへと帰還する。

 だが……ビルの入り口に到着すると、俺達はある違和感に気づく。それは、入り口を塞いでいた机等が脇に退けられたままになっていた事。

 俺達ならある程度元に戻してから上に戻るのだが……まさか、俺達以外の人間か?


 俺はその可能性に気付くと、城悟達を手で静止する。


「……俺達以外の誰かが来た可能性が有る。俺が見てくるから待ってろ」


 俺は三人を入り口に残し、一人で階段を登って行く。手には魔石銃を持ち、いざとなれば躊躇するつもりは無い。

 階段に登るが、特に人の姿は無い。そして休んでいた部屋に聞き耳を立て様子を伺うが、中からは特に物音はしなかった。俺は扉を音がしないようにゆっくりと開け……室内へと入る。


 そこで俺が見た光景は——荷物が荒らされ、中の物がばら撒かれているものだった。だが中には誰も人は居らず、俺は周囲の安全を確認すると、そのまま荷物を確認する。


「やられたな……」


 荷物の中で予備の銃や食糧だけが無くなっていた。明らかに人がここに忍び込み、荷物を物色していったようだ。

 それはまあ良い。だが、ここには討伐班では無い早瀬や椿が残っていたと思うんだが……何処へ行ったんだ?


 ——まさか。


 俺は急いで入り口に戻り、三人に指示を出す。


「俺達の留守中に誰かが荷物を盗っていったようだ。それに……早瀬と椿の姿が無い。城悟と早瀬さんは武器を持って部屋で待機。爺さん、俺と周囲を探すぞ」


 俺の指示にそれぞれ頷く。早瀬さんは不安な表情を見せるが騒ぐことは無かった。


 そうして、周囲の魔物を蹴散らしながら俺と爺さんは走る。俺達がビルを離れてから一時間半程度、魔物の居る中でそこまで遠くに行っているとは思えない。

 他に生存者が居るとしたら何処だ?商業施設の周辺は魔物だらけで人が生きている可能性は低い。だとしたら——。


「爺さん、万代橋の方へ行くぞ!」


 万代橋周辺ならマンションも有るし、更に橋の向こうには住宅地も。

 せめて、何かしらの痕跡だけでも見つける事が出来れば……!クソッ!こういう時に孝の『現状把握』が有れば探すのが捗るのに!


 何の手掛かりも無いまま、俺達は橋へと到着する。


「灰間の小僧、これを見ろ」


 爺さんが地面を指差す。俺がそこに目を向けると、そこにはいくつかの魔石が放置されていた。魔石は橋の先にまで点々と残され、それは誰かが橋を渡った事を意味していた。

 勿論以前に魔物が倒された痕跡の可能性も有るが、橋に魔物が殆どいない時点で倒されたのはごく最近か?

 流石に孝や荻菜さん達はここまでは来ないだろう。それに魔石は出来るだけ回収しろと伝えてある。だとすれば、第三者がここに居たんじゃ無いだろうか。


 目を凝らして橋の先を見るが、人の姿は無い。俺は思い通りにいかない事に、その場で奥歯をギリっと噛み締めて立ち尽くす。そしてビルを襲った誰かに、静かに殺意を覚えるのだった。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] 猟銃は弾数制限がありますからね。 日本は一応、三発以上いれられないように割り箸みたいなので改造されてるはず。 まあ、ガンマニアならそれらを外すのは簡単だから味方にガンマニアがいれば装弾数を増…
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