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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
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拠点 4

 それから、俺達は銃砲店を目指して歩いていた。道中こ魔物の数が少ないのは、討伐班が頑張っているお陰だろうか。……攻略班はわずか二時間で帰ってきたんだが。


「それにしても……早瀬さんは何故銃砲店なんて知ってるんです?まさか猟友会とか?」


 俺の疑問に、早瀬さんは城悟におぶられながら返す。


「いや……言いにくいんだが、射撃をやってみたいと思って調べてね。でも妻と娘は猛反対で、諦める事になったんだけど……今思えばあの時無理にでも押し通していれば……」


 早瀬さんはその先は言わなかったが、何を言おうとしたかは察しがつく。もし銃が家に有れば、この状況ではどれほど心強いだろうか。そしてそれで救われた命も……。


 早瀬さんは首を振る。


「すまない。もしもの話なんてしても仕方がないのに」


「いえ……分かりますよ。やっぱり俺も考えますし」


 もしもあの時、沙生さんを家に行かせなければ今頃一緒に居たのだろうか?俺がもっと強ければ、警察署の人々も死ななかったのだろうか?……そんな、もしもの事なんてもう数え切れない程考えた。


 それからは早瀬さんによる道の指示以外は沈黙が続く。





「そこを曲がれば目的地だ」


 ビルから二十分程で、目的地である——銃砲店へと到着した。店の入り口シャッターは閉められており、特に銃をイメージする看板も出ていない。

 俺が本当に有るのだろうか、と疑問に思っていると早瀬さんはそれを察したのか笑いながら話す。


「疑問に思うのも無理はない。昔は看板があったらしいんだけど、台風で壊れてからそのままだそうだよ。まあ、それに基本的に決まった人しか来ないらしいし……」


 確かに、普段生活している中で銃なんて触れるような物では無いし、直接見る事だけでも稀だ。それでも、銃砲店なんてものがこれだけ身近に有るなんて、少し考えさせられる。

 まあ……今はその触れる事のなかった銃を、殺すための道具として実際に使っているんだが。



 

 俺達はそのまま店の裏手へと周る。すると、先に行った爺さんが残念そうに呟いた。


「灰間の小僧、残念だのう。やはり先客が居たようじゃ」


 裏手に有るドアはこじ開けられ、半開きの状態になっていた。やはりここを知っている生存者が武器を求めてやって来たのだろうか。

 俺達は銃砲店の中へと足を踏み入れる。そこは——悲惨な状況だった。銃が保管されていたと思われるショーケースは割られ、中身は空。それに奪い合いでも起きたのか、銃で撃たれたような血痕と共に腐敗し異臭を放つ地面に倒れた死体。


 これは……銃どころか弾の一発も残っていなさそうだ。俺はそう思いながらも建物内を散策する。


「流石に銃なんて残ってねえな……」


 城悟がそう呟きながら俺の元へと来る。俺も諦めかけたが……その時、死体の側に壊れた散弾銃(ショットガン)がある事に気付く。

 恐らく銃同士で撃ち合いになり、その際に銃弾で破損したんだろう。他の奴から見れば使えないゴミなのだろうが、俺からしてみればこれは新品の銃と何も変わらない。俺は何も言わず、壊れた銃を死体から回収する。

 城悟はそれを見て顔を顰める。腐敗した死体の手はボロボロと落ち、それが少し付着するが……まあ良い。俺は気にせずに手に持った。


「お、おいおい……流石にそれは……」


「……俺の能力知ってるだろうが。戦闘中に何回も呟いてるだろ」


 俺の言葉に城悟が納得した表情を見せる。


「ああそうか!壊れてても問題無いんだったな!」


 そこで、奥を見ていた爺さんが俺を呼ぶ声が聞こえた。


「灰間の小僧こっちへ来い」


 俺が爺さんに呼ばれて向かうと、そこは修理や調整を行う為の部屋なのか工具や部品が散乱していた。

 その中で爺さんが指を指しているもの。


 それは——ライフル銃が分解されて、部品に分けられた物だった。恐らく魔物が現れる時に整備でもしていたのだろう。そして、先に侵入した連中は、知識が無くこれを使えないと判断して置き去りにしたのか。


 これを武器修復(ウェポンリペア)出来れば……俺は強力でかなりの遠距離武器を手にする事になる。


 俺は二つの銃を並べながら、心が躍るのを感じた。どうやら俺には運も味方しているようだ。

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