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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
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拠点 2

 それからまた探索を開始し、俺達は止まったエスカレーターを登り2階へと上がった。

 そのまま三階を目指そうとするも、遠くに青い犬の姿が見え爺さんはその足を止める。すると椿は前に歩み出た。


「それじゃ、手出しはなしで」


「危なさそうだったら手を出すからな」


 椿はフッと笑い、青い犬を見つめながら話す。


「まあ見てなって」


 そうしているうちに、青い犬がこちらに気付き近づく。椿は両拳を握りしめ、まずは犬の出方を伺うようだ。犬はまた、その走ってきた勢いを利用して椿に飛び付いてくる。

 椿はそれに対して体を屈め、青い犬の顎目掛けて右手を下から上へと振り抜く。その衝撃で青い犬の頭が上を向き、その体が宙に浮く。

 そして次に椿はその無防備となった体に左脚で蹴りを叩き込む。それにより後方へと飛ぶ犬の体。だが、椿の攻撃はこれだけでは終わらなかった。


 左脚を地面に付け、その足を強く踏み締める。そして右手を引くと——その瞬間、椿の姿がぶれて消えたように見えた。

 気が付けば椿は右手を振り抜いた状態で、その拳は後方へと吹き飛んでいる青い犬の頭を捉えていた。そのまま、犬は大きく吹き飛ばされ……オブジェクト化した棚に体を打ち付けて、そのまま動かなくなった。





 椿は犬が消失したのを確認し、俺達の元へと戻ってくる。その表情は得意げだ。


「ほら、どうよ。私だって戦えるでしょ」


 犬の体を的確に捉えた連撃は見事だった。俺がやってもああはならないだろう。それに彼女の『ホープ』と思われる一撃。瞬時に移動した勢いも威力に変わり、あれだけ強力な一撃となったのだろうか。


 そこで俺はふと思う。ん……?椿のやつ、あれを俺に打ってきたよな?もし直撃してたら、素手とはいえ大怪我してたんじゃ無いか?


「なあ、お前……俺に『ホープ』を使った一撃、打ってきたよな……」


 俺の言葉に椿は目を泳がせる。


「あ、あはは……あんたが予想以上に強くて、必死だったから、つい……」


「つい、じゃねえよ!アレが頭にでも当たってみろ、俺や爺さんでも死ぬからな!」


「大丈夫!急所は外してたから!」


「そういう問題じゃねえ!」


「だ、だって!元はと言えば、あんたが私を挑発してくるから!」


 椿の言葉に俺は言葉を詰まらせる。確かに、俺が話し合いをする前に煽ったのは事実だ。だが、それを言うなら椿も……。


「お主ら戯れ合うのもいい加減にせい。ここを何処だと思っとるんじゃ……」


 爺さんが俺達に呆れながらそう話す。


「そ、そうだな。確かに挑発した俺も悪かった。水に流そう」


「……私も悪かった。これからは気を付ける」


 まさか爺さんから注意されるとは……。それでも、こうして俺と椿の蟠りは解けた。そして俺達は気持ちを切り替えて探索を再開する。


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