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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
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対立する者達 7

 翌日俺が目を覚ますと、他の連中は既に起きており俺が最後のようだった。そして隣の部屋から声が聞こえていた。


 目を擦りながら隣の部屋へと向かうと、そこでは爺さんと城悟が話していた。城悟は昨日とは違い、どこかスッキリとしたような顔をしている。本人なりにうまく割り切れたんだろうか?


「……おはよう」


 俺が声を掛けると二人は俺へと顔を向けて話し掛けてくる。


「よう、暁門。昨日は済まなかった。だが、オレも考え直した。これから改めて宜しくな」


「……そりゃ良かった。やる気になったなら、そこの爺さんに頼むと良いぞ?かなりハードだが鍛えてくれる」


「おう!もう頼んだ所だ!実は暁門に喧嘩で負けたのが悔しかったんだよ。その内負かしてやるから覚悟しとけよ」


 切り替えてからの行動が早いな。だが、爺さんの修行を甘く見てると痛い目に遭うからな?


「お前に負けるなんて日は来ないけどな。ま、やるだけやってみろよ」


「……完全に嫌な奴だな。本気で勝ちたくなってきたわ」


「ハッハッハ!面白くなってきたのう。灰間の小僧も最近弛んでおるし、丁度いい扱いてやるかの」


「アカグロでも出てこない限りは魔物じゃ相手にならん。だがまあ、最近戦いに緊張感が無くなってるのは事実だな」


「すげぇ余裕だなおい。お前そんなに強いのかよ」


「孝の奴と一緒に驚かせてやる。覚悟しとけ」


 どうやら城悟は大丈夫そうだ。これで孝が加われば、また昔みたいに過ごせるかもな。




 そうして朝食を取った後、一晩過ごした建物を後にした。城悟は孝の拠点を知っている為、その道案内を任せる事になった。

 そして、道中の魔物は城児任せにしてみた。勿論爺さんのサポート付きだが、どのくらい戦えるのかを確認しておきたかった。


「ハッ!」


 城悟が刀をゴブリンに振るい、その体を両断する。その行動に躊躇は無く、随分と戦いに慣れているように感じた。


「どうだ?オレも結構やるだろ?」


 そう言って得意げに胸を張る城悟。だが……言いにくいが、これなら荻菜さんの方が強いかもしれない。城悟以外はそう思ったのか、皆口を閉じて何も言わなかった。


「あー、うん。もっと魔物を狩るべきだな。まあ早瀬よりは強いんじゃ無いか」


 うちの連中で一番弱いのが早瀬。何故なら彼女は色々と理由を付けて爺さんの訓練をサボっていたからだ。班分けの時に雑用を選んだのも、戦いを出来るだけ避けたかったからに違いない。


「えー……充分強いと思いますけど」


「早瀬はサボり過ぎだ。落ち着いたらまた鍛え直しだからな」


「えぇ!?わ、私は雑用してます!裏方専門で!」


「ダメだ。青いゴブリン位簡単に倒せるようにならないとこっちの負担が大きい」


 早瀬がそれを聞いて絶望したかのような表情をする。そしてその様子を見ていた城悟が疑問に思ったことを質問する。


「お、おい……オレって早瀬さんの次に弱いのか?荻菜さんだって女性だし、それならオレの方が……」


「ああ、魔物を倒せば身体能力が上がるんだよ。だから俺達と一緒に魔物を倒してきた荻菜さんは結構強い。男だとか女だとか、体格だとかはもう気にしない方が良いぞ」


「マジかよ。そんなゲームみたいな……」


 その後——荻菜さんの戦いを見た城児は、口を大きく開けて驚愕する事になる。まあ、これで身体能力の向上については理解出来たんじゃ無いだろうか。




♦︎




 俺達は城悟の案内の元、孝が拠点としている建物の前までやって来た。魔物の侵入を防ぐためか、入り口はバリケードのように塞がれていた。


「おい!誰か居ないか!」


 俺が中に向かって大声を挙げるが、建物の中からの反応は無かった。


「三日前までは確かにここを拠点にしてたんだが……」


 城悟が腕を組みながらそう呟く。


「外に出ているだけかもしれん。時間を潰してからまた来るか」


 俺の言葉に城悟は首を傾げる。


「時間を潰すなんて何処でだよ?この周辺には何も無いぞ?」


 俺はニヤリと笑い、城悟へと話す。


「朝言ってただろ?楽しい楽しい訓練の時間だ。近くの業務用スーパーへ向かうぞ」


 城悟と早瀬がその言葉に反応し、焦り始める。


「灰間さん!何も今しなくても!また今度にしましょう!ここで待ちましょ、そうしましょ!」


 俺は早瀬の反応に溜息を吐く。


「時間は限られてるんだ、早瀬もここ数日移動で体も鈍ってるだろ?丁度良いじゃないか」


「な、な……っ!」


「お、おい!スーパーってあんなゴブリンどもの群れの居る所に向かうのか!?」


「そうだぞ?強くなるには魔物を狩まくるしか無い。ま、すぐに慣れるさ」


 俺はそう言うと業務用スーパーの方角へと歩き始める。


「久々のダンジョンじゃのう」

 と爺さん。


「まー良いけど……程々にね」

 と荻菜さん。


「やっぱり残っていれば良かった……」

 と項垂れてながら歩く早瀬。


「え、あ、おい……マジ……?」


 そうして、一人戸惑う城悟を連れて、俺達は業務用スーパーへと向かう事になった。



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