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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
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対立する者達 1

 暁門達が中央区を目指し移動し始めた頃。中央区の避難所の一画では二つの集団が向かい合い、対立していた。





「だから城悟(じょうご)、お前も『希望の力(ホープ)』を持っているのならこちらに来るべきだ」


 そう言ったのは黒縁の眼鏡を掛けた、男性にしては少し髪が長く細身の青年。

 その青年と向かい合った、城悟と呼ばれた体格の良い青年は彼を睨みながら反論する。


「生き残った奴ら全員で協力しなきゃ、生き残れる訳がねえだろうよ!(こう)、いい加減考え直せ!」


 孝と呼ばれた青年は、眼鏡を上げ直してからため息を吐く。


「『ホープ』持ちは、選ばれた人種だとは思わないのか?もし能力を持った人員だけで集団を作れれば、他の集団なんて相手にならないぞ?食糧なんて奪えば良いんだ」


「はっ。お前がそう言って、集まったのはたったの五人だろうが。それでどうやって数十人は居る警察に勝つんだ?」


「だからこそお前を誘っているんだ。これは友人としてでは無く、お前の能力を買っての事だ。お前こそ硬い頭を解してから良く考えるんだな」


 孝と呼ばれた青年の背後には四人しかおらず、逆に城悟と呼ばれた青年には十数人の人が武器を構えていた。

 だが孝という青年は人数差に全く怯みもせず堂々と接している。


「俺はお前の誘いには乗らない。俺はこの力を人々を守る為に使うと決めたんだよ」


「ふん。文句だけ言ってる連中を守るのか?馬鹿馬鹿しい、利用されて終わるだけだぞ」


「何とでも言えよ。お前との友人関係もここまでだ。今度からはお前は避難所を狙う敵として見るからな」


「……そうか、分かったよ。お前がここまで馬鹿だとは思わなかった。絶対に後で後悔する事になるからな」


「お前こそ後悔するぞ。少人数で生き残れると思うなよ」


 そのまま、暫くの間二人は睨み合った。そして、孝と呼ばれる青年が何も言わずに振り返ると、そのまま歩いて離れていった。

 残された城悟という青年はそれを最後まで見送らず、別の方向へと立ち去っていく。




 ——こうして別れた御渡 孝(みわたり こう)堅持 城悟(けんもち じょうご)


 この二人は十年来の友人だったのだが、その友情も意見の食い違いから壊れ、離れていってしまった……。





 二人は離れた場所で、それぞれ呟く。


「「お前なら、どうしたんだろうな……暁門」」


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