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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
2.領域支配と組織
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支配後 6 早瀬 碧と成長促進

 俺と爺さん二人の時には建物内の雰囲気もあって山奥の廃村のような怖さがあった。だが領域内に人が増えた事で、少しだが建物内に活気が出始めた。


 一応役割も決めたが、まず早瀬、荻菜さん、安田さんの三人には爺さん主導の元訓練をして貰っている。ゴブリンや犬を倒し、魔石回収と身体能力の強化が目的だ。

 そして爺さんには一応、ダンジョン化した施設の探索も依頼している。俺も既にこの近くの主な施設は巡ったが、全て空振りだったのだ。

 このままだと魔石がすぐに尽き、能力の検証も出来ないし食糧の解除もうまく回らない。早急に発見したい所だが……難しいかもな。



 

 新たに二人が加入した翌日の夜、俺が駐車場に座り込み『兵器作成』の検証をしていると、隣に早瀬がやって来た。


「灰間さん、何してるんですか?」


 早瀬は俺に対して友人のように普通に接して来る。俺はそういったものは求めて無いんだが……リーダーとしての威厳が足りないのか?


「魔石を使った銃の検証だ。性能によってはこれが標準装備になるかもな」


 俺は作り出した銃の銃口を車へと向ける。そしてそのまま引き金を引くと、青白い魔力の弾が発射され……そのまま車のドアを破った。

 これは『威力』と『魔力弾』を付与したエアガンだ。これだけの

威力が有れば、通常の使用には充分な性能だろう。青ゴブリンには力不足かもしれないが、普段遭遇するのは緑のゴブリンか犬だけだ。

 拳銃は弾数の五発というのが難点で、通常の使用には向いていない。サブマシンガンや弾倉のタイプの拳銃を入手したいが……まあ日本だと難しいよな。自衛隊の駐屯地……新潟に有ったかな?


 早瀬は魔力弾の威力に驚きつつも、疑問が有る顔を俺に向ける。


「でも、石弾の銃でも威力は充分じゃ?何故魔石の銃に拘るんですか?」


「魔石の銃だと、魔石を入れるだけで弾の補充が出来るんだ。それならもし遠征して弾が切れても、俺に頼らず弾が補充出来るって訳だ」


 魔石弾の銃には、弾を込める所に魔石を入れる空間が追加される。エアガンならそこに魔石を一つ入れるだけで三十発の弾が発射できるようになる。それなら俺の『武器修復』よりもコスパが良いし、俺の手間を大きく減らす事が可能だ。


「弾を気にせず撃てるのは大きいですね!」


「……早瀬のようにうまく当てられない奴は弾の消費が激しいからな」


「うっ……ど、どうしても敵が居ると焦っちゃうんです。不可抗力で

……」


「いい加減慣れろ。俺にはお前が必要なんだ。死なれると困る。だから今の内に早く強くなってくれ」





 俺が早瀬にこう言う理由。それは……俺が彼女が好きとかそういうものでは無い。


 その理由は、早瀬が『ホープ』持ちだったから。初日に何故言わなかったのかを問い詰めたが、どうやら地味な能力過ぎて彼女も言い出し辛かったようだ。


 早瀬 碧の能力、それは『成長促進(グロウプロモーション)』。


 その能力を使った対象の成長を促す、という能力なのだが……とても検証がしにくい。現状ではその辺の雑草に使ったがすぐに効果が出るわけでも無く、翌日になっても見た目での変化はみられない。


 だが『ホープ』は成長し、発展していく。使っていく内に即成長や、広範囲に効果を発揮出来るかもしれない可能性の塊だ。

 期待通りに成長すれば、食糧の問題がダンジョンに頼らずとも解決出来るかもしれない。

 もし田畑の収穫が一か月で済むようになれば、一つの集団なら賄えるかもしれない。俺はそれに期待している。




「……本当なら言われて嬉しい言葉なのに、全く嬉しく無いのは何ででしょう」


「やる気になるなら幾らでも言ってやるぞ?早瀬の『希望の力(ホープ)』期待してるぞ」


「はぁ……嬉しくないので結構です」



 そう言って俺に聞こえるようにため息を吐いて建物へと戻る早瀬。

 俺はそれを見送り、雲に隠れて星の見えない夜空を見上げる。


「……あれから半月か」


 俺のそんな呟きは誰にも聞かれずに、そのまま夜の暗闇の中へと消えていったのだった。

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