表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
1. 青年と『ホープ』
5/142

コンビニ内

 入り口からコンビニの中の様子を伺う。まだ何かを漁るような物音はまだ続いているが、音の発生源は入り口からでは見えない場所のようだ。

 もしもそれが人なら良いが魔物だった場合、狭いコンビニの中での戦闘は避けたい。そこで俺は中へと声を掛けてみることにした。


「おい、中に居るのは人か?」


 俺の声が聞こえたのか物音が止まるが、返事は無い。


「人なら返事をしてくれ、じゃないと誤って攻撃してしまう」


 ——これでも返事が無いという事は。


 俺は入口に向けて二丁の銃を構えたまま外へと後ずさる。

 そして暫くした後、棚の間から出てきたのは緑の体。ゴブリンだ。


「ギギャッ!」


 ゴブリンは声をあげながら俺との距離を詰めようと迫る。


 俺はすぐに銃を撃つ。一発目は外れた。

 でも大丈夫だ、落ち着いている。


 狙いは出鱈目だが俺は銃を連射する。二発目がゴブリンの肩へと当たり、三発目は脇腹に。

 石弾の威力は思った以上で、ゴブリンの皮膚を貫き血が吹き出している。だが、倒れるまでは油断出来ない。


 そして四発目。石弾はゴブリンの頭へと着弾し、ゴブリンはそのまま後ろへと倒れていく。

 そのまま様子を見るが、ゴブリンは動く事はなかった。周囲の様子を伺うも、ゴブリンが集まってきた様子は無い。


 俺はコンビニの中へと入ろうと、一歩店内に足を踏み入れる、が。すぐに足を止めた。


 ……待て。何で一匹だと決めつけてるんだ。


 俺は一歩後ずさる。——すると。


「ギャッ!」


 突然、一匹のゴブリンが棚の上から俺に飛びかかろうと跳躍してきた。


「——ッ!そこまで考える知能が有るのか!」


 俺は両手の銃をとにかく乱射する。たとえデタラメに撃っても近ければ当たる。

 ゴブリンの至る所に石弾が当たり血が噴き出す。けれどゴブリンの手が届きそうな距離。考える前に体が動き、俺は後ろへと跳躍した。


 ゴブリンは地面に崩れるように着地。身構えたがそのまま動く事はなかった。


「だ、大丈夫だよな?」


 怖いので倒した二匹の頭をもう一度撃っておく。俺は臆病なんじゃない、慎重なんだ。

 その後、声を掛けたり店内を見回すもゴブリンの姿は無かった。コンビニは無事制圧出来たようだ。


 そして、店内には二つの人の死体。一つの死体には特に変なところは無かったのだが、もう一つ、棚の間にあったゴブリンの居たと思われる辺りの死体に違和感があった。


 ……死体の腹が食われている?


 ゴブリンの行動は、人を殺す事を目的として動いていた。ただ殺した後に何かをするわけでは無く、人を食べる事も無いとの情報だった。

 けれど、これは明らかに……。


「うぷっ……もうダメだ、限界。早く食糧を探そう……」


 死体なんてもの、そんなにすぐ慣れるわけが無い。吐きそう。


 

♦︎


 

 俺は何度も吐き気を催しながら、食糧や飲み物をかき集めリュックに詰めた。だが思った以上に食糧は少ない。カップ麺や缶詰数個だけ。これは、ここに食糧を取りに来ている人がいるって事だろう。


 もっとも騒動発生から10日以上。パンや弁当なんて異臭を放っていたし、無事な食べ物の方が少ないのだが。


「……すぐにスーパーにいく必要が有りそうだ」


 俺は肩を落としながら、コンビニの外へと出ようとする。


「おい」


 突然入り口の方から声がして俺は身を硬らせ、おそるおそる棚から顔を出して覗く。

 コンビニの入り口近くに立っていたのは金髪と坊主頭の青年二人組。金髪の青年はこちらを睨みつけ、坊主頭の青年は周囲を確認している。


 ……あまり、友好的じゃ無さそうだな。


 俺は離れたまま金髪の青年に声をかける。歳はあまり変わらなさそうだが、制服着てるしし俺の方が上だろう。


「君達も生き残り?もしかして、ここの食糧を持って行ってたのは君達かな?」


「そうだ。だからこのコンビニの食糧は俺らのもんだ、だから今集めた食糧を全部渡せ」


 おい、ちょっと待て。おかしいだろ!


「いや、君このコンビニのオーナー?」


「んなわけねぇだろ。さっさと寄越せよ」


 俺が必死になってゴブリン倒したのにそれはねぇだろ。少しイライラしてきた。


「じゃあ渡す訳が無い。俺も食糧が必要だ」


「ハッ!テメェも殺されたいのか?そこで死んでるやつみたいに、よ」

 

 その言葉に、俺は声を詰まらせてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ