表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
2.領域支配と組織
34/142

領域支配 3

「……それはどういう事じゃ?」


 爺さんは複雑そうな表情をしながら顎髭を触る。


「爺さん、刀を貸してくれ」


 俺がそういうと、爺さんはまたもあっさりと渡してくる。ただ理由を聞いた後だと、刀の重みがちょっと違うように感じる。

 俺は刀を受け取り、更に袋に入れていた魔石を一握り取り出す。


「それはこういう事だ。……『武器修復(ウェポンリペア)』」


 俺がそう呟くと、持っていた刀が淡く、白い光を纏い始める。


「ほう……」


 爺さんはそれを見て、驚かずに感心したように呟く。

 そして、刀を纏っていた淡い光が収まると……刃の欠けた部分が無くなり、まるで一度も使っていないような新しい刀がそこにあった。


「まだこれだけじゃ無い。……『効果付与(エフェクトグラント)』。この刀に『頑丈(スターディ)』と『威力(マイト)』を付与する」


 今度は刀が青白い光を纏う。俺はその光が収まったのを確認し、爺さんへと刀を返した。

 爺さんは刃を隅々まで眺めたり指で叩いたりする。そして暫くしてから感嘆の声をあげた。


「これほどの刀……見た事が無い。刃が薄くなり斬りやすくはなっておるが、全く華奢な感じが無い……」


「ああ……見た目が僅かに変わったのか、それは悪かった。戻す事も出来るがどうする?」


 爺さんは口角をあげてニヤリと笑う。


「まさか。これ程の刀、早く試したくてうずうずしとるわい」


「思い入れの有る刀なんじゃ無いのか?」


「それはそれ、これはこれじゃ。今の儂にはこの刀の魅力の方が上回っとるよ」


 爺さんの言葉を受け、俺は苦笑いする。この爺さんは歳の割に随分と血気盛んのようだ。このはしゃぎようを見てると、とても爺さんに見えないな。

 本心では指導途中で死なれるのが困るから、というのが大きいんだが……ま、これなら大丈夫そうだな。


 そこで俺は魔石を握っていた手を開く。すると一握りの魔石はほとんど消えていた。




 ——『武器修復(ウェポンリペア)』と『効果付与(エフェクトグラント)


 これはトリセツから後で教えてもらった新たな『武器作成』の能力だ。


 『武器修復』は武器を新品同様に修繕する能力。さっきの刀のように刃が欠けても修繕出来るし、銃に使えば弾の補充としても使える。だが魔石を消費するので、あまり多用出来ないのが現状だ。


 『効果付与』は既に作成された物へ能力を付与するもの。この付与は武器だけに留まらないようで、様々な事に応用出来そうだ。だがこれも魔石を消費するので、武器に限って言えば作成時に付与した方がコストパフォーマンスは良いだろう。




「ところで……」


「何だ?」


「お主の得物はどうするんじゃ?儂はこの刀だが、流石に貸し続けるわけにはいかんぞ?」


「ああ、それなら大丈夫……だと思う。けれど、今日は回数限度だから無理だな」


 爺さんは溜息を吐き、俺を呆れた顔で眺める。


「……お主は何でも有りじゃのう。もう呆れるしか無い」


「それは褒め言葉として受け取るよ。爺さん、俺は灰間 暁門だ。明日からよろしく頼む」


「……柳 道唯じゃ。灰間の小僧、明日から覚悟しておけ。儂の指導は泣くほどに厳しいぞ」


「残念だな。俺はもう泣かないと決めたんだ。どんなに辛くても耐えてやるよ」


 俺と爺さんは互いにふっと笑う。


 そうして——俺の修行の日々は始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ