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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
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青堀神社 21 『認識誘導』

 ——翌日。俺達は早朝から領域への受け入れを始めた。


 勿論外に出れないよう脅していた事で反発や警戒はあったが、菅谷の説得により渋々納得してくれた人が多いようだ。正直菅谷にはあまり期待していなかったのだが……その、すまなかった。

 受け入れた避難民達は荻菜さんが操られているかどうかチェックを行い、引っ掛かった数人には見えない所で眠って頂いた。


 青堀神社で避難していた人は菅谷達を抜いて三十人程。その内二十五人はこちらの領域へ。残った人達は俺達が信用出来ないらしい。まあ、それもわからないでも無いが。


「移動を受け入れてくれた人達は終わりだ。それで灰間さん、これからどうするんだ?」

「そうだな……丸山達はどうしてるんだ?流石に動きには気付いてるだろ?」


「勿論気付いてる。けど……俺に話しかけさえしないんだよな……」

「なら、残ったのは全員敵だな。恐らく守りに入ったんだろう」


 丸山……折角正気に戻ったのに、また操られたのかよ。




「し、称矢は敵じゃない!灰間さんお願いだ!あいつは助けてやってくれ!」

「そうは言うが、無力化するのは中々難しいと思うが……」



 菅谷を抜いた三人の『ホープ』持ち。丸山玉男は結界を操り、それは銃弾さえ弾く防御型。厚木称矢は火を操り攻撃するのが得意の攻撃型。市橋克也は地面を操作する妨害型。


 いや、素晴らしいバランスだ。そこに斥候の菅谷が加われば完璧だな。俺が一人で突っ込んでも結界で防がれ、足場を崩されて炎で焼き殺されそうだ。恐らく身体能力でどうにかなる問題じゃない。


 せめて避難民が全員来てくれれば良かったんだが……。

 そう考える俺の所に、チェックを終えた荻菜さんがやって来る。ちなみに操られる可能性を考え、俺と荻菜さん以外は境界に近づかないように言ってある。

 昨日の城悟は荻菜さんがアレコレしていたそうなので大丈夫だったらしいが。



「疲れたわ……で、これからどうするの? というか丸山達人を操ってる『ホープ』持ちって誰なの?私聞いて無いんだけど?」


「ああ、そう言えば……そうだな、話すか」





 俺は一呼吸置いてから話し始める。


「まず俺が一番怪しいと思ったのは……菅谷、お前だ」

「いや!俺じゃ無いぞ!俺は姿を消せるだけだし……」


「お前の『認識阻害(ノンレコングニション)』は完全に精神に影響を与える能力だ。そこから発展して人を操るような能力になっても不思議じゃない。 それに加えてお前だけが操られていないのも不自然だ」


「それは俺が精神系の『ホープ』だから影響を受けにくいって……!そう灰間さんが言ったんじゃないですか!」


「ま、もしお前が操る能力持ちだったら、俺達に捕まった時点で使って逃げなかったのが変だし、捕らえた碧も能力で口を割らせれば良いだけだ」


 俺の言葉に荻菜さんが頷く。


「ああ、確かに……」


 菅谷はホッと胸を撫で下ろす。


「でもそれなら、俺達四人じゃ無いのは分かってましたよね?」


「他三人はそもそも精神系の能力じゃ無い。発展したとしても考えにくいな。 まあ『ホープ』の情報が少なすぎて言い切れなかったが」


 戦った丸山にしても結界を出すだけで、能力が発展しているようには思えなかった。その為、菅谷達は自身の『ホープ』をあまり使い込んでいないように思える。

 もしサポート付きなら発展についての話は聞いているだろうし、生きる為に発展させない理由が無い。


 そこで荻菜さんが首を傾げる。


「あれ……という事は誰が? 私はてっきり四人の誰かだと思っていたわ」


「正直、能力的に荻菜さんも疑ってたよ。途中一人で行動してたからね。 けど……情報を自分から話したし、そもそも俺を暗殺したいなら、丸山じゃなく……爺さんは無理にしても、油断を誘える城悟達を操った方が確実だ」


 荻菜さんは額に手を当て溜息を吐く。


「ま、疑われてるとは思ってたけどね……」





「で、俺と荻菜さんが会っていて、その時に違和感を与えてきた人物が一人居る。……菅谷、一つ聞きたい。神社の関係者で生き残った人は居るのか?お前達の身内でも構わない」


 菅谷は暫く考えた後、首を横に振る。


「なら……何でハクシンの隣に菅谷と厚木以外の人物が居るんだ? 元々の知り合いでも無いのに、何故その人物はその立場になった?」


 荻菜さんと菅谷は目を見開く。


「菅谷が青堀神社を支配した時の話を聞いた時、違和感を覚えたんだ。 後から来た丸山や市橋は話に出てくるのに、そいつは菅谷の話に全く出てこなかった」


 俺は話を続ける。


「恐らく菅谷を操る事は出来なかったが、認識を歪める事は出来たんだろう。だからその違和感が無く、居て当然だと思い込ませられた。 俺と荻菜さんにしてもそうだ。あの時威圧感のようなものを感じたにも関わらず、その後疑う事は無く選択肢に上がらなかった。……恐らく俺達も少なからず『ホープ』の影響を受けたんだろう」

 

 荻菜さんと菅谷は納得したように頷く。




「——俺達がハクシンと話した時に居た諏佐。あいつが人を操作する能力を持った能力者で、サポート付きだ」

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