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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
109/142

青堀神社 17 封鎖

♦︎


 暁門が展望室で獣人を倒していた頃、青堀神社の領域前には一人で立つ堅持 城悟の姿が有った。


「あぁ、攻略から帰ったら休もうとしてたのによぉ……」


 そう愚痴る城悟の手にはトランシーバーが有った。そして、そこから御渡 孝の声が聞こえる。


『そう愚痴るなよ。暁門の奴なんて徹夜だったらしいぞ?』


「詳細は聞いてないが、暁門はサポート付きとやらは見つけたのか?」


『確証は無いようだが、数人には絞ったらしい。それでそいつらを青堀神社から出さないようにしてくれ、だそうだ』


「それでこの作戦かよ……正直、かなり怖いんだが……」


『まあ、最悪骨は拾ってやる。それとこっちは準備出来たぞ。城悟、気を抜くなよ』


「大丈夫だ。すぐに『完全防御』が出来るよう身構えてる」


『それにしても……暁門の奴何でも有りだな。トランシーバーに魔石稼動を付与してみたら、充電要らずで範囲も広がったとか……』


「本当に頼もしい限りだな。これが終わったらマッサージ機でも頼むか」


『暁門に怒られても知らないからな……と、誰か来るぞ』


「了解」


 孝の『現状把握』に人の反応が有り、それを孝は城悟に伝えた。そしてその反応が有ったのは青堀神社の領域内。

 そして、領域内ギリギリに姿を見せたのは、菅谷 忍だった。菅谷は城悟に恐る恐る声を掛ける。


「えっと……灰間さんの仲間の方ですよね?一体、そこで何を……」


「菅谷だったか?……丁度良い、中の連中にも伝えてくれ。青堀神社は俺達が封鎖する。そして、誰一人外に出る事は許さない」


 菅谷は城悟の言葉に目を見開いて驚く。


「それと……これを見ろ」


 そう言うと城悟は右手に木の棒を持って掲げた。菅谷は何をしているのか分からず首を傾げる。


 そして城悟が左手で合図を送る……すると。城悟が持つ木の棒が突然砕け散り、それに加えて何かが地面のアスファルトを抉る。


「……ッ!?」


「このように、外に出たら誰だろうと銃で撃つ。ここ以外にも俺達の仲間が待機している。逃げ道は無いと思ってくれ」


「そ、それは……灰間さんは知っているんですか!?」


「知っているも何もあいつの提案だぞ?」


「そんな……」


 菅谷は項垂れる様子を見せる。


「分かったら中にいる連中に今すぐ伝えてくれ」


「わ、分かった。それと……頼むから守ったら危害を加えないでくれ」


「……ああ」


「今すぐ人を集めて伝えて来ます」


 菅谷はそう言って走り去っていく。それを見送った城悟は、ホッと胸を撫で下ろす。



「こ、怖えよ……俺に当たったらどうするんだよ……」


『別に手に持つ必要は無かったと思うけどな』


「それを早く言え!何とか乗り切ったけどちびる寸前だったぞ!」


『フッその為の城悟だろ?でもお陰で危険って印象は与えられた筈だ』


「まあ……あれだけやれば今日位は出てこないんじゃねぇのか?」


『そうだな。それに様子を見に来たのが菅谷でよかった。暁門の言う通りなら、恐らく菅谷は意図を察してくれただろう』


「そうだと良いんだけどな。はあ……暁門が来るまでこのまま待ちぼうけか」


『よし、それじゃ城悟。誰か来たら教えてくれ。俺は休んでるからな』


 トランシーバーから聞こえる孝の声は笑っている。


「ふざけんな!今すぐ俺と代われ!おい!」


 城悟がそう叫ぶも、孝は反応を返さない。




「くそッ……はぁ。その辺座ってるか……」


 城悟はため息を吐きながら近くの縁石に腰を下ろす。




 この一通りのやり取りは暁門の考えたヤラセだ。『命中』を付与したライフルでの狙撃は本当だが、孝達には誰かを撃つつもりは無い。そして青堀神社の周辺に居るのも孝と城悟だけで、仲間が居ると言ったことは全くの嘘だった。


 目的は今外に出るのは危険、という情報を流す事で青堀神社内の人間が外に出るのを一時的に阻止する事で、要は時間稼ぎだった。



『狙撃でも見せて数時間稼いでくれ。孝、頼んだ。ああ、もし前に出るなら操られない対策を荻菜さんに聞いてくれ』


 暁門が言ったのはそれだけ。それを孝が考えて実行した。そして、対策を頼んだ時荻菜さんは苦笑いしていた。



 そして少し離れたビルの屋上でスコープの付いたライフルを持つ孝。


「暁門の奴……あれだけ投げやりだったしどうせあまり期待してないんだろうな……。 はあ……」


 孝は項垂れながらそう呟いた。



♦︎



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