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兵器創造の領域支配者  作者: 飛楽季
三章 中央区
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青堀神社 12

 気絶した丸山の手を動かせないように縛り暫く——。



「うう……」


 丸山から呻き声が聞こえ、俺は声をかける。


「目が覚めたか?」


「ここは……え?なんでわたくし縛られて!?」


「悪いが抵抗されと面倒だから拘束させて貰った」


「えーと……確かあなたは灰間さんでしたっけ……?わたくし記憶が曖昧なのですが、何故このような状況に?」


 丸山の嫌な雰囲気は消え、敵対するような素振りは全く無くなっていた。そして少し会話をしていくと、どうやら丸山はここ二日程の記憶が曖昧で何をしていたか覚えていないようだ。


「最後に誰かに会ったような……でも、それが誰だか覚えていないですねぇ……」


 完全には言い切れないが、丸山は誰かに操られていたのだろう。それが気を失った事で正気に戻った、と。


「は、灰間さん。まさかこの神社内にそんな人が居るなんて……」


 菅谷は突然の事に戸惑った様子を見せる。


「菅谷に丸山、誰か精神系に作用するような『ホープ』持ちに心当たりは無いか?」


 二人は首を傾げる。どうやら思い当たる節はないらしい。


「市橋って奴はどうなんだ?俺はあいつが一番怪しいと思ってたんだが……」


 荻菜さんの証言では、市橋も能力の影響を受けなかったそうだ。丸山がハズレだった以上一番可能性が高い。


 菅谷が答える。


「いや……克也はそんな能力じゃない。地面を操作する能力なんですが、硬い地面をぬかるみに変えるようなそんな能力で……」


「まさか……」


 市橋が精神に作用するような能力じゃないだと?聞いた限りじゃ人を操る能力とは関係が無さすぎる。なら、市橋も操られてるのか?……それかまさか、ハクシンのように二つの能力を持っている?


 俺はその疑問を口に出した。


「ハクシンのように二つ能力を持ってるなんて事は無いのか?そうじゃなければ、残るのは厚木称矢だが……」


「しょ、称矢は絶対に違います!ハクシン様の能力については……ええと……」


 菅谷はハクシンについて何か知っているようだが、それを言うのを戸惑っているようだ。

 それを見た丸山が溜息を吐いてから口を開く。


「はぁ……忍君、今はそんな事を隠してる場合では無いんじゃないですかねぇ……。ハクシン様の正体が君と称矢君なんて事は、ここの人なら分かっていまよ」


 丸山の言葉に菅谷は目を見開く。


「玉男、な、何でそれを!」


「ハクシン様が姿を表すとき、君か称矢君は絶対に居ませんでしたからねぇ……流石に察しますよ」


「ちょっと待ってくれ、まさかハクシンが喋らなかったのは……」


「単純にバレにくいようにですねぇ……声を出したらすぐに分かっちゃいますし」


「……となると、ハクシンの二つの能力は」

「あれは俺と称矢の力です。ハクシンになった称矢が指に火を灯して、『認識阻害』で姿を見えないようにした俺がお茶を出しただけです」


 菅谷は俯きながらそう話した。


 二つの能力ではなく、単に二人が分からないように『ホープ』を使っただけだったのか。怪しいとは思ったが……それは思い付かなかった。


「玉男が言った通り、ハクシンなんて人物は居ません。あれは俺と称矢が演じたただのハリボテの虚像です」


「何でそんな面倒な事をしてたんだ?丸山を操った人物の手掛かりになるかもしれない……良かったら話してくれないか?」


「それは……いえ、今更隠しても意味が無いので全て話します」




 ——一呼吸置き、菅谷は今に至るまでの経緯をゆっくりと話し始めた。


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