第二百二十六話『買う気にさせようにゃん』
第二百二十六話『買う気にさせようにゃん』
《ホントのホントに売れるのにゃん?》
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「——とかいって、
はしゃいだような笑みを浮かべ、
テーブルに並べられた、
骨とう品の一つを迷わず、
差し出されたのはいいとして——
これか……」
「はい」
『これ』
「にございますです」
「見たところ、
ガラスのコップのようだが……」
「おおっ。
即座にお気づきなされるとは。
だいぶお目が高いお方と、
お見受けする次第でありまぁす」
「——誰でも気がつく。
まっ悪い気はしないが——
しかし……。
かなり汚れているな。
彩られた絵柄も、
だいぶはげ落ちていて、
なにがなんだか、
判らなくなっている」
「それだけ」
『年代もん』
「ってわけでして」
「……おや?」
「どうしましたですかぁ?」
「ほら。
底の部分が割れて、
ぽっかりと穴が空いている。
ダメだ。
これじゃあ、使い物にならん」
「お客さま。
確かに」
『飲む器』
「には使えませんです。
使えませんですがぁ」
「なんだ」
「ご要望の」
『見せびらかす』
『ジマンする』
「には、十分かなう、と
ミムカは、
信じておりますです。はい」
「……なぁるほどぉ」
『観賞用』
「というわけか。
うん、気に入った。
店長。
これをいただくとするよ」
「ありがとうございますです」
「いくらだ?」
「ええとぉ。
ちょいとばかし、
お待ちくださいませませぇっ」
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
「——と『そろばん』なるもので、
発掘費用、手間賃、おやつ代、
その他もろもろを、
勘案しましてみればぁ——
初めてのお客さま、
でもありますですから、
大マケにマケまして、
こんなもんではいかがで?」
《どう『いかが』したかは、モチ、つづくのにゃん》




