表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自殺するために現世回帰!!  作者: ああああ
1/3

自殺しよう!

生きることは苦しみだ。

三十路で無職、女性経験の一切ない男はじっとゲーム画面を見つめている。

ひげともみ上げは伸び放題で、丸みを帯びた背中はいぼだらけ。

ニートは社会のごみ。

男はその言葉を否定することはない。なぜなら自分の生活はうんこ製造機と同義であると理解していたから。

朝方までゲームをして、眠くなったら寝る、起きたら母親が作ってくれた夕飯を仕事から帰って来た父親と食べる。

ずっとこの繰り返し。

男は自分に生きる価値がないことを重々に受け止めていた。

現に男はいつ自ら死のうが構わなかった。

ゲーム画面が黄色に輝き、対人ゲームのランク戦が始まる。非対称の対戦型ゲームですら友達が作れない男はもっぱら1人で複数人と戦うほうを選ぶ。

1人対複数人のゲームの特徴は2つある。1つはゲームのバランス調整が難しいこと。男がやっているゲームは発売してから、もう1年半になるがゲームバランス調整において何度もクソゲー呼ばわりされてきた。

そしてもう一つは何といっても1人側が複数人側に煽られやすいこと。非対称ゲームは複数人側の連携が完璧に近ければ近いほど、1人側がどんなに高パフォーマンスをしても勝てない。対人型のゲームは自分が上手くいった気持ちを相手への煽りとして発露するプレイヤーが多い。つまり、言い換えるほどでもなく、1人側のプレイヤーは煽られやすいのだ。

でも、男はこのゲームのプレイヤーに煽りが多いことに感謝する気持ちを持っている。

ニートは自由ではなく、虚無。

このゲームに出会う前まで、男はじっとネットサーフィンをするだけの生活を送っていた。

ゲーム配信は笑える、面白い。まとめサイトも、炎上を見るだけでに気持ちが高揚する。

でも、それだけ。

ふと、虚しく。

人生の時は刻々と過ぎていく。のに気づく。

男にとって、「見る」だけの生活は、ただただ砂の味をかみしめるようなものだった。

ゲームを始めたのは何となく。もしかしたらゲーム実況で少し気になったからかもしれない。

男は今やっているゲームに手を出してみた。

男はゲームは上手い方ではない。中学生の頃に友達と少しやっていたくらいだ。

上達も遅く、非対称ゲームの1人側で始めていたため、負けることも多い。

男がゲームをやめようと思っていた時、男は負けた相手プレイヤーに言われた。

「ザコwwゲームやめろよww」

男は何も言い返さずに対戦部屋を退出した。胸が痛く、悔しい思いがしばらく続く。煽られるとはそういうこと。そして、男は次の日の朝思った。

(ゲーム辞めるどころか人生終わってるから、生きる価値すらないんだよな)

(もう何年も惰性で生きてる。ニートになるような人間に希望なんてないのに)

男はこの時、久しぶりに窓の扉を開けた。生温かい風が吹く日だった。

(生きている価値がないなら、いつ死んでもいい)

(でも、煽ったクソ野郎にムカついたまま死にたくはない)

男は口を利くのは家族ぐらいしかいない。でも、この日は家族以外の誰かに呟いた。

「最高ランクに到達したら、自殺しよう」

男が自殺すると決めた日、男はそれからずっとゲームのランク戦を続けている。

よかったら高評価ブックマーク宣伝をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ