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世界の管理者は人間の生を追求する  作者: 水坂鍵
前章1(第5章):最高神の誕生
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第14話:運命の再会②

第14話です。


「……B?」

「そう。会社で噂になってるやつ。なんか、都心から船で4時間くらいで着く島。昔は人気の観光地だったらしいんだけどね、最近は廃れて逆にオカルト好きの聖地になりつつあるとか」

「はぁ……」

「反応悪いなー」

「いや、そう言われてもね」


 会社が休みのとある土曜日。私、(かすみ)は同僚でかつ小学校からの仲である(ちか)と行きつけのカフェに来た。

 せっかくカフェでゆっくりできるかと思ったら、注文が終わるや否や急に彼女がオカルトの話をしてきたからもう帰ろうかと思った。


「でさ、行ってみようよ」

「は?」

「今度連休あるじゃん。意外と新しいホテルあるらしいから、1泊してこうよ」

「本気で言ってる?」

「本気だよ」

「えー……」


 私たちはもう25だというのに、こんな話をしていて良いのだろうか。

 私たちは会社に入社して3年ほど。漸く仕事も覚えてきて余裕が出てきた。しかしその最初の連休に、オカルトを信じて変な島に行くというのか。

 普通に嫌だ。


「……というか、私船苦手なんだけど」

「大丈夫。酔い止めあるから」

「いや、まぁ……」

「実はもう予約してあるから。行こうね」

「え」

「ふふふ」


 どうやら、私は(ちか)の罠にハマったらしかった。




***




 その日は快晴だった。

 結局そこそこ酔ったこと以外は何もなく無事に島に到着した私たちは、早足でホテルへと向かった。


 ホテルが見えてくると、私はその異様な姿に不気味さを感じた。ホテル以外人の気配が何も見えない、岩と森だけがある島に、まだ築浅であろうガラス張りのホテルが鎮座していた。

 日常の中にある不気味な違和感のようなものが、そこにはあった。


「2名さまですね。こちら鍵です」

「ありがとうございまーす」


 私はほとんど(ちか)に連れられるように歩いた。思えばいつも振り回されているような気がするけど、ずるずると関係は続いている。多分、私もそこまで悪い気はしていないのだろう。(ちか)が良いのなら、私もまぁそれで良い。


「広!」

「…………」

「どうしたの?」

「……いや、なんでも」

「?」


 島とは言え、こんなに安い料金でこの部屋に泊まれるものなのだろうか。割とちゃんとした食事までついているらしいけど……。


「……はぁ、疲れた」

(かすみ)、船の中で何回もリバースしてたもんね。大丈夫?」

「大丈夫、陸地に降り立ったから」


 どうせ私のことだから、何度もリバースするだろうと思ってエチケット袋も脱水防止の飲料も用意していた。だから特に問題はない。ただ少し疲れただけだ。


「トランプでもやろうか」

「まぁ、良いよ」


 高校の時の修学旅行を思い出す。

 そう言えばあの時も(ちか)と旅館の一室でトランプをやっていた気がする。


「──はい、ロイヤルストレートフラッシュ!」

「えー……」


 (ちか)はイカサマでもしてるのかというくらいトランプをはじめ、ゲーム関係が得意だった。

 私はいつも勝てないが、まぁでも、(ちか)が喜んでいるなら良いか、というよく分からない気持ちになりながらいつもゲームを一緒にやっていた。


「お風呂いこー」

「そうだね」


 特に何も考えず、ゆったりとした時間が続く。

(風呂に入って、レストランでご飯食べて……ああ、そういえばその後島の噂を確かめるために肝試しみたいのやるんだっけ。めんどくさ)

 少しだけ後のことを考えて憂鬱な気分になったが、もうここまできたら考えないことにした。

 きっと噂は噂だし何もないだろう、とその時の私は思っていた。




***




 食事が終わった後、私たちは部屋に鍵をかけてそのままホテルのエントランスを潜り抜けた。

 (ちか)が言うには、ホテルから10分くらいの場所に、謎の神社のような何かがあるらしい。


「楽しみだね!」

「いや……楽しみではないよ?」

「えー?もしかして怖いの?」

「そうね。法が怖いから不法侵入はやめておきましょう?」

「え、そこ?」


 念のため、その謎の施設の中には決して入らないように(ちか)を注意する。この子は好奇心旺盛だから、放っておくと何かやりかねない。

 とにかく、法だけは犯させてはいけない。


「うーん……」

「?」

「なんか、眠くなってきちゃった……。いつもこの時間は仕事してるから、眠くならないはずなのになぁ……」

「あ、ちょっと!?」


 歩いていた(ちか)が、急にフラフラとして倒れそうになった。

 私はそれを見て慌てて(ちか)を抱えた。山道だから地面に尖っているものでもあって、怪我をするかもしれないと思ったからだ。


「……寝てる?」


 私に全体重を預けていた(ちか)は、気づけば目を閉じてゆっくりと息をしていた。

 彼女は寝ているだけのようで、私はひとまずほっとしたが、これからどうするかと迷うことになった。


(なんで急に……こんなこと今までなかったのに)


 もしも体調が良くないのなら、すぐにちゃんとしたベッドに寝かせた方が良いだろうと思い、私は彼女を抱っこすると可能な限りの全速力でホテルへと戻った。

 思えばこの時に違和感に気づくべきだったのかもしれないが、私の頭脳ではそれは不可能だった。

お読みいただきありがとうございます。

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