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世界の管理者は人間の生を追求する  作者: 水坂鍵
第2章:異世界と神
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第1話:2人にとっては初めての異世界

 第1話です。

 俺、荒神御形(あらがみごぎょう)は夏休みに異世界に息子を連れて行くことになった。


「夏休み最後の2週間ほどを目安にしたいと思っています。(なずな)ちゃんを連れて行こうと思いますので、真也(しんや)くんにも宜しく伝えておいて下さいね」


 夏休みが始まる前から、我らが院長ははしゃぎ切っていた。

 この親バカは普段はとても冷静で、頼れる人間だというのに、娘のことが絡むと一気にダメ人間になってしまう。


「……あー」

 俺は(せり)からメールで送られた旅行プランを読みつつ、子ども2人が異世界に行くことを想像する。

「──『冒険者としての活動体験』……か。子どもだから冒険が好きなんじゃないかって思ったのか」


 旅行プランには、冒険者としての活動を体験するというものもあった。俺と(せり)は普段からお金を入手するために様々な世界で依頼をこなしているから慣れたものだが、よくよく考えてみれば、()()()()()()()()()()()冒険者など未知の存在でしかない。その世界にはそもそも魔物なんていないのだから。


「……まぁ、俺たちがいるから危険はないか」


 普通に考えれば中学生にはまだ早い気がするが、俺と(せり)がいる以上、何があったとしても子どもたちが怪我をすることはありえない。

 これは自惚れなどではなく事実だ。


「それと……『奴隷商見学会』?……あいつ、やりやがったか……」

 そして『奴隷商見学会』と書かれた欄には、説明として『命が売買される現場を見ることで、社会を知る。そして奴隷商を間接的に潰しにかかることで社会を動かす練習をする』と書かれていた。

 あいつのことだから、きっと今回も強引に何かをするに違いない。子ども達の旅行の内容がそれで良いのかは正直分からない。


「『旅行には、補助として繁縷(はこべら)くんも同行していただきます。私たちが何か作業をしている間、子どもたちを任せるかもしれません。彼なら安心ですね』……そうだな。『それと、レストランの予約ですが────』」


 一通り読んだ御形は、仕事に行くために家を出た。




***




「じゃあこれからこの世界の冒険者ギルドに登録しに行きますよ。ついてきてくださいね」


「はーーい!」

「はい!」

「…………おー」


「1人元気ないけど、出発しましょう!」


 旅行初日、いきなり芹たちは冒険者ギルドへと向かった。

 異世界へのゲートから冒険者ギルドまでは歩いて20分ほどであろうか。芹たちは足が早いためすぐに到着した。


「すみません、登録したいのですが」

「あ、はい、少々お待ちください」


 カウンターにいた受付嬢に、石山は話しかける。

 それに受付嬢は応じた。

 そして数分後。


「お待たせ致しました。それでは、これから能力値の測定を行いますので、この水晶に1人ずつ触れていただきます。これが、今後冒険者としてどのように活動していくかの参考になります。なお、水晶の能力値を確認した後に、簡単な登録試験を行いますので」

「分かりました……では早速」


 (せり)は、(なずな)真也(しんや)に目を向ける。2人は初めての異世界と言うこともあり、とてもワクワクしていた。

 2人の目を確認すると、芹は2人の背中を押した。


「お願いします!」

「宜しくお願いします!」


 2人は元気だった。

 ところが、ここで思わぬ展開になる。


「えっ……、もしかしてその子たちも登録するんですか?」

 受付嬢が、水晶に近づこうとした2人を止める。


「この子たちしか、登録しませんよ」

「え?」

「おや、年齢制限などありましたか?」

「いえ、そう言う訳ではないんですけど……。流石にまだ子供ですし……、冒険者はとても危険な仕事ですので……」


 受付嬢は、2人のことを心配しているようだった。確かに2人はまだ10代前半であるため妥当な判断だと言える。


「ですが、私たちがついていますので大丈夫ですよ。2人は私と御形くんが絶対守りますから」


 だが、芹は気にしていないようだった。


「お、お子さんですか?し、しかし……!」

「大丈夫ですよ、では、取り敢えず水晶で2人の能力値を見てみましょう。それでダメだと言うのなら、諦めましょう」

「……それなら、まぁ……」


 受付嬢はやや不服そうであったが、ひとまず了解が得られたため、まずは真也が水晶に触れる。


 すると──

「え゛っ!?!?」

 おっとりと話していた受付嬢から発せられたとは思えないような大きな声がギルドに響き渡った。



―――――――――――――――――――――

 【ステータス】


 名前:シンヤ・アラガミ


 年齢:14歳


 肩書:荒神御形(あらがみごぎょう)の息子


 職業(才能):勇者


 レベル:32


 HP:1200


 AP:2200


 MP:100


 DP:370

―――――――――――――――――――――



「ゆ、勇者ぁ!?」

 受付嬢は、思わず水晶を凝視する。


「おお、真也くんは異世界用に少し能力値をいじったのですね」

「ちょ、どういうこと!?こんな場所に勇者!?何で!?本当にあってるの!?」

 受付嬢は激しく動揺していた。


「じゃあ、薺ちゃんもやっちゃいなよ!」

「そうだね!」

 そして間髪入れずに薺も水晶に触れる。



―――――――――――――――――――――

 【ステータス】


 名前:ナズナ・イシヤマ


 年齢:13歳


 肩書:石山芹(いしやませり)の娘


 職業(才能):賢者


 レベル:13


 HP:100


 AP:2


 MP:2800


 DP:3

―――――――――――――――――――――



「けっ……?…………あれぇ、ああ!なんだ、夢かぁ!!」

 受付嬢は、もはやこれが現実だとは思っていなかった。


「いや、芹……こっちは一応異世界用に調整したっていうのに。さては何も()()()()()()()()?」

「あはは、大丈夫だよ、私が付いているからね」

「はぁ……」


 ちなみに、この世界におけるレベルは、1歳歳を取るごとに1レベルが上がる(ただし、この方法で上がるのはレベル25まで)。

 (なずな)が元いた世界にはレベルどころかステータス自体が存在しないのだが、芹が異世界旅行のために勝手に付与したのだ。

 とは言え、実は本人の素質に関しては全くいじっていないのだが。



 一方、完全にテンションがおかしくなっている受付嬢を前に、真也はどうしたものかと思っていた。


「あ、あの。石山先生、僕たちどうすれば良いですかね?」


 取り敢えず、真也は芹に尋ねた。

 すると芹は──


「あー、えーとですね。このままでも問題はないんですけれど、お偉いさんを呼ぶのでちょっと待っててくださいね」

 そう言って芹は、受付の前に立つと、胸元から何かカードのような物を取り出した。


「彼を呼んでもらえますか?」

「……!?はいっ、少々お待ちください!」


 そして数分後。


「おお!イシヤマさんじゃないですか。本日はどのようなご用件で?あ、もしかして『あれ』ですか?」

「ええ。お願いしたします」

「お安い御用ですよ」




***




「──はい、これで登録が完了いたしました」

「……ようやくか」

「こらこら、御形くん。文句を言ってはだめですよ?ここはそんなにまだ発展した土地ではないのだから」

「……はいよ」


「では、早速この世界を回ってみましょうか」

「「はい!」」


 お読みいただきありがとうございます。


 不定期ですが、これからもよろしくお願いします。

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