Prologue:異世界旅行
第2章スタートです。
ようやく、ストーリーが開始される感じです。
『私はただ、誰もが幸せになる世界を作りたい。そのためならばどんな方法を使っても良いのだと、私の数少ない何かは言った』
「御形くん。この前言ってた件なんですが、今時間ありますか?」
病院の廊下。
院長の石山芹は、副院長の荒神御形に話しかける。
「……その話か。あんたの娘の予定は?」
「大丈夫ですよ。薺ちゃんは優秀ですからね。真也くんは大丈夫ですか?」
「ああ。今度の夏休みを使うってことだからな。本人も乗り気だし、大丈夫だろ」
「そうですか!それは良かった」
「……ところで、今回は異世界への旅行ってことしか聞いてないが、具体的なプランくらいそろそろ教えてくれても良いんじゃないか?」
「ああ、そうですね」
芹は、少し間を開けた。
「今回は──をやろうと思います」
「まじか」
夏休みが始まり、1週間が過ぎた。
真也(御形の息子)は宿題をすでに終わらせて、万全の構えである。
一方の薺(芹の娘)はというと……
「終わらないよーー……!」
現在、夏休みの課題に真剣に取り組んでいるものの、なかなか進まない。元々彼女は学校の勉強がそこまで得意ではなく、昔塾講師のバイトをしていた芹に教えてもらいながら1つ1つ消化している状態だった。
「頑張って!!」
「…………う〜〜……」
などとやっているうちに、夏休みの中盤に突入した。
「やったぁぁぁ!!!!!!終わったぁぁぁ!!」
「凄いよ薺ちゃん!!!」
そして、ダメな親である芹はとにかく褒めていた。そして涙を流していた。
「じゃあ、早速!もう準備はできているね?」
「うん!!」
芹は、薺の手を取った。
***
──そして、異世界旅行という名の物語は始まる。
「はいっ、じゃあ早速、この世界を楽しんで行きましょう!!」
芹は、高々に3人の前で宣言した。普段仕事中はテンションが特段高いわけではない芹ではあるが、子供の前は例外だった。
「「おーー!!!」」
真也と薺はとても乗り気であった。特に薺は、このためだけに宿題を頑張ったと言っても過言ではない。
「おー……」
しかし、一方の御形はというと、他のテンションの高さに若干気が滅入っていた。彼は元々祭りのようなものは苦手だ。
とは言え、本人も少しは楽しみにしていたわけで、結局ついていくのだが……。
「さて……俺も役割を果たすとしよう」
せめて自分だけは冷静で居ようと、御形は心に誓った。
***
「……っ」
あるところに、エルフが1人。
(……どうすれば……!?)
逃げ、迷い、窮地に立たされた者が、今日も神を呼び寄せる。
ープロローグ 完ー
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