第4話:死後の世界があると仮定しましょう。
第4話です。
『人は死んだらどこへ行くと思いますか?』
事故らしい。
修学旅行から家に帰る途中、僕が乗った飛行機が墜落した。
僕を含め、修学旅行生と教員を乗せた飛行機だった。
そして僕は、その後死んだらしい。
乗っていた客(要するに僕の同級生と先生)は、僕も含めて誰も助からなかったようだ。
でも、何故か僕は意識がある。
「ここは死後の世界」
「えっ!?」
気づいたときには、僕の隣に『何か』がいた。
「……貴方は?」
「『案内人』」
「あ、案内人……?」
「そう。そして、貴方は死んだ。だから、ここは死後の世界」
その、人ではない何か、そう、その何かは、僕にそう告げたのだ。
それ以降、僕が何を聞いても、基本的に何も答えない。
仕方なく、僕は他の被害者である俺の同級生と共に、このわけが分からない場所で時を過ごしていた。
「……で、『案内人』さん、僕らはどうしてこのような場所にいるんですか?」
僕は、『案内人』に尋ねた。
すると、今度は返事が返ってきた。
「……貴方達はこれから行くべき場所に送られるのです」
「は、はぁ……?」
だが、そんな訳の分からない答えしか返って来なかった。
*
「死んだ人間はどうなるか、ですか?」
「はい……、私、怖いんです……。もしかしたら、天国や地獄のような『救い』はなくて……本当は……死んだら、待っているのは『無』なんじゃないかって……」
「なるほど」
病院の一室。
石山病院院長の『石山芹』は、ある患者のカウンセリングをしていた。
「では、まずは『死後の世界があると仮定しましょう』」
「……?……は、はぁ……?」
「その場合、貴方の前には『死後の世界』があるわけです」
「えっ……?」
「『死後の世界』があるとするならば、どんな可能性でも考えれるわけです。ですから、『ある』と思っていれば怖いものはないでしょう」
「は、はぁ……?」
「おい、芹……。急にそんなこと言い出しても患者が分かるわけないだろ……。って言うか、なんかの宗教みたいになってるぞ」
「ああ──それもそうでしたね。では私からアドバイスを一つ言っておきましょう。『常識』は言ってしまえば『悪』に等しい。だから、『常識』に囚われてはいけない」
「……はぁ……?」
「安心して前に進んでください。この世界には、きっと希望が溢れていますから」
*
「……時間が来ました。これから貴方達は『行くべき場所』に行くことになります」
『案内人』がそう言った。
すると、僕の視界は急に暗くなる。
そして、次に目を覚ますと、目の前にあったのは─
「……白い……壁?……いや……天井?」
僕は、目の前にある白い壁が、天井であると理解した。
僕は、起き上がる。
どうやら僕は、ベッドに横たわっていたらしい。
「ここは……?」
「お目覚めのようですね」
「えっ……!?」
気づくと、隣に男の人がいた。
「こんにちは。私がこの病院の院長です。貴方達が乗った飛行機が墜落したそうなので、お助けしました」
「えっ……貴方が……?あの……僕たちは死んだんじゃ……?」
「ええ、確かに死にました」
「……!?」
「しかし、『死』は終わりではありません。言ってしまえば、私にとって『生と死』は『住所』とでも言ったところでしょうかね住所変更は、そこまで難しいことはないでしょう?面倒なだけです」
「は、はぁ……?」
男の人は、意味の分からないことを言っていた。僕はほとんど理解できなかった。
「まぁ、そんなに気にしなくて大丈夫です。貴方を含め乗っていた全員が助かったのですから」
「そう……なんですか……良かった……?」
「では、私は他の仕事があるますので、この辺で」
そう言って、男は去っていった。
*
「……またか!!!!あの忌々しい『白い悪魔』がぁ!!!!!!!!」
別の世界のどこか。
ある一室で、男が叫ぶ。
「『世界』のバランスを崩すあの『悪魔』をどうにかできる者はいないのか……」
「しかし……あの『悪魔』には『王』ですら勝てなかったと聞くぞ……」
「くっ……このままではいずれ……世界は……」
「『魂』を操る力を持っているヤツにどう対抗すれば良いんだ……。」
ー第4話 完ー
お読みいただきありがとうございます。
これで第1章は完結の予定です。次回からは第2章『異世界編(仮)』の予定です。
拙い文章ではありますが、読んでくださっている人には感謝を。