第13話:宇宙戦争
第13話です。
第4章の終わりが近づいてきたと思います。
第5神世界、第1惑星。この星は、10年前から戦争が続いている。それも、この星の国同士の戦争ではない。
11年前に全世界が共同開発した宇宙船が、ある星に探検に行った際に、何の運命なのか、我々は全く知らない生命たちと出会った。
その生命たちは、我々人類とは異なる姿をしていた。彼ら彼女らはツノのようなものを持ち、意思疎通のほとんどを脳内で行っているという。
そんな者たちと我々人類は、出会った星で衝突することになってしまう。彼ら彼女らと、我々の目的が同じだったためだ。
───究極発力石、通称『赤の星』は、今や私たちの世界にとって、絶対になくてはならない存在である。それ1つで私たち全人類がが普通に生活する上で必要な電力を1年は持たせることができるほどのエネルギーを持ち、これからさらなる開発や研究、宇宙への進出をすることを考えればもはや必要不可欠だと言える。
しかし、残念ながらその『赤の星』は、私たちの星にはほとんど存在しない。約200年前にそれが発掘されて以来、僅か50年でそれはほとんど掘り出され、8割ほどが使われてしまった。この間、私たちの生活に使われるだけでなく、様々な研究に使われたことで科学技術があり得ないほどに進化した。
150年前の人類は、この発展した文明を支えるには『赤の星』がこれからも必要であると考え、策を練った。幸にして私たちは宇宙へ進出する技術すら取得していたために、私たちの星の外からそれを調達するということを考えた。
そして、我々の予想を裏切る形で、計画は順調に進んだ。
140年前に私たちは最初の『赤の星』の産地を見つけた。それが埋まっている星は、特殊なカメラで写したときに他の星よりも赤く輝くことが分かったのである。
最初の産地ではそれほど出なかったが、それでも次の星に行くまでの時間稼ぎには十分な量だった。
その後も、私たちは探検を続け、何年も月日は流れ、11年前に至る。
私たちの星から宇宙船で10日ほど(ただし、移動する点が定まっていなければ高速移動できない)のその星は、かつてないほどの『赤の星』を秘めていることが分かった。私たちはその星を紅星と名付けた。
当然のことだが、私たちは目を輝かせその星へと向かった。……しかしその場には、私たちの他に誰かがいたのだ。そう、あの忌々しい、ツノの生えた生き物たちが。
「私たちは何としても、あの気色の悪い生き物たちを駆逐しなくてはならない」
私は第1惑星のとある国家の王だ。宇宙戦争では、A部隊の指揮をとっている。10年以上に渡るこの戦争を終わらせるために私はいるわけだ。1日も早く、あの生き物たちを駆逐しなければならない。
「紅星は未だやつらの支配下にある。紅星の周囲を巡回するやつらの船を今宵、壊す」
自らも戦闘ロボットの操縦者であるからこそ、私は気持ちを常に高めている。
「……隊長!緊急で連絡が!」
しかし、私の部屋に焦った様子の部下が入ってきたことで、状況は一変することになる。
「紅星に、やつらとは異なる謎の勢力が基地を作ったとのことです!」
***
「……おや、来客でしょうか」
「そのようですね。どうしますか、芹?」
「もちろん大歓迎です」
支部を作って僅か1日。支部の近くに複数の生命反応が確認された。どうやら、この星ではない場所からの来客のようだった。
私は防犯カメラを確認した。入り口付近に、すでに4人のツノの生えた人間に近い存在たちが待機していた。
「──こんちには。何かありましたか?」
芹はそれに臆することなく来客をもてなそうとした。彼には恐れなどない。
「……!」
4人はあまりにも穏やかにやってきた芹を見て、逆に警戒したらしい。(おそらく)男女は手に持っていた短い剣のようなものを構えた。
「警戒なさらずとも、私はあなた方に危害を加えるつもりはありません。良ければ、お話をお聞かせください」
「………」
「おや、なるほど。それでしたら、私もそうやって話した方が良いでしょうかね?──『こんにちは。今日はどのようなご用件でしょうか?』」
『………!?』
こちらから見ても、4人が驚いていることがありありと分かった。
『通じましたね。良かったです。私たちはあなた方に危害を加えることはありません。良ければ、中に入ってお茶でもどうぞ』
『もしかしてあなたは……私たちの同胞なのですか?』
『同胞、という言葉の定義にはよりますが、私はあなた方と同じ星に生まれたわけでも、あなた方と戦っている星に生まれたわけでもありません。ただ、あなた方の敵ではありません。そういう意味では、同胞と言えるかもしれません』
1人が、芹と話しているようだ。どうやら、心の中……脳内で会話しているというのが正しいのか。芹はさりげなく、私たちにもその声が聞こえるように声を伝達しているようだった。
『……信じて良いのですか?』
『誰かを信じるかどうかは、ご自身で決めることです。もしも信じてもらえないのであれば、それは私の実力不足だというだけの話ですから』
『そ、そうですか……』
『おそらくですが、あなた方はこの星に急に建物が建ったから、見にきただけなのでしょう?』
『そうですが……あなたは一体』
『私はこの世界の神に、あなたたちの戦争を終わらせるために派遣された存在です。一応私が上司なのですが、彼女はフットワークが重すぎますから』
『神……?神………まさか、桔梗様のことですか?』
『そうです。よくご存知ですね』
『知らないわけがありません。桔梗様は、私たちの生みの親。私たちの母なのです』
4人のうち1人が熱く桔梗のことを語っているのを見て、芹は少し何とも言えない気持ちになったように見えた。それは桔梗のことを知っているからなのか。それとも彼が神を崇めることを嫌うからなのか。
『それはともかく、私は桔梗さんから派遣された者です。あなた方の戦争について、お聞かせ願えますか?』
―第13話 完―
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