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世界の管理者は人間の生を追求する  作者: 水坂鍵
第4章: 学校と戦争と宗教と
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第12話:ホシ

第12話です。


「──というわけで、私は第5神世界に少し出張に行くことになりました」


 病院のいつもの会議室に、科長クラスが集まっていた。全員資料を手に取り、真面目に内容を確認している。


「行くのは()と『友人』。それから田平子(たびらこ)くんです。御形(ごぎょう)くんには私がいない間本部を、蘿蔔(すずしろ)くんにはここ異世界支部を任せます。カエデくんはバックアップを、繁縷(はこべら)くんは引き続き財務をお願いします」


 芹はささっと役割を告げる。資料にはさらに詳細な仕事内容が記されていた。


「……本当に永遠(ひらと)も勝手なやつだな」

「そうですね。ただ、困っている方たちがいるのは事実なので、行くしかありません」

「はぁ……無茶するなよ」

「分かっています。本当に御形(ごぎょう)くんは優しいですね」

「………」

 御形は嫌な予感がしたが、口にはしなかった。

 余裕に満ちた芹の表情を見て、色々な意味で黙るほかなかった。


「では、明日出発ですので、宜しくお願いします」




     ***




 会議の翌日。

 朝早くに芹、(友人)田平子(たびらこ)の3人は第5神世界へのゲートを潜った。ゲートの先は、桔梗(ききょう)が指定した何もない星だった。


「……生命反応はありませんね。戦争の気配もない」

「この星が宇宙戦争が起きている現場の真ん中あたりらしいですが、流石に宇宙規模ですからね。どこででも戦っているわけではないでしょう」


 降り立った星は、薄い青色の地面を持ち、地面はツルツルとしていて、まるで氷の上のようであった。星全体の形は少し歪んだ球であり、大きさはかなり小さい。そして、空は粉のような未知の物質で覆われていた。


「粉のようなものが流れていますね。何でしょうか、あれは」

「体に害はないでしょう。気にしなくて良いのでは?」

「それもそうですか。しかし、探究心はありますよ」


 数分の間、芹たちは拠点を作る星を見て回った。星には本当に何もなく、ただの平面がずっと続いていた。


「この辺に作りましょうかね」

「一応地盤調査しますか?」

「もちろんです。あと、この星の災害の事例も含めて…………おや」


 芹からすればおそらく『なんとなくこの辺にするか』くらいの気持ちで選んだ土地だったのだろうが、ふと地面をよく見ると一部だけ色が違う。

 星のほとんどは薄い水色であったが、この部分だけは少しだけ赤色が混ざり、紫色に近くなっていた。しかも、下にいけばいくほどその赤色は深くなっているように見えた。


「何かありますね」

「掘りましょうか」

「芹様、私がやります」

 今まで無言を貫いていた田平子(たびらこ)だったが、見せ場とばかりに声をあげた。

 彼女は芹といるときはかなり静かなものだ。


「!」

 田平子(たびらこ)は、魔法で異空間から取り出した大斧を、地面に向かって振り下ろした。その威力は非常に大きなものであり、星が揺れるような感覚を私たちに与えた。

 そして大きな音と共に、地面は抉れる。

「おや」

 深い穴の先に、我々の目的は存在した。

「これはこれは」

 芹の声色が、わずかに変わった。この時の芹は、おそらく未知との遭遇を面白がっていたのだろう。


 そこにあったのは、赤く輝く星だった。そう、星の中に、星があったのである。

 複数が敷き詰められて浮かんでいるその様子は、何とも言いようのない不思議さを私たちに供給してくれた。


「……もしやこれは、資源でしょうか」

 生命ではない。しかし、確かにエネルギーを感じる。これは私たちの世界には存在しない、1つ1つが大きな力を持つ物質だ。


「『友人』、貴方のその見方はおそらく当たっています。非常に貴重で、尊いものですよ、これは」

「……戦争の原因になりそうだ」

「ええ。本当に」


 圧倒的な力を持つ物質は、狙われる。

 貴重で、誰もがそれを欲する。

 これはまさに、そのような物質に見えた。


「まぁ、とりあえず、支部を作りましょうか」

「……そうでしたね」

「芹様の言うとおりにいたします」


 しかし、それはさておき、我々は気持ちを切り替え、支部を建設しなければならない。このような場面において、芹のような人間は非常に重要だと言える。田平子(たびらこ)も同様だ。


「まずは調査ですね」




     ***




 石山病院異世界支部の第2弾は、あっという間に完成した。1棟目を建てたときのノウハウがあったのもあるが、今回は土地が使い放題であったことも理由の1つになるだろう。

 建物は相変わらず芹が好きそうな荘厳なものになった。透き通る水色の星と意外にも合っていて面白い。


 建物を建て終えると、私たちは内装工事をした。我々は通常の人間の数億倍でも働くことができるから、どれも一瞬で終わる。


「まだスタッフをどうするか分かりませんが、少なくともここがある程度安全になるまでは他のスタッフは入れられませんね」

「宇宙戦争を止めるために作るのに、宇宙戦争が終わるまで本格的に動かせないのは何とも残念でなりませんね」


 多くの世界がある中でも、宇宙戦争にまで発展する例はあまり多くない。生命たちはそこまで成長する前に自滅してしまいがちだからだ。それに、そもそも宇宙がない世界もある。1つの世界がここまで広いケースは珍しいのだ。

 それ故に、この戦争がどれほど過酷なものであるか分からない。そんな場所に、芹は部下を配置しない。


「少し休んだら、宇宙へ飛んでみましょう。実際に目で見て、確かめるのが一番良いですからね」


 ―第12話 完―

お読みいただきありがとうございます。

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