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第3話:院長、召喚される。②

 第3話です。

 かなり、というか第3話の全文を改稿しました。





「人類、魔族、共通の敵を作りましょう」

「……は?」


 魔神と呼ばれている女性は、何を言われているのか分からず、困惑した。


「私なりに現在の状況を整理しましたが、経験上、人類と魔族が手を取り、協力する社会を作るには、その2つが協力しなければならない状況を私が作ってしまうのが手っ取り早いでしょう」

「な………」

「というわけですから、今日から私は人類、そして貴女方魔族の『敵』です。容赦なくこてんぱんにして差し上げますから、必死で対抗して下さい」


 笑顔でそのようなことを言う芹は、魔神には悪魔のように見えた。


「貴方の記憶は消します。全力で、私を倒しに来なさい」




          ***




 一日後。


「我こそが、人類、魔族全てを滅ぼし、世界を支配するもの、『邪神・セリ』である!!!!!!」


 世界に、『邪神・セリ』が誕生したのである。


 ──そして


「人類、魔族の諸君、我らは共に戦い、必ずやあの邪神を倒そうではないか!!!!!」


 人類、魔族を繋ぐ橋として、『英雄・ゴギョウ』も誕生した。

 配役は完璧だった。芹にとってはだが。




 3ヶ月後。


「絶対に倒すぞ!!!!!!!!!!!!」


 人類と魔族は、共に戦い、次々と邪神の配下(石山診療所職員)を倒していった。

 最初は互いに信頼できていない様子だったが、それでもお互いを知ることで、信頼を勝ち取っていったのだ。


「さて、いよいよ明日は邪神の城へと突入する!この魔神が命ずる、お前ら、1人残らず死ぬことは許さない!絶対に生きて帰るぞ!!!!」

「おーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 御形(ごぎょう)が作り上げた部隊を、最終的にはあの魔神が指揮することになった。

 そして、芹を利用しようとし、人類と魔族を敵対させる原因だった人類側の王族は、邪神が失脚させ、今後は人類と魔族の繁栄を担う人材へと教育(洗脳)した。


「皆さん、絶対に邪神を倒しましょう!!!」


 戦いの最中、どこかへと消えてしまった英雄ゴギョウの魂を胸に、人類と魔族は協力するのだ。




 ―城―


「さて、これでもう私の役割は終わったわけです。そろそろ退場する頃合いでしょうか」

 自身で作り上げた城で芹はそう呟いた。

 ちなみに城は、この作戦に使用するためだけの城ではあるものの、これからこの世界の人類や魔族が再利用できるように使い易く丁寧に作った。


「そうだな。明日、ついにお前を倒しにやってくるぞ」

 その隣には、人類と魔族の橋渡し役もいた。


「では、最後の仕事といきましょうか」

「おう」



 その次の日。


「おおおーーーー!!!!!!!!!!」


 大量の戦力が、城に押し寄せた。



「私に勝てるものなら、勝ってみよ!!!」

 芹は慎重に、殺さないよう丁寧に敵を殲滅していった。

 そして、残ったのは人類も魔族も一名ずつのみだ。



「……ここまで強いとは。……だが、俺は負けるわけにはいかない。世界を守るために!!!!」

 人類側の1人──かつて異世界から召喚された『勇者』は叫ぶ。


「エレナ、まだいけるよな?」

「……ええ、これからです!!!」


 そして、エレナ──かつて『魔神』として人類から恐れられた存在は、そう答える。



「「ああああああ!!!!!!!!!!!」」

 そして、2人は渾身の一撃を邪神に放った。



「……ぐはっ!?」

 邪神はややわざとらしく崩れ落ちる。


「……ぐは……よくぞ……我を倒した。貴様らが、未来永劫この地に繁栄することを認めよう。見事だった……」

 そして、そう言い残し、邪神は消滅した。



「やった、のか……?」

「え、ええ……確かに邪神は消滅したわ……」


「よ……よっしゃあぁ!!!!!!!!!!!」

「……うう……」


 2人は泣きながら喜んだ。

 そして同時に、魔神はどこか寂しさも覚えたが、それを口に出すことはなかった。



 戦いは、()()()()死者が出なかった。人類、魔族側の大勝利と言える。


 この戦いの後、芹の狙い通りこの世界は人類と魔族が共存する世界となり、平和が訪れた。

 また、人類と魔族が共に暮らすことができるようになったことを称える記念碑には、勇者、魔神、人類、魔族の他に、こう書かれていた。



―――――――――――――――――――――


 特別功労者


 英雄 ゴギョウ


 邪神 セリ


―――――――――――――――――――――




          ***




「へー!そんなことがあったんですか」

 病院の一室で、少年が笑顔で叫んだ。彼は元英雄の息子だ。


 それを見て、2人はどこか複雑な表情をしながら言った。


「……いや……なんというか、若気の至りだな……」

「なつかしいですねー」




 ー第3話 完ー

 お読みいただきありがとうございます。


 全て書き直しました。

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