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世界の管理者は人間の生を追求する  作者: 水坂鍵
第3章:さらなる救済
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第9話:掌握

 第9話です。



「──ん?なんだ貴様ら!」

「……やはりいましたか。『生命停止』」

 『友人』は、城の門番と思われる2人を面倒くさそうに消した。

 それを見て、蘿蔔(すずしろ)はやや引いた。


「皆さん、前回は世界が異なり若干形態が違ったので改めて紹介すると、このつまらない城がこの世界の『あの世』における本部になります」


 門から入城すると、すぐに大きなエントランスがあった。だが、清掃が行き届いていないのかとてもボロく感じる。


「これ耐震性大丈夫なんでしょうか、『友人』」

「『あの世』には基本的に地震はないので大丈夫です」


 エントランスは吹き抜けになっており、およそ6階分程度の高さがある。

 見上げると、いくつもの扉が見えた。


「とりあえず、4年前に亡くなった魂数人を探すわけですが、計画通りやるつもりですか?」

「当然ですよ。そうしなければ、権限的に時間が足りません」

「そうですか……芹らしい判断だと思います」


「あの……芹様。結局どうやって探すのですか?ご友人の力を使う、と聞きましたが……」

 蘿蔔は、不安そうに芹に尋ねた。


蘿蔔(すずしろ)くん、この世界の『あの世』をまとめ上げているのは誰か分かりますか?」

「え……?えーと、この世界が例外でないなら、通常『王』のはずです」

「その通りです。『あの世』を管理しているのは『王』であり、言わば『この世』における世界神と同列なわけです。であれば、『王』は情報を持っているはずです」


「……それはつまり『王』に情報を聞く、ということ……ですか?……いや、それでは……」

 蘿蔔は考え込んでしまった。


「蘿蔔くん、深く考えすぎです」

「……え」

「簡単な話です。この世界における『王』の権限を掌握してしまおう、と言っているのですよ」




      ***




「──『王』の権限を掌握する、ですか?」

「ええ。ある程度『あの世』の権限を持った貴方がいれば可能なはずです」


 何もない空間。

 正確に言えば、石山芹の脳内空間にて、『友人』と芹は対峙していた。


「はぁ……芹、分かっていますよね?『この世』と『あの世』は相互不干渉で今まできていますよね?確かに、『最高神』は『この世』と『あの世』全体の代表ではありますが……あくまで、表面上の話です。現に貴方には『あの世』における絶対的な権限はない」

「ええ、その通りです。『あの世』における最高の権限は『王』が持っています。これは、『この世』における最高神と世界神の関係とは異なります」



 『この世』と『あの世』には、それぞれ権限を持つ者として『世界神』と『王』がいる。そして、それら全体を束ねる存在であるのが『最高神』である。

 しかし、実際には『最高神』はこの世において『世界神』より上の権限を持つ一方で、あの世において『王』より上の権限を持っているわけではない。

 今まで、慣習として『この世』と『あの世』は相互不干渉でやってきたのである。これは、世界の生命バランスを保つ意味も持つ。



「ですから、より多くの存在を救済するためには、『あの世』の権限も掌握したいのですよ」

「…………」

「私は何かおかしいことを言いましたか?」

「……いえ。見方を変えればただの帝国主義だなぁ、と思っただけです。お気にせずに」


(もし仮に私と芹がある世界の『あの世』の権限を掌握してしまえば……他の世界の『あの世』が黙っていないだろう。だが……)


「それも、良いかもしれませんね」


(私は、愉快犯だ)




     ***




 城の、『王』の部屋にて。


「……何をしにきた、最高神よ。ここはお前のテリトリーではないぞ」

「はは。相変わらず『王』は皆傲慢ですね」

「ふっ!我らから見れば、貴様ら神の方がよほど傲慢に見えるがな」


 芹の前には、10mを超えるほどの巨人がいた。

 鬼のような見た目をしたこの巨人が『王』である。


「今日は用事があってきたのですよ。4年前に亡くなった魂を探しに来たのです」

 圧倒的な体格差があるが、芹は一切怯むことはない。


「……四年前の魂?はははっ、何を言い出すかと思えば!死者を『この世』に呼び戻そうとでも言うのか!」

「ええ、その通りです。魂があれば、その方を蘇生することができます」


 芹の発言を聞いて、『王』は醜く笑った。


「ならば、その野望は叶わんなぁ。『あの世』における権限は我が持っているのだ。お前では魂の回収はできない!世界のバランスを壊す邪神はとっとと帰ってもらおうか!」


 『王』は、これ以上の話は無駄だとばかりに芹を城から追い出そうとした。

 だが、芹はそれに従うほど『あの世』に優しいわけではない。


「残念です。もし仮に貴方が協力してくださるのでしたら、強硬手段に出ることはやめたのですが……」


 芹は本当に残念そうに『王』を見た。

 そして、ゆっくりと『王』の未来を宣告する。


「これより、貴方の権限を奪わせていただきます」



 ―第9話 完―

 お読みいただきありがとうございます。

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