少年編その7
「うぅ………」
「結局コイツは何しに来たんだ………?」
いきなり煽り倒されてさっき使えるようになった奥の手を使ってまで倒してしまったが、よく考えたらコイツはまだ授業中のはずだ。
なのになんでこんなところに?
「おい、ローズ。お前なんでここに?」
「いつつ………。いやぁ、エクスが一人寂しく剣降ってるのかなぁ? なんて考えたら余りに虚しくて…………。遊び相手くらいにはなってやろうかなぁって?」
無言で剣を振り下ろす。
「―――って危な!? 何すんのさ!?」
「煽ってんならもう一発ぶっこんでやろうか? あぁ?」
流石のローズもまだ俺の一閃を止めることはできないはずだ。………アイツ勘が鋭いから弱点にも気づかれてそうだけど。
「いや、それにしてもいきなりやられるとは思わなかったなぁ。ふっかけといて何だけど肩の事もあるしまだ負けないと思ってたんだけど―――あれ一体何?」
「あれ? あれってなんだよ?」
なんとなく察してはいるがとぼける。そう簡単に手の内晒してたまるか。
「最後のあれだよ。一閃」
「ん? あれも何もただの一閃だろ? それ以外になにかあんのか?」
「―――解ってて言ってるよね? 普通なら言霊が聞こえた瞬間に一閃を発動すれば迎撃出来るはずだった。なのに、私の迎撃は間に合わなかった。一体何をしたの?」
………流石に誤魔化しは効かないか。仕方ない。
「知りたきゃ自分の目で確かめろ」
「確かにそっちの方がわかりやすいか」
お互いに剣を交える。
あの後も勝ったり負けたりを繰り返した。
「一閃!」
「一閃!」
やっぱり肩の影響は大きく、慣れもあってそれなりに動きを先読みできてるローズ相手にかなりの苦戦を強いられる。
かろうじて五分五分に持ち込めているのもローズが十文字を使用していないのと、俺の先出し一閃(仮)がうまくハマってるからだ。
だけど、そろそろ原理がバレてるよなぁ………。
「いっせ―――」
ほら、俺がなんちゃって一閃を撃てる体勢になると、距離を取りやがった。
来るのがわかってるなら一閃で迎撃ってのも一つの手にはなるが、それだと俺が一閃を打たずにすかした場合大きな隙を生むことになる。それを嫌ったんだろう。
だから、敢えて一閃を打たずに振り切った後、もう一歩回転しながら踏み込む。
「―――っ!?」
「一閃!」
俺の放った一閃が再びローズの脇腹に突き刺さった。
「今日だけで三勝四敗かぁ………。ねぇ、ほんとに肩治ってないよね?」
「治ってたら七勝してたわ」
「はぁー? って言いたいところだけど、確かにあれはビックリしたよ。っていうか考えもしなかった。途中まで自分で動くことで連撃の出を早くできるだなんて」
………やっぱばれてーら。
俺がそれに気づいたのは我武者羅に何度も何度も素振りをしていたからだ。
素振りを何度もしてその中で一度一閃を使用し、フォームの確認を行う。途中で、偶然にも普通の素振りの段階で言霊を使用してしまい判明した。
よく考えてみれば本来連撃を発動するにも言霊を口に出して、構えて、振るという工程があるのだ。言霊を口に出すという工程は省けないにしろ、構えるという動作を短縮するだけでもその分相手より早く連撃を使用できるのは当たり前といえば当たり前の事だった。
「当たり。って言ってもそんな簡単なもんじゃねぇけどな。俺もうまく発動するために結構時間食ったし」
ぶっちゃけこれ少しでも連撃の起動からずれてると最初の構えに戻してきやがるからな。
そういう意味でかなり使いどころは難しい。それに、二連撃以上の攻撃を防ぐ手段が無いという俺の弱点が消えたわけじゃない。
まぁ、そこはおいおいだ。
剣聖は年内最後の更新になると思いますので、この場をお借りして言わせていただきます。
良いお年を!
白魔法師は更新できたら明日したいと思いますので、よろしければそちらもお願い致します。




